人権擁護委員の活動
- 「人権のひろば 2021年3月号」掲載の人権啓発活動
- 「人権のひろば 2021年1月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2020年11月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2020年9月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2020年7月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2020年5月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2020年3月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2020年1月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2019年11月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2019年9月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2019年7月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2019年5月号」掲載の人権啓発活動plus
- 「人権のひろば 2019年3月号」掲載の人権啓発活動plus
-
中部ブロックにおける人権問題研究会への取組
人権擁護委員組織体はもちろんのこと、個々の委員においても、多くの人権課題やそれを取り巻く社会的状況を正しく理解し、相談活動や啓発活動、救済活動につなげていくことは基本的な問題として重要です。
人権擁護委員中部連盟(以下中部ブロック)では、毎年、東海3県(愛知・岐阜・三重)及び北陸3県(福井・石川・富山)に分かれて「人権問題研究会」を開催しています。
このようなブロックでの研修会等は、全国の各ブロックで展開されているのではないかと思っていましたが、中部ブロックにおける特色ある自主活動であることを最近知りました。
この研究会では、各県が今日的な人権課題や、組織体での取組状況や成果、課題を講演会、分科会、シンポジウム等を通して実践交流を図っています。本年度の北陸3県の富山県での研究会では、分科会の中で各県の様々な情報を得ることができました。例えば「人権の花運動」の取組を、花を栽培している農業高校との連携の実践や、保育園・幼稚園での啓発活動において保育を学んでいる大学生との連携の実践など、委員組織体だけではなく他団体との連携を通した啓発活動のあり方など大いに参考になりました。
東海3県では岐阜県が開催県となり、「子どもへの虐待・その理解と啓発」をテーマにシンポジウムと講演会を開催しました。シンポジウムでは、シンポジストの小児科医、児童相談所、児童養護施設の専門家を交え、子どもへの虐待の現状やその対策について理解を深めることができました。
このような中部ブロックの取組はスキルアップのための自主活動として重要な機会ととらえています。
この中部連盟の取組は、人権擁護局報(No.374号)において、名古屋法務局人権擁護部長・蔵田和彦氏が、「人権擁護委員中部連盟の特色ある取組~東海3県及び北陸3県人権問題研究会~」と題して、その経緯も含め詳しく述べられていますので参考にしてください。
(岐阜県連・事務局長 中村 正信)
楽しみながら人権感覚を醸成する啓発を
当協議会では人権教室・出前講座とともに、「小樽人権フェスティバル」の実施を重点事項として取り組んでいます。
同フェスティバルは、人権週間に関連した啓発事業として、12月の第1土曜・日曜日に小樽市内の大型商業施設の一角を会場として実施し、特設人権相談所も併設しています。
啓発活動としては、当協議会の1年間の活動の様子を写真で掲示することに加え、全国中学生人権作文コンテストの上位入賞者の作文を掲示し、さらに、上位入賞者を1日人権擁護委員に委嘱して、啓発活動にも参加してもらいます。
とりわけ、力を入れている取組は、折紙と切り紙づくりを通した啓発活動です。折紙は12月初めの活動であることから、サンタクロースを折ってもらうことを通して、子どもたちに「思いやりの心」の大切さを伝える活動として取り組んでいます。時には、お孫さんにプレゼントしたいと参加してくださる祖父母の方もあり、お孫さんのために心を込めて折ったサンタクロースを「やさしさをプレゼント」と記した台紙に貼ってお渡し、喜んでいただいています。
加えて、5年前からは、切り紙をメニューに加えました。この活動は、啓発活動強調事項の「(6)アイヌの人々に対する偏見や差別をなくそう」への取組として取り入れたものです。親子でアイヌ文様の切り紙づくりに参加する方も多く、美しい文様を切り抜く楽しさを、多くの方々に体感してもらう取組となっています。
切り紙が完成するまで十数分を要します。この間に、北海道にはアイヌ語に由来する地名が多いことなどもお話し、北海道の先住民であるアイヌの人々が培ってきた文化、伝統に共感と理解を深め、アイヌの人々の人権問題についての関心を高める取組としています。
このような活動を通して、人権週間に関連した人権擁護活動を展開しています。
(北海道連・小樽協議会 小澤 倭文夫)
企業研修の取組
同和問題部会では毎年、朝倉地区企業内同和問題推進協議会総会の講演会において、人権擁護委員による企業研修を呼び掛けています。
そのような中、A企業より研修の依頼がありました。そこで平成30年7月、若年層を対象に一時間程度、セクシュアルハラスメントを中心としたハラスメントに関する研修会を実施しました。始めにDVD「あなたの職場は大丈夫?」を全員で見た後、グループ協議を行い、その後に全体会に移りました。その中で「良かれと思っていたことがセクハラになることもあると知り、意識を高めたい」や「相手を知るには、コミュニケーションが大切だ」など活発な意見が飛び交いました。
さらに8月には、中間層及び管理職を対象とした、パワーハラスメントを軸としたハラスメント研修を実施しました。
研修材料としてDVD「企業と人権」を使用しました。より充実した協議とするために「指導とパワハラとの境界について」というテーマでアンケート形式により各自記述していただき、それを基に協議に移りました。
さまざまな意見が出た中で「上司として日頃の信頼関係づくりは大切だが、若い人とのコミュニケーションは難しい」と言われたことが印象的で考えさせられました。
その後のアンケートでは、パワハラについて「よくわかった・ある程度わかった」と答えていました。また、研修目的である「働きやすい職場にするためには」という質問には、多くの前向きな回答が寄せられました。A企業の「積極的な姿勢と話しやすい環境」という土台が事前にあり、前向きな結果が得られたと思います。
同和問題部会は、同和問題解消に向けた啓発活動が主な目的ですが、企業の意見を受け止めた研修をすることにより、普段見過ごしてきた「人権」に気づき、考え、高められていくのではないかと思います。そして、同和問題の根本的な解消にもつながっていくのではないかと考えます。
今後も部会員4名ではありますが、啓発活動を通して自分たちの更なる研修として励んでいきたいと思っています。
(福岡県連・朝倉協議会 平田 洋子)
- 「人権のひろば 2019年1月号」掲載の人権啓発活動plus
-
小学生人権教室 ~書道に思いを込めて~
昨年度まで山形県単位で実施されていた、全国的にも珍しい小学生人権書道コンテストが、今年度から各協議会単位での開催となりました。子どもたちや小学校からは「県での表彰に喜びや感動があったのに残念です」との声がありましたが、寒河江協議会では、これまで以上に充実したコンテストを目指し、地元の小学校で例年通り人権書道教室を開催しました。
書道教室以外では、人権の花運動、「種をまこう」を使った人権教室、人権サンタクロース等、数々の人権啓発活動を実施して、人権尊重の重要性と必要性について理解を深め、豊かな人権感覚を身に着けてもらうことを目的に活動しています。
書道教室では、コンテストの課題である「人権」「友情」「生命」「勇気」「仲間」「希望」「平和」の中から1つ選んで、願いや思いを込めて書いて、それぞれの作品について全員で話し合います。
「平和」を選んだのは世界が穏やかで安心な生活が送れるよう望むから。「人権」「生命」は人権の花運動で命の大切さを学んだから。「友情」「仲間」は友だちと楽しくいろいろ挑戦したいから。「希望」「勇気」は困っている人を助けたり、いじめを注意したいから。
子どもたちのあふれる思いを受け止めながら、書道の基本である、言葉への思いを込めてのびやかに書く、縦画を太く横画を細く、中心を揃え、名前は大きくなどについても少しアドバイスします。
そして、最も大切なことは、自分が書いた作品をもとに、意見を発表し話し合うことを通して、ほかの人の意見を大切にすることだと説明しますと、「人権なんて考えたことがなかったけれど、いろいろなことが人権なんだね」と子どもたちは気付いてくれます。
人権書道教室やそれぞれの人権教室の機会に、「人権とは?」を考えることが人権感覚を身に付け深める第一歩だと実感しています。寒河江協議会一丸となって、充実した啓発活動と人権教室等を将来につなげられるよう、協力して学んでいきたいと思っています。
(山形県連・寒河江協議会 長岡 輝美)
中学生の心にとどけ!! ~先輩委員の思いを引き継ぐ啓発活動~
文部科学省による2017年度のいじめの認知件数の調査結果や当県独自の調査結果を受け、いじめの急増を伝える新聞の見出しが目を引く。自殺者は最多となり、その理由は、いじめなどとも伝えている。この喫緊の課題に対し、私たちは何ができるのだろうか。
当協議会には、子どもたちに人権(命)の大切さを伝えるために、先輩委員たちが知恵を出し合い実行してきた活動がある。
それは、「中学生一日人権擁護委員」啓発活動であり、1枚1枚心を込めて作った「押し花の栞」を中学生の一日人権擁護委員に手渡すことである。「世界でたった1枚の栞です。たったひとつのあなたの命を大切にしてください」という委員たちのこの強い思いは、脈々と受け継がれ、今も変わることはない。
1995年、県内の中学生がいじめを理由に自殺したという痛ましい出来事を契機に、この活動は始まった。
「人権を守りましょう。いじめをなくしましょう」。こう呼びかけながら中学生の委員が啓発物品を手渡す活動を、今年も6月、管内の全中学校11校で行った。事前に、全校集会などで委員自らが委嘱状を交付し、人権講話を行うという学校が増えてきた。市長はじめ行政関係者の参加もあり、効果を上げている。
押し花の栞は、まず、季節を逃さず材料の押し花を作ることから始まる。ピンセットを使って台紙に貼り付け、ラミネート加工するまでの作業は、神経を使う。しかも手間がかかる。目標は、委員28人が数日かけて作る200枚。活動が終り、世界で1枚の栞を手にした中学生の委員から上がる感嘆の声は、委員たちを笑顔にし、次へと後押しする。
人権週間に行う「人権を大切にする県民のつどい」には、当協議会は、「押し花の栞作り」で参加し、広く県民に思いを伝えている。
当協議会の宝物ともいうべきこの活動を大切にしていくと同時に、より効果のある啓発活動へと発展させたいと考えている。
(新潟県連・南魚沼協議会 木村 惠美子)
精神病院との連携で継続的な特設相談所の開設
広島人権擁護委員協議会では、毎年、精神科救急医療施設である「草津病院」で特設相談所を開設しています。これは、平成20年当時、全国的に精神福祉施設内での虐待が大きな社会問題となっていたことから、広島法務局と草津病院との間で、相談所開設の合意がなされたことが始まりです。その後もずっと草津病院との連携がうまくいったのには、開かれた病院をめざしたいという、病院側の強い思いがあると思います。
今年度も、11月10日(土)に、草津病院で特設相談所が開設されました。
この相談所開設の一週間ほど前には、病院内で、人権擁護委員を対象とした研修会と施設見学会も行われています。
今年度の相談は、当日7名の人権擁護委員と3名の法務局職員が参加して、12名の相談者に対応しました。相談の対象者はすべて患者さんで、事前に病院側で広報をしていただき、事前予約を原則としています。救急病棟の方から慢性の患者さんまで、当日よほど病状の悪い方でないかぎりは希望者全員が相談できるようになっています。相談内容は、退院後の住居の心配、家族に関する心配事から早く退院したいというものまで、様々ありましたが、話をするうちに、少しずつ顔が明るくなる相談者の方もおられました。
相談終了後には、人権擁護委員と病院の担当者との意見交換会がありました。担当者の方が、全相談者から相談を受けての感想を聞き取りされており、それによれば、「よく聞いてもらえた」「和気あいあいと話ができた」「もっと時間がほしかった」「話ができてよかった」ということを皆さんが言っておられたそうです。人権擁護委員として、そのような相談ができてよかったと思いました。
病院以外の関係者と話をする機会があまりない患者さんにとって、外の人間である人権擁護委員と話をするということは、病院の職員さんに相談するのとは別の意味があるということをこの意見交換会で実感しましたし、今後ともこの草津病院での特設相談所開設を続けていく必要性を感じました。
(広島県連・広島協議会 小濱 樹子)
- 「人権のひろば 2018年11月号」掲載の人権啓発活動plus
-
介護職員の人権問題について
茨城県人権擁護委員連合会も「高齢者・障がい者委員会」を新しく立ち上げ、平成30年度をスタートした。
各協議会では、超高齢社会を共に生きるための関わり方について検討している。このような中、今年の連合会合同委員研修会の発表で土浦協議会が担当する第4分科会にて、介護職員の人権に関する内容に大変興味深いものがあった。
具体的には、特別養護老人ホーム7施設に於ける介護職員対象アンケートの実態を踏まえた人権問題の取組である。
発表から見えてきたものは、◇入居者への関わりで良かったと感じられたことは、「感謝」「笑顔」「当初より良くなる」「対応がよくできた」「ねぎらいの言葉」「信頼」「元気になった」◇入居者への対応で困ったことは「職員同士の連携不足」「意思の疎通が取れない」「わがまま」「暴言・暴力」「無理難題の要求」「拒否」「セクハラ」等の実態であった。
人権研修会では、職員同士で意見交換を行った。その結果、職員相互の理解が深まったこと。悩みは自分だけではないこと。入居者に対しては、人を尊重することが人権であること。双方を思いやることの大切なこと等の意見が出された。
県連研修会の協議は、グループ討議方式で実施され@施設アンケート調査及び人権研修会の報告についてAこれからの高齢者・障がい者の人権問題にどう取り組むかについて意見を交換した。
助言者からは、人権擁護委員として訪問や交流をするには信頼が第一である。感謝の心を持って出向く。世話をする人の人権が守られてこそ、高齢者・障がい者の尊厳が守られること等の助言があった。
今回参加した分科会を振り返り、入居者・介護者双方の問題を十分に理解しながら相談等に取り組むことが重要であることが分かった。
土浦協議会の取組で、高齢者の人権への関わりがより前進するのではないかと思う。
(茨城県連・広報委員長 中 和美)
中学校出前教室と協議会委員1泊研修
奈良県連桜井宇陀協議会は、2市3村を管轄地域とした委員数26名の小規模組織体です。活動は充実しており、地域に密着したきめ細かい人権擁護活動を実践しております。
約8名で構成された4委員会を、全委員が協力し精力的に活動しています。「ネガ⇒ポジ」の気持ちで諸施策に取り組み、人権教室では、当該委員会委員と共に各市村委員が協力し、委員手作りの大型紙芝居を作成する等趣向を凝らした演出で各人活躍しています。ただ同和委員会は人数の限界もあり協議会全委員での行動です。
また当協議会では、中学校の出前教室にも注力していて、8年連続の実施で定着しており、学校及び生徒から提出された感想文を活動に活かしています。
定着しているものとして当協議会では毎年1回、自費で1泊2日の自主研修会(3~4講座、場所、内容等を検討し実施)を開催し、委員のレベルアップ、並びに委員相互のコミュニケーションアップに努めています。
昨年度は開催地域の高齢者との交流計画を組んだところ、サプライズで実施地域の行政の長が出席され、交流にも加わってくださり、参加高齢者の方々への人権擁護委員の説明等PRの言葉まで賜りました。参加委員にとって充実した自己啓発の場になりました。
一昨年の研修では、救命応急手当講座を受講し、心肺蘇生法やAEDの使用方法等救命処置基礎手順の実習指導を受けました。その経験が後日実践に生かされ喜ばれたという事例もありました。この1泊研修は、重要事業の1つとして今後も継続されていくものと考えます。
私は人権擁護委員の委嘱を受け現在5期目ですが、社会人となった時から座右の銘としている「感謝」の言葉があります。最後に紹介させていただき結びといたします。
〇「こそこそと
こその二文字はつけどころ
こそはこちらのこそならで
こそはあちらの こそでこそたれ
みだれるもこそ おさまるもこそ」〇「放 下 着」 (裸の付き合い)
【人は皆プライドを持って生きています。】この言葉のおかげで、難儀な相談も相手の気持ちに寄り添いながら受けることができ、相談者からも本音で接してもらえ、事案が軽微に解決した。ということが多くあったように思います。
(奈良県連・桜井宇陀協議会 桝本 君孝)
人権を大切にする心を風船にのせて
私たちの協議会は、先輩委員が始めた「人権を大切にする心を風船の便りで結ぶ集い」を人権週間のメイン行事として、毎年行っていまして、昨年は12月7日に安田町立安田小学校で第36回を開催しました。
行事は、開会のあいさつに始まり、各学年1作品の人権標語を児童が発表し、人権の花の贈呈、児童代表による人権宣言、人権標語を付けた風船の配付・放出という流れで行われ、進行は人KENまもる君とあゆみちゃんのトークで行っています。なお、風船は自然に分解する環境にやさしい素材を使用しています。
当日は、NHK、朝日新聞、読売新聞の取材もあり、テレビや新聞で報道されました。
2日後に、この風船を和歌山県古座川町在住の元教員の女性が見つけ、風船には返事をくださいという趣旨のメッセージもあったので、安田小学校の児童に返事を書くとともに、近くの三尾川小学校に届けてくれました。
女性からの返事には、四国から飛んできてびっくりしたことや風船の状況、ご自身の境遇などのほか、「自分がされていやなことやつらいことは人にはしない。そうすると皆仲良く楽しく暮らせます」と書かれていました。
また、届を受け取った三尾川小学校では、校長が全校集会で児童に報告し、その結果を、写真を添えて安田小学校に送りました。
その後、三尾川小学校では全児童が絵入りの感想や人権標語を作り、安田小学校に送り、安田小学校は、女性の手紙とともにそれらを廊下に貼り出すなど、両校の交流が始まっています。
この交流が、朝日新聞「安田小の「人権の風船」風に運ばれ160キロ飛んだ」、読売新聞「人権の思い海越え和歌山まで」、和歌山の熊野新聞「高知県から人権風船届く」として報道されました。啓発として非常に効果があったと思っています。
(高知県連・安芸協議会 佐藤 忠雄)
- 「人権のひろば 2018年9月号」掲載の人権啓発活動plus
-
「じんけん体操」で楽しく啓発を
大分県連子ども人権委員会では、近年、人権教室を県内各地で広く取り組めるようになった。合言葉は、『できる人が、できる時に、できることを』である。
きっかけは有志らの企画制作により2016年に大分発『じんけん体操』が誕生したことである。誕生するまでに多くの人が関わった。『世界をしあわせに』を選曲し、対象者を広げるために手話による振り付けもするなど、みんなが「自分の得意」を出し合った結果完成した。
「人権意識を高めたい・広めたい」との思いが形になって育ってきたと思う。大分で誕生したこの体操をもっと多くの人に知ってもらい、人権意識を持ってもらいたいと願っている。
そこで幼稚園児・保育園児・小学生・高齢者・障がいのある方等に、人権教室や人権講演会などさまざまな機会を利用して広めている。発達段階や年齢層に関係なく、誰もが楽しく取り組めるものになっている。
実施した小学校での子どもたちの感想を紹介する。
・振り付けに意味があってすごいなと思いました
・歌の中に大事な言葉がいっぱいありました
・「やなせたかし」先生が大切なところを歌っていて心に残りました
・歌がとてもよく踊りも簡単だったのでいいなあと思いました
・じんけん体操はとてもおもしろかったです。
大分県連子ども人権委員会では、じんけん体操のほか人権すごろく・人権カルタ・DVD・紙芝居等を活用し、人権教室に参加する対象者や人数等に合わせ、工夫しながら楽しい『人権教室』を試みている。今日も子どもたちに「じんけんってなあに」と問いかけ、人権について一緒に考えてきた。
今度も私たちは自主活動を基本に、人権擁護委員としての使命を果たしたいと思う。
(大分県連・子ども人権委員長 阿部 三四子)
人権の花にメッセージを込めて
2014年10月16日、山口県美祢市の高齢者福祉施設で花の種を風船につけて空に放つイベントが行われました。人権擁護委員も駆けつけてお手伝いをしたのですが、お話を聞いていると、福岡県の小学校で育ったヒマワリの種がこの施設のハーブを植えた庭に舞い降りたことがきっかけになったと分かりました。
当日は風の強い日でしたが、入園者の手から放たれた風船は見る見るうちに青空に吸い込まれていきました。イベントの応援に来た小学生も、車いすの人も、風船の行方を見えなくなるまで見守りました。
その風船は瀬戸内海を飛び越えて松山市まで届き、見つけてくださった方からは、お礼と「花を育てます」と書かれた手紙が届き、関係者は驚きと喜びに沸きました。
翌年の人権の花運動から、花の種の風船飛ばしをオプションとして取り入れることになりましたが、風船の材料を環境に配慮して何にするか、花の種はどのくらい入れられるか、袋はどう作るか、様々なアイデアを出し合い、その年の秋に試しに2校で実施しました。花の種を入れる袋には、花を育てた児童のメッセージが書き込まれています。「大事に育ててください」「みんなで仲良く」など、心温まるものばかりです。
しばらくすると倉敷市真備町からお手紙が来ました。「手の届かないところに引っかかっていて、中を確かめることができなかったけれど、ようやく落ちてきたので、こうして手紙を書いています」という丁寧な文章でした。美祢市から倉敷市まで約240q、あの風船はそんな大冒険をしてくれたのか。委員も学校も、そして児童もみんな嬉しくて、このことをみんなに話したくなりました。
話し合いの結果「これこそ人権の花運動の区切りに相応しい行事だ」となり、それからは毎年数校で実施をしています。児童も教職員も地域の人もみんな優しい顔になれる行事となりました。
(山口県連・山口協議会 原田 茂樹)
「越中だいもん凧まつり」
さわやかな風が吹く5月の第3日曜日に、富山県射水市庄川河川敷の大門カイトパークで、毎年「越中だいもん凧まつり」が盛大に行われている。午前中は、子ども・親子による凧揚げ、全国から集まった愛好家による有名凧揚げが行われ、午後からは、6畳以上の大凧が登場し、地元の企業、各種団体のコマーシャル凧、地元の35自治会等による大凧が勇壮に空を舞った。凧揚げに約4,000人が参加し、会場には約55,000人が来場して、熱気あふれる催しとなった。
高岡人権擁護委員協議会もコマーシャル部門で平成18年より毎年参加している。始めに、高岡協議会の澤会長が、「困ったことがあったらいつでも気軽に人権相談においでください」と訴えると、人権キャラクターの「人KEN人まもる君」と「人KENあゆみちゃん」の描かれた六畳の大凧が舞い上がり、大空から人権の大切さを訴えた。
今年は凧揚げにふさわしい風が吹き、空高く大凧が舞い上がった。この日は人権擁護委員に加えて、富山地方法務局からも大勢応援に駆けつけ、みんな子どもにかえって凧の糸を引っ張り合った。
凧揚げに先だって行った啓発物配布を伴う啓発活動では、キャラクターの「人KENまもる君」「人KENあゆみちゃん」が大勢の子どもたちに囲まれていた。子どもたちと握手をしたり、記念写真を撮ったりと大人気であった。また我々人権擁護委員も子どもたちを前にして、「やさしい心をもとう」と呼びかけた。啓発物もまたたくまになくなり、多くの人たちに人権の大切さを訴えるよい機会となった。
世界人権宣言70周年の今年、新しく作製した色鮮やかな大凧で、「まもる君」と「あゆみちゃん」が、大空からより一層人権の大切さを訴えていた。人権擁護委員と法務局の職員とが、心を一つにして大凧を引っ張り合い、心に残る啓発活動となった。
(富山県連・高岡協議会 事務局長 小林 茂雄)
- 「人権のひろば 2018年7月号」掲載の人権啓発活動plus
-
「人権メッセージ」作成と配布について
平成24年、子どものいじめや自殺が社会の大きな問題としてクローズアップされました。以来、いじめ防止や自殺防止に対する啓発と相談対応の活動が、それまで以上に人権擁護委員に求められるようになりました。そこで、県連の理事会において、子どもたちに思いやりや命の大切さを伝える手だてとして、人権メッセージを作成して県下に配布することが話し合われ、子ども人権委員会が作成に当たることになりました。5回にわたり会議を重ねましたが、「正しく意図が伝わるものを作りたい」という強い思いから、様々な意見が噴出し、集約するのに苦労したと聞いています。最終的に児童向けのテーマを「いじめ防止・優しい心と強い心」、中・高生向けは「自殺防止・かけがえのない命」とし、取り上げる詩や言葉も厳選するなど、1年をかけてようやく初版が完成し、平成25年度に全県下の小中高生に配布することができました。
配付当初は、作成に当たった県連子ども委員会の意図や苦労が各協議会によく伝わらず、各委員が学校に対し細かな説明もせずにただ届けるだけの状況でした。県連子ども人権委員会において配付の時期や方法等について再度検討を行い周知を図った結果、各委員の人権メッセージに対する共通理解が得られるようになりました。内容についても検討を重ね、現在は3回の改定を経て毎年25万部を印刷・配布しています。また、6月1日の人権擁護委員の日を考慮して配布できるよう、4月中には各協議会へ送付し、その後、各委員が学校へ持参して作成の意図や活用方法などを伝えながら協力をお願いすることになっています。
「うちの孫の机の前に貼ってあったよ」「校長先生が朝礼で取り上げて説明をしたそうだ」「担任の先生が道徳や特活で活用を図ったらしい」などの反響があり、充実した啓発活動の1つになってきているという実感がある反面、「果たして高校生がこれをちゃんとみるの?」「配付物が多い中、学校に面倒をかけているのではないか」などの指摘もあり、成果や問題点等を洗い出し、改めて検討する時期を迎えているように思います。例えばアンケート等により実態を汎く把握し、内容や対象について再検討するなど、今後も改善に向けての努力を重ね、独自の取組の1つとして引き継いでいきたい活動です。
(群馬県連・事務局 宮内 栄子)
誠意を持って ~デートDV・パワーハラスメント講座の取組~
私は、委員になった当初から男女共同参画委員会に籍を置き、今日まで活動を続けてきました。そこで、旭川連合会の啓発活動の一つである講座の取組の一端を紹介させていただきます。
デートDV講座の取組は平成20年から始まりました。今年で満10年になります。高等学校、専門学校の皆さんを対象に、パワーポイントを使用した講座を実施しておりました。その後、中学生のための講座内容を検討してほしいという要望が寄せられ、中学生に特化した講座の内容を委員会で検討し、3年前、中学生版のパワーポイント及び読み原稿を作成しました。
更にパワーハラスメントの講座依頼が企業や高等学校から来るようになりました。法務局の職員に講座を担当していただくことが多かったのですが、5つの協議会の中で紋別協議会が研修をして、人権擁護委員が高等学校で講座を実施するようになりました。そこで、高校生に対するパワーハラスメントの講座内容の検討に取り組みました。幹事会での検討、委員会での検討を経て、連合会の総会の場で発表をして意見を聞き、更に改善を加え、ようやく昨年、高校生版のパワーポイント及び読み原稿が完成しました。
私たちは講座を実施するに当たり、特定の委員が行うのではなく、誰でも講座ができるようにと必ず読み原稿を作成しています。実施する市町村の人権擁護委員全員に参加してもらい講座を実施しています。また、生徒全員にロールプレイやグループ討議に参加してもらうなど「参加型の講座」を心掛けております。満足のいく講座はなかなかできませんが、これからも工夫をしながら、誠意を持って取り組んでいきたいと思います。
(旭川連・男女共同参画委員長 馬場 猛)
愛知県連の自主研修会
愛知県連は、11協議会、521名の委員が活動しています。
平成24年まで、県連の自主研修会は、年2回、名古屋法務局に於いて実施しておりましたが、会場の都合で1~2割の出席率にとどまっておりました。
多くの委員に直接参加してもらう方法はないものかと考え、県内を4つのブロック(尾張A・尾張B・東三河・西三河)に分け、尾張A・Bは名古屋法務局、東三河は豊橋支局、西三河は岡崎支局にて、同じ内容の研修会を開催することになりました。「県連ブロック研修会」と名付け、内容等の企画は講師委員会が中心となり、委員の要望を踏まえながら進めております。
これまで取り上げた主なテーマは次のとおりです。
・インターネットによる人権侵害
講師:総務省東海総合通信局職員と弁護士、法務局職員
・精神障害者からの電話相談の受け方
講師:カウンセラーの資格を持つ委員
精神障害者からの電話相談の受け方
・NTTドコモ
「スマホ・ケータイ安全教室」(保護者・教員編)
講師:スマホ・ケータイ安全教室インストラクター
・中学生の人権教室実践例
講師:子ども人権委員
・人間の多様性とLGBT
講師:講師委員
また、平成26年度から実施されている「指導者養成研修」の伝達も、短時間ではありますが、このブロック研修の中で行っております。
5年が経過し、県連行事としてすっかり定着。出席率も県全体の平均は70%ですが、三河ブロックは毎回80%を越えています。
人権擁護委員として知っておくべき課題の共通化を図るため、今後も大切にしていきたいと思っております。
(愛知県連・事務局長 西脇 和子)
- 「人権のひろば 2018年5月号」掲載の人権啓発活動plus
-
人権教室への取り組み
人権擁護委員になって2年が過ぎ、小学校高学年を対象とした人権教室を4回行った。
参加する子どもたちにとって馴染みの薄い人権について子どもたちが真剣に考えてくれるように、次のことを心がけている。
1.授業に使うDVDを繰り返し視聴する。
2.登場人物の行動・関係を捉える。
3.登場人物の台詞を書き起こし、いじめのポイントとなる言動をチェックする。
4.子どもたちが「見る・聞く・書く・話し合う」の活動をするための流れを工夫する。
5.登場人物の写真や言葉を準備し、視覚的にわかりやすく黒板に貼る。
6.子どもの考えが整理しやすいようにワークシートを準備する。
10月に行った6年生2クラス39名対象の人権教室では、子どもたちに「どんないじめがあったか、どんな気持ちだったか考えながら見ましょう」と視聴の視点を示してDVDの視聴を開始した。
視聴後、「どう思ったか」「いじめをなくすために私たちにできることは何か」「授業を終えての感想」という内容でワークシートを書いてもらい、次に「どんないじめがあったのか」「加害者・被害者・傍観者の様子や気持ち」について話し合いをした。
その中で、被害者の気持ちを考えることにより、傍観者である周りのクラスメイトの様子にも心を配り、「笑ったりはやしたてたりすることで、被害者が更に悲しい気持ちになる」ことを、多くの子どもたちが気付いた。
ワークシートには「先生に相談する。いじめを見たら勇気を出して注意する。一緒に笑ったりしない」などと書かれていた。
人権教室を実施して、子どもたちが「いじめ」という問題を通じて、人権について身近に考える機会になったのではないかと感じている。
これからも、人権について身近に考え行動できる子どもたちの育成に努めていきたい。
(福島県・福島協議会 内藤 三千男)
NTTドコモと連携した「人権教室」
昨今、情報通信ネットワークサービスの整備が進む中、携帯電話やスマートフォンの普及が拡大し、児童・生徒が犯罪やトラブルに巻きこまれる事件が増加しています。また、インターネット上の「いじめ」も社会問題となっています。
徳島県でも、携帯電話やスマートフォンの所持率が、小6で54・9%、中2で62・7%、高2で97・8%であることが、県教育委員会(県教委)の調査でわかりました。
そのため携帯電話やスマートフォン・インターネットの正しい利用方法や危険性について理解してもらうために、県教委・法務局・NTTドコモ・徳島県連の4者が連携し、平成26年度より「スマホ・携帯安全人権教室」を開設しております。
NTTドコモの専門インストラクターを講師にお迎えし、40分間スマートフォンや携帯電話の正しい使い方や危険性、問題点、問題が起こった際の対処法について講義していただき、残りの10分間を使って、人権擁護委員が、「命の大切さ」、「いじめをしない・見逃さない」、「困ったときには学校や家の人に相談する」ことを説明し、法務局には「相談窓口」や「SOSミニレター等の相談」があることを実物を示して紹介しています。
平成29年度は県下の45校の小中高でNTTドコモと連携した人権教室が開設され、当協議会は、小中8校を受け持ちました。開設当日は、法務局、地元の人権擁護委員2名が参加します。学校によっては、PTAの会合に合わせて開設するところもあり、親子共々学習し成果をあげています。
この「人権教室」で、人権擁護委員による指導時間は10分間ですので、要領よく的確な指導ができるよう委員研修を開いています。
また、この「教室」は、人権擁護委員の存在と役割を知ってもらうよい機会にもなっており、更に努力して継続していきたいと決意しています。
(徳島県連・阿南協議会 仁木 能業)
人権という視点でみること ~中学生の人権教室の実践から~
中学校は忙しい。特に夏休み前は休みに向けての事前指導や取り組みが忙しく、本当は外部の依頼などにかまっていられないのでしょうが、そこを何とかと無理をお願いし、毎年夏休み前に地域の中学校に出向いて人権講話を行っています。
元々は中学生人権作文コンテストに参加してもらえるよう、人権擁護委員が中学校を訪問し、15分ほど時間をもらって、3年生対象に人権作文の書き方を指導していました。これが定着し、学年全体での人権講話と作文指導に発展、4年ほど前からは学級毎に50分間の人権講話を行い、人権作文へのチャレンジのきっかけとさせています。
私たちの生活を規定している大本は「憲法」ですが、普段意識することはありません。人権も同様にメディアにしばしば登場しても深くは考えませんし、他人事としての扱いに終始しているのではないでしょうか。しかし、「人権」の意味を知り、これを手がかりに世の中をみると事件の真相をより深く認識でき、互いに生きやすい社会を築いていく手がかりになると思うのです。いじめも捉え方がちがってくるはずです。
人権を学習し、意識して生活することは、これから多種多様な世界の中で生きていく子ども達にとって必要不可欠な基礎だと考えます。
私たちのグループ内には3つの中学校があり、計15学級を14人の委員がそれぞれ分担し、大人びた中学生の前で講話を行います。生徒達には明るく、爽やかに学級に招き入れられるのですが、委員にとってこの50分の活動は1年の内でもっとも緊張感に溢れる時間となっています。(講話が終わると安堵感と共に充実感に満たされるのですが。)
これからも人権擁護委員の先輩方が築いてくれた活動を失うことなく、少しずつでも改良を加えながら、子ども達の笑顔を糧に続けていこうと我々人権擁護委員一同心しているところです。
(山梨県連・甲府協議会 松村 正広)
- 「人権のひろば 2018年3月号」掲載の人権啓発活動plus
-
人権スポーツ教室を終えて…
函館連合会では平成20年に高齢者等専門委員会を立ち上げ、その後、平成25年に高齢者・障がい者専門委員会と名称を変え、啓発活動を高齢者中心に行ってきました。
しかし、高齢であることや障がいの有無に関わらず、お互いの違いを認め共に生きる社会を目指す人権意識の構築は、子どもの頃からの教育が大切であり、また、平成28年には「障害者差別解消法」が施行されたことから、次代を担う子どもたちにいかにしてその人権意識を高めていくか検討すべきと考えておりました。時を同じくして、南北海道人権啓発活動ネットワーク協議会(函館人権擁護委員連合会、函館地方法務局人権擁護課、函館市)で、積極的に取り組むこととされている事業の1つである体験型の「人権スポーツ教室」を昨年12月3日に函館市の赤川中学校において開催することになり、当委員会も参画することになりました。
当日、我々の趣旨に賛同下さった「函館元町ライオンズ車椅子バスケットボールクラブ Harder's」の皆様11名に協力を仰ぎ、バスケットボール部員男女30名が車椅子の操作方法の指導を受け、ミニゲームも体験しました。部員は車椅子操作の大変さを実感したと思います。
ミニゲーム終了後には人権擁護委員から人権冊子を基に、個人モデルや社会モデルについて説明し、障がいのある人の人権について考えてもらいました。また、クラブチームのコーチからは、「2020年には東京でパラリンピックが開催されるので、車椅子バスケットボールを通じて、1人でも多くの方に障害者スポーツを理解してほしい。」と呼びかけもあり、部員は大きくうなずいていました。
このような体験型の教室は初めてで戸惑いもありましたが、学生にとっては貴重な経験を心に刻むことのできる人権教室だと感じました。今後も工夫を重ねながら当委員会活動として、積極的に取り組んでいきたいと思います。
(函館連・事務局長 岩山 静枝)
高校文化祭での啓発活動 ~男女共同参画社会の実現を目指して~
古川協議会の男女共同参画委員会は、11名で活動しています。委員会では、平成8年から独自の取組として、年2回、栗原市と大崎市の2会場で時期をずらして「女性のためのなんでも相談」として特設相談所を設け、人権相談と啓発活動を行っています。
さて日頃から年代や性別、家庭・地域・職場によって男女の役割などの考え方に違いがあり、年を重ねた人ほど意識を変えることは難しく、若い頃からの啓発が大切だと痛感していました。
こうしたことから高校の文化祭に人権啓発活動をするブースを設け、高校生はもとより来場する親世代等にも啓発できるのではないかと考えました。そして、平成27年度、地元栗原市の高校に出向き文化祭で男女共同参画社会を啓発する趣旨を話し、快く承諾いただき実現することができました。
1年目は、デートDVのリーフレット配布を中心とした啓発活動から始めました。2年目には、1教室を借用して男女共同参画社会をテーマにした「指導的地位に女性が占める割合」「男性の家事・育児参画の現状」「女性の年齢階級別の労働力率(M字カーブ)」などのパネル10枚程度を展示しました。また、高校の生徒がよく通る教室を提供していただき、人権擁護委員を、パネル説明係、リーフレット配布係、DVD係、さらに見学者の呼び込み係など工夫して配置し、来校者の入場を勧誘しました。あわせて人権擁護委員の活動の写真を展示し啓発活動に努めました。3年目の今年度も啓発する高校を増やすなど創意工夫をして活動を行っていきます。
パネルを使った人権啓発は初めての試みでしたが、学校側の配慮もあり多くの方が来場され、男女共同参画社会について知っていただく良い機会になったと思います。見学に来た高校生が質問を交えながら熱心にパネルの説明を聞いている姿が印象に残り、手応えを感じています。次年度以降もさらに内容を充実させて高校文化祭での男女共同参画の啓発活動を継続していきたいと思います。
(宮城県連・古川協議会 本多 究美)
「プロフィールカード」の活用
兵庫県連には、最大規模の神戸協議会(委員数58名)をはじめ、合計12の協議会があり、委員総数は472名に上ります(平成30年1月1日現在)。
平成27年より兵庫県連・神戸協議会の会長を務めさせていただいていますが、委員の皆様のこれまでのご経験やご活躍、得意分野などを把握することができれば、人事、講演派遣、研修講師、調査救済活動への参加などを検討するにあたって便利であると思いました。
しかしながら、委員就任時の資料などをみても、例えば「職業・無職」とあるだけの方も多く、過去の職歴・経歴などがほとんどわかりません。
そこで、神戸協議会では、委員の皆様に所定の事項を記入した「プロフィールカード」を提出してもらい、会長が管理し、委員に活動を依頼する際の参考に供させていただきます。
神戸協での記入項目をご紹介します。
1.氏名(住所・電話番号・メール等の記載は不要です。)
2.職歴その他の経歴(企業や団体名の特定は不要ですが、業務の内容で人権擁護活動に関連するものはなるべく具体的に記載してください。)
3.人権問題のうち、とくに興味のある分野
4.専門知識を生かした講演などの経験
5.人権調査案件についての希望
6.その他 ご意見・ご提案・ご要望単発的なアンケートですとその場限りになってしまうし、詳細な委員名簿を作るというのも個人情報保護の観点で問題があると考えて、このような形をとりました。カードの管理も法務局ではなく協議会(責任者は会長)で行うことにしています。
住所・電話番号・メールなどの情報はあえて記入項目から外してあります。人権擁護委員の自宅住所や自宅電話番号が一般に向けて公開されるということは前時代的ではないかという考えもあります(例えば、最近の、日弁連「弁護士会名簿」には、弁護士の自宅住所や自宅電話番号は記載されていません。)。
プロフィールカードをもとに、各分野の専門家の委員に出前講座等の計画・実施をお願しているところです。
(兵庫県連・神戸協議会 会長 尾 幸弘)
- 「人権のひろば 2018年1月号」掲載の人権啓発活動plus
-
中学校人権教室「リスペクトアザーズ」
「僕たちの学級の目標を『リスペクトアザーズ』に」
「リスペクトアザーズを合言葉に」
昨年度、中学校の人権教室のまとめに出た生徒たちの発言です。生徒170名が、広い体育館で15グループに分かれて授業を行った時のことです。
松江協議会が、取り組んでいる中学校の「人権教室」の考え方は、以下のとおりです。
「いじめ」を含めた人権学習は、小学校から、中学校段階へと、学校教育で継続的に、そして、日常的な教育活動を通じても行われています。一方、人権擁護委員の行う人権教室は、短時間の学習を通しておこなわれること、また、生徒1人ひとりの日頃の成績や、能力を知らないことが、逆に、学習を進めるにあたって利点になるとも考えています。
そのために、人権擁護委員の人権教室は、
1、 生徒1人ひとりが主体的に考え、自分の考えを表出できること。
2、 自分の考えが、友だちと異なっても周囲に受け止められること。
3、題材が難しくなく、意欲的に学習に取り組めること。
等を必要な学習の要素と考えています。
少人数のグループに分けて、そこに人権擁護委員が進行役として入ります。生徒の考え、意見を引き出すためには、時間が必要となるため、2時間続きの人権教室にしてもらっています。
人権教室のタイトルは、「リスペクトアザース」で、中学生人権作文をDVD化したものを教材としています。実施には、人権擁護委員内での打ち合わせと、学校との打ち合わせ、事後の反省と時間をかけて取り組んでいます。学校からは、人権擁護委員だからできる授業として評価をいただいています。
今年度も2校から依頼が来ていますが、「いじめへの対応」の一役を担えればと願って実践を重ねています。
(島根県連・松江協議会 繁浪 均)
表彰式での『ある一言』
表彰式の最後に、「この作品を創る時に、どんな事を考えましたか?」と尋ねると、
「私は、『人権』とは何だか分からなかったので、お母さんに聞きました。そして、夕食後にみんなで話したことを思い出しながら描きました」
「先生が、夏休みの宿題を説明する時に、『人権』について話してくれたので、そのことを考えて描きました」
などの返答でした。
この表彰式とは、宇都宮地方法務局と栃木県連が共催で実施している『子どもの人権絵画コンテスト』の1場面であります。そこで、この事業を振り返ってみます。
約10年前は「世界人権宣言60周年記念」の時期であり、平成21年6月に関ブロ栃木大会が宇都宮で計画されました。大会準備の段階で「子どもたちに一層の人権意識の高揚が図れないか」との話題が出ました。中学生の人権作文コンテストは、既に定着していたので、小学生を対象とすることとなりました。
そして、「人権絵画」の特色を出すために募集要項に次の事柄を入れました。
@ テーマ~「みんな仲良し」「思いやる優しい心」「1人で悩まず誰かに相談」の中から1つを選択して制作。
A 審査~絵画の表現技術と共に、テーマに関する人権感覚の要素も重視。
B 入賞~最優秀賞、優秀賞、優良賞の他に(最初から協賛いただいている)栃木県共同募金会長賞を設定。
応募数は、小学校の御協力をいただき、毎年、増加傾向にあり、今年度の各協議会の1次審査では合計2,441点となりました。
入賞作品は次のように活用しています。
@ 表彰式会場や各種催し物の会場に展示
A 『人権てなあーに』の作品集を作成・配付
B 昨年から、壁掛け式カレンダーに印刷し、各学校や関係機関に配付など。
開始以来約10年を迎えた現在、所期の目的であった「一層の人権意識の高揚」に、この事業も着実に寄与していると感じつつ、更なる発展を願っているところです。
(栃木県連・総務委員会 委員長 粂川 武正)
「子どもは未来、子どもは社会の宝」―人権社会を教育の力で創造―
全国中学生人権作文コンテスト県大会が、本年は12月9日に開催されます。
長崎県では昨年、公立、私立の中学校166校、27,876人の生徒の応募がありました。率にすると、県全体の8割を超える学校と、7割を超える生徒の応募となります。本年度もほぼ同じ割合で高い応募率を維持しています。
本県では学校との連携を深めるために、毎年5月頃に人権擁護委員が班別に担当の小・中学校を訪問し、委員の活動内容を説明したり、人権の花や人権作文の取組についてお願いをしたりしています。学校訪問は1回限りではなく、7月と年度末にも行っています。その甲斐あってか、人権作文への学校の意識は、かなり定着しつつあるように思います。
さて、毎年開催される作文コンテストの表彰式・朗読会ですが、参加者(聴衆)が少ないという課題がありました。
未来を担う中学生の、人権についての素晴らしい主張を、是非多くの大人に聴いてもらい、共に力を合わせて人権社会を築いてほしいとの思いから昨年、中学校はもとより、PTA関係者、民生委員、保護司、教育関係者等にご案内をし、離島を含む県内8協議会の人権擁護委員にもお願いし、200名の参加をいただくことができました。
大会のオープニングセレモニーでは毎年、市の少年少女合唱団の心に沁み渡る歌声に、参加者全員が感動します。表彰式の後には、受彰者全員が作文を朗読し、参加者と共に人権について理解を深めています。
子どもは未来、子どもは社会の宝です。
人権作文の取組は、地味のようではありますが「自分を見つめ自分と向き合い、1人の人間としていかに生きるか」を考える非常に大切な機会であり、今後も一層力を入れて取り組んでいきたいと思っています。
(長崎県連・長崎協議会 永間 逸男)
- 「人権のひろば 2017年11月号」掲載の人権啓発活動plus
-
委員の自己啓発・特別委員研修
埼玉県連では、毎年1回、委員の自己啓発を目的とする特別委員研修が行われています。
もともとは、法務局により実施される研修がなかった時代に委嘱された委員が、自分たちも研修を受けたいと希望し、県連主催で毎年2回実施されるようになったものです。しかし、長年継続した結果、当初の目的が達せられたことから、この研修の終了を理事会に諮ったところ、年1回でもよいから継続すべきということになり、委員の自己啓発を目的として継続することになりました。
この特別委員研修は、県連の研修委員会、子ども人権委員会、男女共同参画委員会が各1コマ(90分程度)を担当し、10時から16時半ころまで、1日がかりで行われます。
受講者が児童役となる人権教室、ロールプレイングによる人権相談、法務局の人権担当職員による人権擁護委員組織体の解説や人権活動における注意点等に関する講義、人権擁護委員による講演等が行われてきました。毎回、200名以上の委員が受講しています。
これらのうち、男女共同参画委員会のロールプレイングによる人権相談は、相談内容の決定、台本作り、相談場面の練習等、すべて委員が数か月かけて準備します。当日は、相談内容の概要が書かれた用紙が配布されます。
受講者は、相談者への質問や受け答えに問題点がないか、回答内容がどうだったか等をメモしておき、相談劇終了後に、意見を述べたり質問をしたりして、議論します。この過程で、人権相談中の言葉使い、質問の仕方、回答の仕方等について種々の見解が披瀝され、専門的知識も提供されます。その結果、受講者は、自分の啓発活動の自己評価をすることができ、得た知識等をその後の啓発活動に生かすことになります。
今後も、多くの委員が充実した自己啓発の場を得られるよう、特別委員研修が長く続いていくことを願っています。
(埼玉県連・前県連会長 伊藤 一枝)
高校生や大学生とコラボした人権啓発
人権擁護委員の啓発活動といえば、学校や保育園等での人権教室、人権の花運動のほかに、街頭啓発や施設訪問等があります。福井協議会では、昨今、これらの活動で、高校生や大学生と協働した啓発活動を行っていますので、その内容や概要等を報告します。
福井協議会内の永平寺町部会では5年ほど前から、近隣にある福井農林高校生物生産科の生徒に人権の花運動に参加してもらうようになりました。小学生、高校生、人権擁護委員が一緒になって花の植栽から咲くまでの管理をすることで、命の大切さはもとより、年代を超えて人と人がつながる喜び・楽しさを感じてもらうことを目的としています。
また、坂井市部会でも4年前から、市内の坂井高校農業コースの生徒たちに、花苗づくりを依頼し、人権の花運動実施小学校で、植え付け方や管理方法等を指導してもらっています。小学生が高校生から直接、教えてもらうことにより、最近では少なくなっている縦の年代がふれあうことができるので、思いやりの心など、両者の人権意識をより高める効果を期待しています。
また、福井協議会は、本年度から大学生・大学院生を対象として人権学生ボランティアを募集し、人権啓発活動に参加してもらっています。7月22日(土)の「BCリーグ福井ミラクルエレファンツ野球連携啓発」では、人権学生ボランティアが、グッズやチラシ配布作業を行うとともに、グラウンドにおいて、1日人権擁護委員委嘱式の後の始球式で見事な投球を見せてくれました。そして5回裏後に行われた啓発パレードでは、委員と一緒になって観客にいじめ防止を訴えました。
福井協議会では可能な限り、次代を担う高校生、大学生と協働した人権啓発活動を展開して行く予定です。人は人と関わり合うことで成長すると信じています。
(福井県連・事務局長 松本 盛博)
私を救ってくれた自主研修会
私が人権擁護委員になったのは6年前です。人権相談などについて研修を受けましたが、何ぶん初めてのことで、基礎知識に不安を抱えながら相談を担当することになりました。面接相談は2人の委員で受け持ちますので安心ですが、電話相談は1人で対応しなければならず、相談の後、このような対応で良かったのかなと悩み、不安と反省を聴いてもらえる場を求めていました。
そのような思いでいた4年前、2人の先輩委員と出会い、一緒に自主研修会を立ち上げることになりました。お2人の「人権擁護委員は、担当した相談での傾聴の仕方や回答の内容について、それで良かったのか、どうすればより良くなったのかアフターケアを行うことにより、安心を得る場が必要」との思いと、私が求めていたものが、一致した結果です。
自主研修会で大切にしていることは、決して互いの意見を否定せずに話ができる場であることです。自由に参加でき、相談事例やそのときの回答、対応の結果などを紹介して、参加者たちが、感じたこと、気付いた点、改善点などを話し合います。「子ども」「女性」「高齢者」等のテーマ別にワークなどを入れた研修会も行っています。
私は自主研修会で、たくさんの意見を聞き、多様な視点から問題を捉えることの大切さを学びました。中でも最も大きな学びは、『相談者が話す言葉の向こうにある心の言葉を、読み取ることが大切』という先輩の言葉です。そして活動における不安や悩みを共感できる仲間に出会え、共に支え合うことで救われています。
この自主研修会は、委員が、気付いたり考えたりすることで、笑顔になれることを目標に歩んでいます。個々の委員をつなぐ役目も担っています。現在、年3回、開催して、毎回20数名の参加者がいます。今年になり隣の丸亀協議会でも同様の自主研修会が立ち上がり、少しずつですが、広がりつつあります。
私たちを支えてくれている場、自主研修会を大切に続けていきたいと思っています。
(香川県連・高松協議会 万野 妙子)
- 「人権のひろば 2017年9月号」掲載の人権啓発活動plus
-
熱気球世界選手権大会における啓発活動
佐賀県連では佐賀平野を流れる嘉瀬川河川敷において、毎年、開催される佐賀インターナショナルバルーンフェスタで人権啓発活動を実施しています。昨年は特に19年振り、3回目の「2016佐賀熱気球世界選手権大会」として開催され、10月28日から11月6日までの10日間の日程で県内外だけでなく外国からも参加を得て、延べ131万人もの人出で賑わいました。
期間中バルーン会場内にブースを設けて、佐賀市や佐賀地方法務局と共に佐賀県人権擁護委員連合会も啓発活動を積極的に行いました。
ブース内には人権の花、人権教室や中学生人権作文コンテストの写真パネルを展示したり、子どもたちに「人KENまもる君・人KENあゆみちゃん」のぬりえをしてもらったり、人権週間や外国人の人権相談のチラシを配布し、人権擁護機関の認知度を調査するアンケートにも協力してもらうなど、様々な啓発活動を行いました。
また、新しくなった、熱気球“人KENまもる君あゆみちゃん号”による係留飛行や人権イメージキャラクターのウォークバルーン“人KENまもる君” “人KENあゆみちゃん”を活用して子どもたちが沢山集まり大喜びでした。さらには大型ビジョン「ノアビジョン」で、大会期間中に訪れた観客に対して人権擁護機関の活動と役割をアピールしました。
このバルーンフェスタは、佐賀県内における最大級のイベントであり、非常に高い啓発効果が見込まれるイベントですので、我々人権擁護委員も毎年力を入れて取り組んでいます。
熱気球の飛行は、気象状況と地形に左右されるため、時には予想外のことが発生します。「バルーンさが駅」の架線に熱気球が引っかかったり、爆弾騒ぎなどが発生しましたが、無事に啓発活動を終えることができ、また報道機関にとりあげられ、成果を上げることができました。
今後も、バルーンフェスタはもとより、年間を通じて様々な啓発活動を行い、広く県民に人権の精神を啓発していきたいと思っています。
(佐賀県連・事務局長 一ノ瀬 一磨)
人権侵犯事件調査への積極的な関与に向けて
当協議会では、年間10件程度の人権侵犯事件調査に委員が関与している状況にあります。担当委員を決定する際には、事件の内容や委員の専門性を考慮し、協議会事務局と法務局が協議していますが、これまでは、主として常駐委員がその役割を担ってきました。
私たち委員の活動の基本は、啓発、相談、救済への対応とされていますが、これまでの長い間、啓発活動と相談活動に重点を置いた活動が継続されていたことから、なかなか調査救済活動に積極的に取り組もうという機運が高まりにくい状況にあるといえます。
そこで、委員がどのように調査救済活動に関与しているかなどを多くの委員に知ってもらうため、本年6月15日、当協議会総会に合わせて委員研修会を開催しました。この研修会では、法務局人権擁護部第2課長にご講演をいただき、調査救済活動の流れや委員が関与した複数の具体的事例に関する調査処理過程など、また、委員が調査の場にいることによってその場が和み、相手方からの協力が得やすくなるなどのお話がありました。本研修に参加した委員の多くが、力むことなく自分も調査救済活動に関与できるのではと感じたものと思います。
実際に調査救済活動に関与した委員によれば、民間人である委員が調査の場に同席することは、法的な対応ばかりではなく、一般的な感覚が理解されるという安心感を相手方に抱かせることができ、それだけでも意義のあることと感じたとのことでした。今後も、調査救済活動に関与する委員の裾野を広げられるよう、協議会として工夫していきたいと思っています。
(札幌連・札幌協議会 西下 由美子)
保護者も一緒に人権教室
桑名協議会が活動する三重県の北勢地域は、名古屋のベッドタウンとしての役割も担い、住宅開発が進んできました。当然、核家族の割合も高く、子育て中の親が孤立している状況もよく耳にします。3委員会の1つである子ども委員会では、年間25回ほどの人権教室を保育園から中学校までを対象に実施しています。
パネルシアターや大型絵本、時にパワーポイントを使って、命の大事さを中心に伝えてきました。題材についてはよく吟味し、子ども達の心に響くものを選ぶように心がけています。最近顕著になってきたのは、園や小学校から、保護者同席の場での人権教室の依頼です。当然、保護者を意識した題材選定を行い、保護者の心にも届くことを願っての人権教室となります。時には、最後に保護者と私たち委員が加わっての座談会を持つこともあります。子育てに悩む生の声を聞き、先輩のひとりとして共に語る機会は、貴重です。
例えば、「おかあさんだいすきだよ」(宮西達也作・絵 金の星社)の読み聞かせ後、「今日は家に帰ったら、子どもをしっかり抱きしめます」と言うお母さんがいます。読み聞かせの時、涙をぬぐうお母さんもいます。
そんな母親たちを見るたびに、人権教室を行ってよかったなと思います。人権教室の内容が保護者の心に届き、“子育て”の一助となったらうれしいことです。
子ども達の心の中の小さな叫び声になかなか気づけない忙しいお母さんの心に、ほんのいっときでも我が子への深い思いが生まれたなら大成功です。満たされない子どもが仲間をいじめたり、暴力的になったりすることが多くあります。いじめを生まない社会、虐待のおこらない家庭を作るためにも、保護者に向けた人権教室の機会を大切にしていきたいと思います。
(三重県連・桑名協議会 竹村 典子)
- 「人権のひろば 2017年7月号」掲載の人権啓発活動plus
-
調査救済に向けてのスキルアップ ~「チーム都連の研修」~
東京都連合会(以下都連という)は、約500名の人権擁護委員が在席し、4つの協議会でそれぞれ地域性を生かして活動している。
都連では常置委員会として、総務・企画・広報・研修・男女共同参画社会・子どもの人権の各委員会が設置されているが、任意で入会できる9つの研究委員会(青少年児童・障害者・高齢者・外国人等・同和問題・感染症問題等・報道等・環境公害問題・企業における人権)を設けている。常置の研修委員会では、年2回の基礎的研修を開催、又、3年前より開設した新規委嘱委員対象の初任者研修では、都連の活動内容を中心に行っている。東京法務局及び各協議会や協議会内の部会でも実施されているが、都連では具体的に活動するための心構えや組織について、又、相談業務の疑問点に対しては同じ目線にたっての研修に心がけている。
28年度の基礎的研修は、「被害者の人権を考える」をテーマとして、DVと虐待について東京ウィメンズプラザ主任相談員の安藤由紀先生を講師にお迎えした。1回目の講演から具体的な事例や、時間を経過しての質疑応答に詳細な回答を頂くなどで参加委員の評判はすこぶる良く、要望に応えて2回目も安藤先生に講師を依頼した。1回目のアンケートから委員の求めている研修内容を事前検討したりした結果、より充実した研修内容となった。
相談業務の1番の課題として、事前準備のない突然の相談に対して、対応していく難しさがあるが、「身の丈にあった自分らしい対話をする事に尽きる」との講師の言葉に肩が軽くなったように感じた。
これからも現況を把握し、調査救済のスキルを身につけるための研修成果が出てくることを期待する。そのための委員会運営に研修委員は一丸となって次回に向け準備をしている。
(東京都連・東京協議会 岩田 敦子)
人権擁護委員が企画した『人権講演会』 ~気づき、学び、考える~
鳥取人権擁護委員協議会は、1市4町49名で構成されています。委員10名の八頭町部会は、平成28年夏、部会にとって初めての自主企画「人権講演会」を行いました。
講演会の企画は、平成27年の初秋頃から新年度の「障害者差別解消法」施行年を控え、八頭町部会で話し合っていました。委員の中には、「町民に人権と聞けば、堅苦しく難しく面倒なこと、自分には関係ないこと等と人権意識を遠ざけている人も少なくない、何とかしよう」という意見がある反面、「八頭町部会単独で企画するのは如何なものか」など賛否両論で推移していましたが、新年(平成28年)を迎え、講師のめども立ち、実行の意向へと移っていきました。
当初は、6月1日「人権擁護委員の日」に合わせて行うのが最も相応しいと考えていましたが、ネックとなるのが予算でした。そこで町の通称“人権予算”をお願いするために、町長に要望書を提出しました。しかし、町側のご都合もあり、平成28年7月31日(日)の実施となりました。
そもそも八頭町は、「人権」を町政の柱とする“人権の町”として人権に関わる講演会や集会など比較的人権イベントが多い町と言えます。でも町民の中には、人権意識が必ずしも充分とは言い切れないのが現状です。身近な人権感覚に「気づき、学び、考える」講演会は、八頭町人権推進協議会(人推協)主催恒例行事に、私たちの自主企画をそっくり組み入れる形で開催されました。
演題「見えないから見えたもの」、講師・竹内昌彦さん(70歳)は、8歳で失明、岡山盲学校(県立)卒、筑波大卒の後、母校にて教諭、教頭を務められました。教師として、目の不自由な身から多くの苦難を経験された独特の実感に満ちた具体的内容の“竹内節(ぶし)”は評判を呼び、今や、全国各地で年間250日以上の講演活動をされています。
ほぼ満席の中ホール(500人収容)では、講演前の時間を利用して八頭町部会全員が人権擁護委員の意義、役割、活動などを分かりやすく発表しました。竹内さんの講演には涙する人も多く、入場者の多くが障害者差別解消法について障害者理解を一歩進められたのではと委員一同、いささかの自負を感じました。それと同時に委員個々が企画から活動に関わることで、日々の人権活動への志向をより深めたのではと思っています。
(鳥取県連・鳥取協議会 湯浅 宗生)
みんなの企画力で親しまれる会報に
県連は「委員の資質向上と地域住民に対する人権思想の啓発に資するため」と会報発行の目標を定めている。平成18年の創刊、年2回(9月と2月)に発行し現在24号、人権擁護委員及び教育機関、公共団体等に配布している。
編集委員は全協議会から選出され、9人で企画・編集・配布計画を行っている。編集経験者が少ないことから、5月の1回目に県連事務局の配慮で実務研修を実施している。
6月の委員会で企画書を作る。事務局長を交え、各協議会の動き、ニュース性があるもの、委員の役割・活動の紹介など、各協議会の様子を提案しあってみんなで決定する。その後、ページ毎の担当を決めて文字数、写真、レイアウトに取り組み、原稿を依頼すれば70%の出来上がりまでこぎつける。
会報は、手に取って読んでもらわなければ意味がない。心掛けていることは、見やすいことである。文章を短くし写真を多用するとともに、写真説明も大切な情報として丁寧に扱っている。先日の実務研修の講師から写真の引用・説明についてお褒めの言葉を頂戴し嬉しかった。
依頼した原稿は締切を待たずに届くので、編集作業は余裕で進むが、原稿の量が合わないことがある。執筆された方の意向をうかがい、調整する。少々であれば委員会に任せていただくこともある。
23号から紙面を大幅にリニューアルした。
文字を1ポイント大きくし全紙8頁カラー印刷にした。「人権いわて」の飾り文字と委員き章の元となったカタバミの花は、絵の得意な委員の作画である。執筆してくださった方々と共に、編集委員会の思いを載せた手作りの会報となっている。
24号のホットな記事をひとつ紹介する。中高生とプロサッカー選手との人権教室で「サッカーはミスの多いスポーツ、失敗した選手を責めず、助け合いの心で、いじめや差別のない世界を作っていこう」とプロ選手の話を記事にした。憧れの選手の言葉は生徒たちの心に届くとともに、記事を読んだ方々にも響いたと思う。さらに日頃の委員活動の励みにもなるのではと期待している。
(岩手県連・前編集委員長 大森 貞子)
- 「人権のひろば 2017年5月号」掲載の人権啓発活動plus
-
エプロンシアター ~望まれて~
命の誕生「ぼくをみんなが待っている」の実践を通して「きょう、大せつないのちのべんきょうをしました。かえってからおかあさんにぼくが生まれたときのはなしをききました。10日早く生まれたけれど、げん気な男の子でとてもうれしかったそうです。じこやびょう気に気をつけて、一つしかないいのちを大せつにしたいです」(八幡浜市立宮内小学校 1年 山ア大也)
「赤ちゃんがどんどん大きくなって、くらいトンネルをとおって頭が出てきて体が出てきます。わたしもそんなふうに生まれてきたのかなと思いました。いのちはとても大切なものでみんなをうれしくしあわせにするんだと思いました」(2年 大森悠愛)
これは、平成29年2月7日に実施した人権教室出前授業後の児童の感想です。平成21年、喜多灘小学校での出前授業を皮切りに現在まで、絵本『いのちのたんじょう』(ぱすてる書房)をもとに、工夫・改良を重ねて、可愛いエプロンとお父さん・お母さん・おじいちゃん・おばあちゃん・お兄ちゃん・お姉ちゃんの家族人形の作成、効果的なBGMの挿入、授業の終末に赤ちゃん人形を抱っこして実際にその重さを体感するなど、大洲人権擁護委員協議会独自の手作り教室が完成しました。任期に伴う委員の入れ替わりはあるものの、先輩の委員が大切に伝承してきた命の尊さを伝える着実な取り組みが、新たな委員に引き継がれ、これまで根付いてきたのです。
更に、今年度は、例年の保育所・幼稚園に加え、小学校からの出前授業の要請が増え、計12校での実施となりました。大洲・西予・八幡浜・内子・伊方の5部会の子ども人権委員がそれぞれの地域の実情や園児・児童の発達段階を考慮し、実施校と綿密な打ち合わせを行い、最も適した資料や効果的な手法による実践が行われています。
今後も、子ども達の純粋な感性に働きかけ、素直な問いに応える出前授業は、子ども達の人生に於て輝き続けることでしょう。
(愛媛県連・大洲協議会 福冨 洋子)
人権侵犯事件関与への取組
当協議会(委員数45名)では、平成27年9月から人権侵犯事件への関与について協議を重ねてきました。端緒は同年の全連総会で配布された「委員が関与した人権侵犯事件アンケート調査」及び人権擁護局長説明です。
最初に取り組んだのは、翌28年1月、各委員の事件関与に関する経験や認識を把握するためのアンケートでした。その結果分かったことは、過去に人権侵犯事件に関与したのは僅か4名だったこと、多数の委員が関与について前向きに考えている一方で法律や専門知識の不足等を理由に不安・躊躇をしている状況でした。
この結果を受け、法務局職員を講師にお願いして、事件の受理から処理までの流れや日数、関与に当たって委員に求められている資質等について説明会を実施しました。次に、関与のスタート日を平成28年10月1日に目標設定し、法務局とルールづくりに着手しました。愛知県連・名古屋協議会の取決めを参考に、@組織体として関与することA法務局・協議会との連携・連絡方法B担当委員の人選方法C担当委員の関与の仕方、範囲及び留意事項等について協議を重ね、5月末に法務局と当面の合意に至りました。
合意内容を全委員に周知するため、7月に意見交換会を開催し、多くの委員の理解を得ることができました。なお、僅かですが躊躇している委員には「協議会は必要に応じて研修会、説明会等を随時開催するので、まず経験してください」と説明し、理解を得るよう努めました。
その後、全委員に「担当事案についてのアンケート」を求めた結果、70%近い委員から関与の意向が示され、検討に着手して約1年、目標通り10月1日に協議会として人権侵犯事件への関与をスタートすることができました。
現在、円滑に進んでいますが、初めて経験した委員から「緊張の連続だったが、法務局職員と2人の委員で関与したため、精神的に余裕を持って臨めた。1人で対処する相談対応の方が難しいように思う」との感想も出ています。
今後も委員の意見を聞きながら、協議会として、より充実した人権侵犯事件への関与ができるよう工夫を重ね、委員の使命を果たしていきたいと考えております。
(京都府連・京都協議会 青田 勝郎)
特別支援学校や障害者施設における人権啓発について
5年ほど前から「特別支援学校の教職員35名」向けの人権講話を依頼され3年続けて実施してきた。そして2年前から、「障害者施設の入所者、その家族及び職員約70名」向けの人権講話を依頼され2年続けて実施している。
似たようなケースではあるが、対象者が異なるので講話内容には難しさがある。特別支援学校向けは、対象が教職員のみであり、通常、障害者の児童や生徒を指導する環境にある先生方。講話内容は、毎年学校側と相談して決めている。その都度、社会情勢をかんがみ、タイムリーな話題をと心がけている。
一方、障害者施設向けは、講話内容の設定がかなりむずかしい。対象が施設入所者(障害のあるひと)、そしてその入所者の家族および入所者の指導を担当する職員(先生)であり、それぞれ立場が異なる。講話の構成は、この方々がお互いに影響のないよう、配慮が必要となる。勿論、講話内容は、予め施設と打合せ、私の方から提案し、施設の了解のもと実施している。
一昨年の講話内容は、(1)国内の主な人権課題、(2)障害のある人と共に働く、(3)福祉施設における知的障害者虐待事件例。国内の主な人権課題は、参加者の皆さんに共通な話題。そして障害者のある人と共に働くについては、この施設では、入所者が販売品を作る仕事をしていて、職員と共に行っている。その時、「ちょっとした思いやり」でその仕事をうまく実行できる、というもので職員に好評であった。(3)については施設からの要望で過去の事件例を紹介。講話後、それぞれの方々から質問が30分間も続いた。そして、帰り際に、家族の方から、「このような人権の話は、今まで聞くことは無く、大変参考になった」と、感想を言われ、さらに毎年やってほしいとの要望もあった。
昨年は、(1)「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」について、(2)「ぷれジョブってなあに」、(3)「携帯電話やパソコン使用による人権侵害」等について話した。この時も、たくさんの質問が出て、次回も楽しみにしているところである。
(茨城県蓮・水戸協議会 吉原 桃八)
- 「人権のひろば 2017年3月号」掲載の人権啓発活動plus
-
自慢の人形劇
小松協議会では、幼い子供たちに向けての人権啓発活動として、動物が演じる人形劇を持って、保育園や小学校へ、また時には高齢者施設へも巡回公演をしています。
今年度は、協議会全体(小松・能美・加賀の3部会)で47施設を訪問し、約4千人に見ていただきました。
この人形劇は23年前、小松協議会の女性委員たちが企画立案して作られました。人権意識を社会に根付かせるためには、まず幼い子供たちに「人と仲良くすることは楽しい」とか「みんなそれぞれ違っていてもそれで普通なの」と知らせることが大事と考え、他人を思いやる優しい心を育てたいと始めたのです。
登場する多くの人形を作り、舞台や背景を作り、脚本を書き、セリフや音楽、ナレーションをテープに吹き込み、全て自分たちの手で作り上げた人形劇。演目は「どうぶつむらはみんななかよし」の他、五題あります。
当初は女性だけの活動だったそうですが、今は男性委員も一緒に、全員で役割分担しながら取り組む、協議会のメインの活動です。
上演の回を重ねる毎に、舞台設置・撤収の手際が良くなり、「私たちプロみたい」と自賛の軽口が出るぐらいです。
観ている子供たちの目が見開かれ、集中している気配。劇が終われば、声を合わせて動物たちの名を呼び、口々に「謝って優しいオオカミになってよかった」など、感想を話してくれます。私たちの嬉しい一瞬です。
先輩が作り、ずっと続けてきた人形劇は、私たちの財産です。これからも大切に育てていきたいと思います。
(石川県連・小松協議会 上田 黎美)
広報・啓発の活動に力をいれて
本県連は、政令指定都市の横浜、川崎、相模原と湘南、横須賀、西湘二宮、厚木の7協議会、402名の委員から成り立っています。県連には、総務、男女共同参画社会推進、子ども人権と広報・啓発の四委員会があります。
本委員会の目的は要項により、「連合会の各委員の活動を活発化させるための支援及び対外的に委員活動をPRすること」と定められています。目的達成のために行う事業は、@啓発事業の企画・立案、A講演会、座談会、意見交換会等の広報活動の実践、B機関紙「絆」の発行の3点です。主な事業はBの「かながわ人権だより・絆」の発行で、@Aについては機関紙の中で紹介する形になります。
広報・啓発委員は、7協議会から選任された委員と会長を含めた8名によって組織されています。そして、依頼原稿と委員が取材してまとめた原稿を元に、絆を年間2回、9月と3月に発行しています。
絆の形式は、8ページ構成となっており、1ページと8ページは外部の注目を集めるためにもカラーページとして、カラー写真を使っています。ページが生きるように、1ページは、9月は県連独自に行っている「いきいき子ども写真コンテスト」入賞作品から抜粋した写真、3月は県ネット事業で行うハートフルフェスタでの人権作文表彰式の受賞の写真などを用いています。
同じくカラーの8ページは、9月は相談窓口や子ども人権委員会が作っている「人権レスキュー」のポスターなど、3月には広報・啓発委員会として研修したことを元に、児童虐待についての相談機関などの見学記に、写真を多くし掲載しています。
2から7ページに関しては委員の刺激になり活動が活発化するよう、地方法務局長挨拶、県連総会や委員研修会、ハートフルフェスタにおける表彰や朗読の様子、講演会、各協議会の特色ある活動を紹介する協議会だより、新委嘱委員紹介、会長・副会長会議を含めた委員会の活動の様子を載せています。
「絆」を人権擁護委員だけでなく広く関係機関等に配布して、人権擁護の大切さ及び委員の活動ぶりを知ってもらい、委員との接点を少しでも増やせられればと願っています。
(神奈川県連広報・啓発委員会委員長 佐藤 英勝)
ブロックの活動が協議会の原動力
北見人権擁護委員協議会は、釧路地方法務局網走支局、美幌・遠軽出張所の統合と平成の市町村合併を経て、現在は2市11町の59名の委員で構成されています。
協議会の総会と常務委員会を終えると、7つの地域で構成されたブロックの打合せ会が始まります。釧路地方法務局北見支局の支局長や総務課長、市町の人権擁護担当職員、事務局と委員が出席して、委員活動の主軸とも言える人権相談と人権啓発活動について協議します。
委員は、推薦された市町での地域に根差した活動を行ってきた経験があり、地域の状況に応じたきめ細かな啓発活動を展開しています。活動は人間関係ですから、その基盤は信頼関係です。「任せる」「任せられる」という安心感から活動は始まりますので、その信頼関係は絶対に保たれなければなりません。
啓発活動のひとつである人権教室は、地元の委員が事前に学校と協議し、開催しています。子どもたちの年齢に応じた内容であるか、授業の進め方、特にどこまで理解してくれているかの問いかけ、あいづち、まとめ方など、それなりの技量が求められます。委員の中には児童・生徒の前で話をすることに慣れていない人もいて、緊張のあまり「眠れない夜」もあるそうです。
そこで、2日間の日程で開催される秋の研修会において、OJT―子ども人権委員会の委員が講師となり実際の人権教室を再現しての研修を企画することになりました。ブロックの委員がともに参加することで、不安の解消を図り、新たな視点と人権教室の題材が得られ、強い絆が生まれると思っています。さらには、子ども人権委員会の委員の活動を学ぶことにより、委員としての向上心が刺激されることを期待しています。
3人寄れば文殊の知恵と言います。委員として「しんどい」こともありますが、多くの仲間と支え合って、一歩踏み出す勇気を持って前進したいと思います。
(釧路連・北見協議会事務局長 谷 昭廣)
- 「人権のひろば 2017年1月号」掲載の人権啓発活動plus
-
市老人福祉センターで人権ふれあい教室を開催
浜松協議会では、毎年、浜松市内にある市の老人福祉センターにおいて施設の利用者やシニアクラブなどを対象に「人権ふれあい教室」と「特設人権相談」を開催しておりますが、本年度は、「老人福祉センター湖南荘」において実施しました。
事前に老人福祉センターと打ち合わせを行い、人権擁護委員制度の概要説明と人権啓発DVD『いのち輝くとき』の上映が決まりました。「開催ポスター」を作製し、このポスターを老人福祉センターや地域の区役所などに掲示し、周知しました。
開催当日は、当センターの「元気はつらつ教室の参加者」と「一般来客者」の方々に参加していただき、最初に、本日のスケジュールを知らせ、人権擁護委員が人権に関する基本的な事柄と人権擁護委員の活動について説明しました。
次いで、DVD『いのち輝くとき』を上映しました。虐待防止がテーマです。マンションの住民が「ふれあい菜園」と名づけられた畑で花や野菜を育てていて、同じマンションに、父親が子どもを虐待していた家族が転居してきたので、住民たちが「菜園」での花づくりを提案し、この家族が立ち直っていくという筋書きを、まず説明しました。
鑑賞後、人権擁護委員が「子どもの虐待から家族が立ち直れたのは、住民の温かい心づかいと支えがあったから」と解説し、「自分の人権も、相手の人権も大切に守りながら、地域社会でともに支え合うことが人権尊重の社会につながる」と述べて「人権教室」を終了しました。
dvi「特設人権相談」は、常日頃から社会参加により生きがいを持っている高齢者ということもあり、相談はありませんでした。
浜松協議会では、今後も高齢者福祉施設などを活用して、より多くの人々が人権に関心を持つことができるよう様々な形での啓発活動を進めてまいりたいと考えています。
(静岡県連・浜松協議会 野々山 勇)
高齢者への啓発活動
高齢者に対する虐待は目に付きにくいことが多く、また高齢者自身も認知症で虐待を受けていると自覚できないことがあるため、周囲の人たちや高齢者は被害を訴えることが困難な場合が少なくありません。そこで、新聞などで報道された事例に基づいて、高齢者虐待の実態を知らせ、高齢者虐待を防ぐことを目的として講演活動を行っています。
具体的には、「男女共同参画社会のあり方」を通して、“高齢者は地域や家族の先輩”と気付いてもらい、世代を超えたコミュニケーションの実現を図ることで、お互いに援助の手を差し伸べやすい環境作りを目指しています。高齢者自身のハッピー生活術についても考える企画を実施しています。魅力的な講演にするために参加型を取り入れて、実際に参加者にロールプレイをしてもらっています。
ある夫婦の会話(朝)
夫「お~い!新聞!」
妻「はい、どうぞ」
夫「お茶、まだか?」
妻「はい、お茶ですよ」
夫「めし、まだか?」
妻「もう少し、ちょっと待ってね」
夫「すっと食えるようにしちょけ!」
妻「はい、できました」
夫「おい、はし。湯呑みは?」この後、どんな会話が続くか見当はつきますよね?
あれから30年が経ちました。
2人はもう85歳になってしまいました。夫「おい、今度生まれてきた時も、また一緒ぜよ!」
妻「えっ!何か言ったかね?」
夫「また生まれかわっても一緒ぞ!」
妻「うん。えいけんど、今度は反対ぞね!」
夫「何?反対?」
妻「そう。つまり、炊事、洗濯、家事は全部あんたがするということよね!」
夫「そら、困った。何もできんき、今からでも教えてくれや!」
妻「えいぞね。ほんなら今晩から一緒に夕飯作るかね?」
夫「うん、わかった」そのほか、「老いの才覚」「成年後見制度」「遺言書の書き方」「あなたを最高に幸せにするとは?」「オレオレ詐欺の対処の仕方」等について、そして、明日は我が身かもしれない「認知症に対する社会支援のあり方」について啓発をしています。
(高知県連・高知協議会 吉川 葉子)
心に残る人権教室をめざして
当協議会は、1市3町の32名の委員で構成され、そのうちの10名が子ども人権部会に所属し、他の委員の協力を得ながら、人権教室・人権の花運動などの活動に取り組んでいる。昨年までは、ランダムに小学校を選び人権教室を開催していたが、今年度から、郡市内の小中学校を3つのグループに分け、3年で一巡するように計画してみた。
年度当初、郡市校長会でこの旨を説明し人権教室開催のお願いをしたところ、中学校を含む18校から承諾の返事があり、早々と開催校を決定することができた。幼稚園・保育園も例年通り3園で実施することになった。
さっそく部会を開催し、各学校の授業者を決め、開催までの手順、役割分担等について確認した。徐々に組織的に活動できるようになってきたと感じている。
小学校の人権教室では、絵本『花さき山』や紙芝居『白い魚とサメの子』、DVD『プレゼント』、その他「自作資料」を題材に、命の大切さ、思いやりの心の大切さ、勇気を持つこと、相談することの大切さなどについて、子どもたちと一緒に考えることができた。
中学校では、NTTドコモとの連携による人権教室を開催し、スマホ・ケータイの安全な使い方について学んだ。中学生にとってとてもタイムリーな内容だったので参考になったと思う。また、ダイヤモンドランキングを活用した「人権ランキング」、中学生人権作文から「リスペクトアザーズ」を題材にした授業も行われ、生徒たちが活発に意見を交わす姿が見られた。自分の考えと比べながら友だちの話に耳を傾け、人権について一生懸命考えている姿が印象的だった。
今年度は、人権教室の回数が例年より多く、時期的にも10月・11月に集中したため、子ども部員は大忙しだった。それでも、何とか無事に終えることができてほっとしている。「人権」という言葉を初めて聞くという子どもは多い。そんな子どものためにも、人権の種をまき続けていきたいと思う。
(秋田県連・能代協議会 三浦 洋子)
- 「人権のひろば 2016年11月号」掲載の人権啓発活動plus
-
協議会の合い言葉を設定 ~組織活動の活性化を目指す
委員定数39名(充足率100%)の名護人権擁護委員協議会。これまで那覇地方法務局名護支局の方々の行う人権尊重思想の普及高揚のための「人権擁護事務」等々、手を相携えて取り組んできました。しかしながら、委員各々が他の要職を抱えながら委員活動に従事していること、人権擁護委員の役割に対する不安や組織態勢・組織運営の課題等から充分にその機能を果たせなかったように思われます。
特に委員全員による創意工夫ある活動、委員個々の存在感を高め、人権擁護委員としての意識高揚を図るための方策を講ずることが大きな課題だと思います。委員1人1人の「参加型活動」・「役割分担の明確化」、更に協議会のキャッチフレーズ(合い言葉)を設定し、委員全員が同じ目標に向かって目的達成に努めることを大切にしていくために、次の事項を名護協議会の合い言葉に据えました。
「みんなで活動 高めよう人権意識」
人権擁護委員法第二条に 「人権擁護委員は、国民の基本的人権が侵犯されることがないように監視し、若し、これが侵犯された場合には、その救済のため、すみやかに適切な処理を採るとともに、常に自由人権思想の普及高揚に努めることをもってその使命とする」と記されています。 使命に応えるために私たちが今、何をどのように展開すればよいのか、委員1人1人が、どのような姿勢で臨めばよいのか、常に念頭において創意工夫のある「実践活動」をしなければなりません。
現状を把握し、より積極的態度で「みんなで活動 高めよう人権意識」の合い言葉の下、人権啓発活動に取り組んでいく決意でいます。
(沖縄県連・名護協議会会長 安田 榮蔵)
「う・ま・い・よ」を合い言葉に
私たちの協議会は、2市1町(倉敷市・総社市・早島町)の48名で構成し、@総務・調査A相談・男女共同参画B広報啓発C子どもの人権の4部会に分かれて活動しています。それぞれの部会が、協議会の核となる活動を計画、立案し、委員全員で取り組んでいます。その取り組みの中で、より意味のある啓発、相談活動ができるようにと、全体や部会単位での研修会も実施しています。
「人権意識は幼い時から」という思いが強く、親子が必ず同席する小学校の1日入学の行事の中で、人権キャラクターを使った啓発を続けています。親子が同時に同じ話を聞くことで、人権ということをほんの少しでも認識してもらえればと思っています。また幼稚園や保育園での啓発も、ペープサートや大型絵本、忍者のなかよしの術の巻き物など、子どもたちがお互いをより大切に思ってくれるようにと、内容を工夫し考え活動しています。
「人権の花運動」の活動は、世界人権宣言のパネルの展示と合わせて、各学校の取り組みを写真で紹介し、希望する児童に「花の大使」として、啓発活動に加わってもらっています。
施設における相談・啓発、高等学校におけるデートDVの出前講座とそれぞれの部会が活発に活動しています。またステージの上から啓発をと、市主催のコンサートに応募出演したり、中学生人権作文発表と講演会も開催しています。中学生の思いを1人でも多くの人に知ってもらうために、市町から補助を受け、中学生人権作文集を発行し、関係機関に配布しています。
だんだんとふくらんでくる活動のスクラップ&ビルドを工夫しながら、今後の活動もうるおい、まとまり、いきおい そしてそれが よろこびにつながるように楽しく取り組みたいと思います。「う・ま・い・よ」私たち協議会の合い言葉です。
(岡山県連・倉敷協議会 能登原 裕子)
「ペープサートによる啓発」
高山人権擁護委員協議会では、委員50名が全員参加・全員出演を目指して、小学校や高齢者施設などを訪問してペープサート(紙人形劇)による啓発に取り組んでいます。
ペープサートとは、紙人形を棒の先につけてそれを操りながら劇を行う紙人形劇をいいますが、当協議会のペープサートの歴史は古く、平成12年から行われています。今では年間23回、延べ2590人(平成27年度)の前で上演しており、当協議会の大切な啓発活動の一つとなっています。参加者に楽しみながら「思いやりの心」「かけがえのない命」について考えてもらうとともに、「人権」という言葉やその意味をわかりやすく伝え、人権感覚が豊かになることを目的としています。
現在、上演するペープサートは5演目ですが、学校の規模や対象者により、演目を選んでいます。上演の前には、「人権の種」はどうやって育つのか、上演する話のどこが「人権」に関わるのか気づいてもらえるよう問題提起をして、終わった後には、当協議会の委員が作詞・作曲した歌を合唱したり、実際の人形を使って、「人権」が守られたときの人形の顔を参加者に作ってもらうなどの工夫もしています。
しかしながら、ペープサートの上演にはそれなりの苦労もあります。
ペープサートの主役である人形や背景、小道具などはすべて委員手作りであることから修理と改良が欠かせません。また、台本は同じでも地域の言葉や話題などを取り入れた内容にするなど、見る人を飽きさせない努力も必要です。
当協議会のペープサート上演については、今後とも継続していく中で、更なる工夫を加え進化させながら、次代を担う子どもたちや高齢者施設などの皆さんの笑顔を求めていきたいと考えています。
(岐阜県連・高山協議会 加藤 雅宏)
- 「人権のひろば 2016年9月号」掲載の人権啓発活動plus
-
平成28年度連合会総会より
【委員研修「LGBT」】
昨年の電通による調査結果では13人に1人がLGBTということだが、その人権については議論が出始めたが理解度は低い。
6月に行われた旭川連合会総会では、このことについての理解を深めるため、講師に札幌市の高校教諭で性同一性障害当事者の日野由美さんを迎え、委員研修を行った。
日野さんは、自身の性(男)を受け入れられない「性同一性障害」と気づき、学校や社会の中で生きていく困難さを感じたそうだ。いじめにも随分遭ったが、「母親から『親子の縁を切る。2度と私の前に現れないで』と言われたことほど、辛く・悲しい思いはなかった。しかし、どうしても女性になりたいという思いが強かった」と話された。
続いてLGBTの人権運動について映像を見ながらお話しいただき、最後に学校現場で起きているいじめについて触れ、「誰にも相談できずに悩んでいるLGBTは必ずいる。小さな子どもたちをそっと抱きしめてあげてほしい」と結ばれた。
自分自身の性を受け入れられない辛さや親にも社会にも認知されない孤独感等を、当事者の生の声で聞けたことは衝撃的だった。
今、日野さんは、悩み苦しむ人たちの支えになる相談窓口を設置し、LGBTを理解してもらうための講演活動を行っている。
「性」にとらわれず、人間として相手を尊重し共に生きていくことの大切さを、痛切に受け止めることができた講演だった。
【人権カルタ】
ところで、当日の総会では、高齢者・障害者委員会が昨年来取り組んできた「人権カルタ」がお披露目された。
啓発要請が増えるにつけ啓発資材の開発が急務となっていたが、委員会全員で文案を練り、画は旭川協議会の谷口委員に依頼。表現が難しいと思われる文面にも素晴らしい画をつけていただき感動している。
全連での高齢者・障害者委員会設置で、全国からの資材提供、共有を期待したい。
(旭川連・旭川協議会 小杉 静江)
吃音を生きて、見えてきたこと
平成28年度大阪府連総会における委員研修会で、大阪教育大学元専任講師、日本吃音臨床研究会会長で「伊藤伸二ことばの相談室」を主宰されている伊藤伸二氏の講演を聴く機会があった。
吃音といっても、ほとんどの人が、この「どもり」という問題がどれだけ人を悩ませるか実感できない。「それぐらいのことで、何でそんなに悩むんだ」と、人からは見られると話された。
理解を深めてもらうために、現在も大阪スタタリングプロジェクトでセルフヘルプグループの活動を続けられている。国際吃音問題研究国際大会を大会会長として開催され、国際吃音者連盟の顧問理事も務められている。
伊藤氏は、小学2年生の秋から吃音に強い劣等感を持ち、深く悩んでこられた。「吃音は悪いもの、劣ったもの、恥ずかしいもの」と考え、「どもりを隠し、話すことを避けよう」と生活してこられた。東京に出て、明治大学に通うと共に、どもりを治そうと吃音矯正所に通ったが、吃音は治らなかった。
そこで、どもる人のセルフヘルプグループ「言友会」を設立し、全国組織の会長として活動されてきた中で、「吃音はどう治すかではなく、どう生きるかの問題だ」と確信されるようになった。
「大切なのは、世間の吃音に対するイメージに、自分がどう立ち向かうかなんだ」と、「親子サマーキャンプ」を開催されるようになった。今年で16回目となり、小学生から高校生までの子どもたちと親御さん、スタッフ、併せて140名が参加している。講演の中で「親子サマーキャンプ」の様子を取材したビデオが公開された。
参加者の多くは、このキャンプで吃音の仲間と出会って心を開いていく。話し合いを重ねながら、吃音について、自分自身について、理解を深めていくことにより、喋ることが、からかわれ笑われる原因から、仲良くなる手段へと変化していく。
深く感動し、「吃音についてプラス思考に捉える、前向きに生きる大切さ」を共感し学ぶ良い機会となった。
(大阪府連・第一協議会 榊原 孝司)
総会の持ち方について
青森県連には6協議会があり257名の委員が活動しています。例年の総会は、100名弱の委員が集まり、事業報告や次年度の計画について検討をし、その後の研修では、講演を一方的に聴くというものでした。
年に1度しかない貴重な1日を有効に活用するために、委員同士の情報交換の場とする一方、もっと主体的に参加できる進め方ができないかと、この1年間、理事会及び事務局長会議、各協議会等で検討を続けてまいりました。
まず日程の見直し。これまでは平日に実施してきましたが、参加しやすさを考慮して、思い切って土曜日に変更しました。
最大の課題である委員同士の交流については、ワークショップ形式の研修を企画しました。1つのグループに異なる協議会のメンバーが入るよう事前にグループ分けをして、地域の関わりが持てるよう配慮しました。
総会資料は、事前に理事に発送し、検討して来ていただくことにしました。一般の委員の皆さんにも同様にしたかったのですが、限られた予算の中ではかないませんでした。課題が残ります。
さて、当日。総会の参加人数は例年と同じぐらいでしたが、講演後の導入部分である自己紹介では、時間を忘れて会話する光景が見られ、続くグループでの議論が活発になるなど、工夫は功を奏しました。その後の懇親会も多数の方が参加して賑やかにおこなわれ、次年度の再会の約束まで飛び交いました。
一人でも多くの委員が参加し、情報交換が今後の活動に活かされることを願い、総会の持ち方について検討を続けていきたいと思います。
(青森県連事務局 三津谷 志津子)
- 「人権のひろば 2016年7月号」掲載の人権啓発活動plus
-
雪の降らない街「宮崎」
55年前、「南の島に雪が降る」という日本映画が公開されたことを、今年(平成28年1月)の、日本列島を襲った大寒波による沖縄・奄美地方での雪の様子を、テレビニュースで見ながら思い出しました。
私たちの所属しております宮崎協議会は、その大半を占める宮崎平野が、九州山地と太平洋を北上する黒潮に抱かれていることから、雪がほとんど降りません。そんなことから、当地はプロ野球、社会人野球、サッカー、ラグビーなどのキャンプ地として、また、サーフィンのメッカとして人気を得ているところです。特に最近では、ラグビーに関心が高まり、「五郎丸ポーズ」を真似しながら元気に駆け回る子どもたちの姿を見かけることも多くなり、頼もしく感じているところです。
さて、本県の人権擁護委員連合会は4つの協議会で構成されています。当協議会には、本県人口110万人のうちの45%、50万人を対象に活動を行うべく現在70人の人権擁護委員が配置され、人権相談、人権教室、啓発活動などに地道に取り組んでいるところです。
全国の協議会のなかには、腹話術、奇術、大型紙芝居などを活用した啓発活動に積極的に取り組んでおられるところがあるようです。私たちも、参考にしながら、より効果的な活動にしたいと考えているところです。
例年、人権週間におきましては、宮崎県、法務局、協議会の共催で宮崎市内の大型商業施設の一角をお借りして、ジンケンジャンケンショー、人権ソング合唱、人権作文・ポスター表彰等を行っており、昨年は、小中学生の一日人権擁護委員委嘱、人権作文の朗読など子どもに力点を置いたイベントを開催しました。
次代を担う若い人たちの正しい人権意識の醸成を図る重要性、大人の責任については、言を俟たないところだと思います。子どもたちの心に何を届けてやれるのか、これまでの経験・知識に新たな知見を加え、自分磨きに努めたいと考えております。
(宮崎県連・宮崎協議会 日 義郎)
高崎人権擁護委員協議会の啓発活動について
本協議会は、高崎市、藤岡市・多野郡神流町、安中市からなり、それぞれの市で行っている啓発活動について紹介する。
高崎市
「たかさきスプリングフェスティバル」で、市のサポートを受け、街頭啓発においては、人権擁護委員の活動内容等を紹介するパンフレットや啓発物を手渡しながら、「困ったことがあったら気軽に相談してくださいね」の言葉を添えている。子どもたちに人KENまもる君・あゆみちゃんのぬり絵を配布し、作品を作ることをとおして友だちと仲良くすることの大切さを伝えている。「人権を考える市民の集い」でも市のサポートを受け、人権擁護委員が中学生の作文から優秀作品を選び、この会場で表彰し、生徒の朗読も行っている。
このほか地区の行事に合わせて、地域の委員が啓発活動を実施している。
藤岡市・多野郡神流町
「ふじおか産業フェスタ」「鯉のぼり祭り」「恐竜祭り」「桜山祭り」の機会を利用し、啓発物品と啓発チラシを配布している。積極的な声がけにより、来場者の方々に人権への理解を得られるよう努めている。安中市
市のイベント「安中遠足」(侍マラソン)の前夜祭行事として開催される小・中学生を対象とした「子どもミニ遠足」において、市のサポートを受け、街頭啓発、ぬり絵、人権アンケートなどをとおして人権問題の意識化を図っている。「遠足」は江戸時代に鍛錬のために徒歩競争をしたことが始まりの行事で、日本におけるマラソンの発祥と言える。毎回、たくさんの仮装したランナーが出場することでも有名。
また、障害者の社会参加を基本理念とし、障害者と健常者が共に歩む「まついだ夢伝大会」でも人権啓発を行っている。
このようにより深く人権について理解していただけるよう、機会をとらえ啓発活動に努めている。
(群馬県連・高崎協議会 佐藤 瑞恵)
人権擁護委員が中学生を体験「スマホ・ケータイ安全教室」
昨年の夏、子ども人権委員会のある委員(東広島竹原協議会)が、自身の担当中学校の校長先生に、音楽を通して人権の大切さを中学生に伝える活動(音楽人権教室)をされている音楽家を紹介したところ、即座に「うちの学校でやってもらえんもんでしょうか」といわれたのです。それからまもなくその中学校で音楽人権教室が実施できました。中学校を動かしたのは、音楽人権教室の実際を熟知した人権擁護委員の力でした。
広島県連では、この経験を活かして、中学校に「スマホ・ケータイ安全教室」を受け入れてもらうためには、人権擁護委員がその実際を熟知した上で熱意を持って中学校に働きかけることが必要であると、広島協議会と福山協議会の全委員が、教室で中学生の役になって、まずは体験することにしました。5月13日に広島協議会と福山協議会で委員研修(テーマ「スマホ・ケータイ安全教室」講師 NTTドコモ インストラクター)がそれぞれ行われ、同日に2会場、同一内容の研修となりました。
NTTドコモのインストラクターにはパワーポイントの単なる説明にならないようにお願いし、学校で実際に行われているのと同じように進めてもらいました。生徒が考えたり、グループで話し合ったりする場面(誘い出しの手口。学校名、個人名が特定しやすい写真のネット掲載。誤解されやすい単文など)では立ち止まってもらい、インストラクター(先生)から実際に質問や指示をしてもらいました。やや緊張気味でしたが、時折、笑いや驚きの声があがるなど、楽しく有意義な研修となりました。
安全教室の終わりの5分間は、締めくくりとして、委員が、掲示板等への悪意の書き込みには急いで対処する必要があるので法務局や人権擁護委員に相談してほしいということを伝え、終了しました。
その成果は如何に。
(広島県人権擁護委員連合会 事務局長 伊藤 信吾)
- 「人権のひろば 2016年5月号」掲載の人権啓発活動plus
-
ドコモと連携した人権教室
これまで中学校では、人権座談会、小学校では、人権の花贈呈式を中心にした人権教室や人権書道、人権絵はがき等に取り組んできました。昨年度(平成26年)からは全国にさきがけて、NTTドコモと連携した人権教室を実施しています。小中学生や保護者を対象にしたこの人権教室は、本連合会とNTTドコモの連携のみならず、県教育委員会、徳島地方法務局をあわせた四者が協力をして開催しています。
関係機関との連携協力がいわれながら、実現が難しかった中で実を結んだという点で、特筆すべきものだと考えています。
県教育委員会は、スマホの問題点をもとにした人権教室について校長会で説明すると共に、県下の各校に文書を配布し、人権教室実施希望校の受け入れを担当しています。
法務局は、県教育委員会と連合会の仲介役並びに本連合会への指導助言に力を入れてくれております。
そうした中で、NTTドコモは、スマホの利便性と併せ持つ危険性についてわかりやすく説明をしています。
人権擁護委員は、それを受けて、注意して使っていても、思わぬことで困ったことになったときには、子どもの人権110番やSOSミニレターの利用を紹介すると同時に、人権擁護委員の存在と役割を知ってもらうという人権教室です。
法務省人権擁護局でもNTTドコモ本社に対して、協力を申し入れたと聞いております。この人権教室を通して、子どもはもちろん、教師や保護者の方にも知識を修得していただき、利便性の裏に潜む危険性を認識し、安全なスマホの使い方をしていただきたいと願っています。
(徳島県人権擁護委員連合会 事務局長 橋 健吾)
「いのち」と「こころ」を大切に
松戸協議会は総勢20名という少人数の人権擁護委員で小学校・放課後児童クラブを対象とする人権教室、中学・高校での人権講演会、教職員向け人権研修会、社会福祉施設での交流会等多岐にわたる啓発事業を行っているが、それを可能にしているのが人権教室に取り組む協議会の基本理念と入念な事前準備である。
人権教室や講演会を重ね、対象も小学校から広がるにつれ、私たちの意識には「思いやりの心」のみならず「かけがえのない自他のいのち」を伝えることへの共通理解が深まってきた。「いのち」と「こころ」、この2本の柱を据えることで、いじめや虐待など具体的なテーマをとりあげながらも、高齢者や障がい者の人権、DV、多文化共生等に視野を広げた人権意識の醸成を試行したのである。
小学校での教材は「プレゼント」「種をまこう」を使用し、子どもたちが自分自身の問題として捉えるような展開に努める。そのためには授業者自身が教材を何度も読み込むこと、その上でそれぞれの専門や経験を生かした自分自身の言葉で子どもたちに語りかけることが肝要である。自分の言葉で子どもたちに問いかけることで、子どもたちも素直に感情や気持ちに向き合い、双方向の展開になると考えるからである。
「あなたの夢は何ですか」を題材とした人権教室では担当委員が本文を元にテキストを作成。本人の子どもの頃の夢を切り口に子どもたちと本文を読み込んだ。またカンボジアからの農業研修生である登場人物の背景を探ることで多文化共生への理解に子どもたちを誘った。夢は自己肯定感を育み、お互いの夢を知ることで多様性や共通点を認めあうことができる。かけがえのない自他の「いのち」と「こころ」が優しく結びつく。最後に子どもたちに自分の夢を書いてもらい皆で大きな夢の木を作った。子どもたちの目の輝きは、人権教室の主役が子どもたちであることを教えてくれた。
(千葉県連・松戸協議会 森 めぐみ)
人権啓発活動・教室の工夫
砺波人権擁護協議会は、地理学的に稀有な散居村や世界遺産五箇山合掌集落を有する砺波市、南砺市と小矢部市の3市の、33名の委員で構成されています。
各市が開催する特色ある行事―砺波チューリップフェア、利賀そばまつり、なんと菊まつり、クロスランド盆踊り&花火大会等の開催時に街頭啓発括動を積極的に行うほか、様々な活動をしています。
富山サンダーバーズの試合に際し、砺波協議会の全委員が人権サポーターカードの配布に合わせて啓発物を配布しています。
女性委員18名で構成する人形劇啓発活動部会は、毎年10月~11月に10~12幼稚園(1つの園で3年に1回開催するよう調整)に出向き、前半に人形劇「子うさぎと7色のマフラー」を上演し、後半に男性委員3名の応援を得て啓発活動をしています。
子ども人権教室を、砺波市内の小学校と幼稚園で集会プログラムの1つとして行っています。小矢部市では、市内の放課後児童クラブ(1年~3年生を対象)と小学校の5か所で開催しています。
SOSミニレターを10月から11月に小中学校に配布し、8名の委員が主体となってレターの返信を行っています。
人権の花運動や人権ふれあい塾を、3市をローテーションし、指定校や施設を計画的に依頼して実施しています。
県連子ども人権部会が主管する子どもの人権を考える座談会、富山型人権教室は、県内各地をローテーションして巡回し、会場地区からそれぞれ40人程度の子どもたちが参加しています。参加する学校で事前に通知してあるテーマを学級で話し合い、代表児童が参加して意見交換します。
全県的な活動に携われるよう各委員が子ども人権部会、男女共同参画部会、障がい者・高齢者部会のいずれかに属し、部会独自の活動をしているところです。
(富山県連・砺波協議会 作農 啓一)
- 「人権のひろば 2016年3月号」掲載の人権啓発活動plus
-
協議会あげての人権教室
本年度の橋本人権擁護委員協議会の小学校の「人権教室」が無事終了した。今年も 22校(対象校28校中)で「プレゼント」を使った授業を全人権擁護委員が近くの学校で行ったのだ。
この人権教室は平成16年に橋本協議会が和歌山県連合会の事業として、人権教室を行ったのが最初である。
その後の常務委員会で、全ての学校に法務省の推薦された「プレゼント」を使った人権教室を行うことと授業は近くの擁護委員が行うことを決めて、平成17年からは小学校の人権教室が協議会の重要な事業の一つとなった。
最初の年こそ18校だったもののその後は20校から25校の間で行っている。管内の全部の小学校は、28校だが、小規模校で複式学級の学校もあり2年や3年に1回しか人権教室を行わないところもあるので、実際は平均すると95%ぐらいの学校で実施していると思う。
長年同じ学校に行っているおかげで教師や児童との関係も良くなり、花運動等事業展開のうえでかなり楽になっている。
その後、橋本協議会が、こども・男女共同参画・研修の三部会に分かれ、全員がそのいずれかに所属して活動をおこなうようになったが、人権教室は全擁護委員が近所の学校の人権教室を担当することは変わらず協議会全体の行事となって現在に至っている。
しかし、三部会の活動も活発化する中で、人権教室だけに重点を置くわけにはいかなくなり、予算も削減し約50頁の報告書も印刷は業者ではなく自分たちで作成し製本することになった。年度末で忙しい中、これも自主運営の一つと思いがんばっている。
これからは毎年1校しか実施していない中学校や高校に人権教室を拡充できればと考えている。
(和歌山県連・橋本協議会 小堀 裕弘)
障がい者人権委員会の活動
平成22年1月国連において障害者権利条約が発効されるにあたり、福岡県人権擁護委員連合会では、障がい者の人権について研修していく必要があると考え「障がい者人権委員会」を立ち上げました。
県内11協議会から集まっていただき、この委員会で何をしていくのか論議をいたしました。そこで明らかになったのは、私たち委員が、障がい者のことについてほとんど知らないことでした。それで障がい者について学ぶことからしか始まらないと思い、「障害者権利条約」それに伴う「障害者差別解消法」、「障害者の就労の実態」など、講師を招聘しての学習、障がい者のいろいろな施設等の視察研修を行ってきました。
その中で、福岡県聴覚障害者協議会では、「手話」を言語として位置付けるよう運動しているということを知りました。福岡県盲人協会では、白杖を上にあげて「困っています。どなたか…」というポスターを作り、私たちで、小中学校に配布したり、点字ブロックの調査をしたりしました。また90%以上の障がい者で運営している資源リサイクル事業の株式会社「ちくし厚生会」の視察研修では、障がい者の面々が仕事に誇りと愛情を持って働いている姿に感動しました。
さらに、障害児教育はどうなっているのか、聴覚、身体、精神障害の特別支援学校の視察研修も行い、手厚い教育が行われている実態を見ることができました。特別支援学校は、入学希望者が多く、校舎を増築しなければならない状況の中で、支援学校の校長が「これからは共生社会を目指さねばなりません」と話されました。本当にそれが大きな、そして、当然の課題であると思います。
2016年4月から「障害者差別解消法」が施行されます。「社会モデル」を基本に「障害者差別禁止」「合理的配慮」が盛り込まれています。この法律の真の実現こそ、同和問題をはじめとして女性、高齢者、子ども等々の人権問題解決につながるものと思います。
むすびに、全連、各県連そして、各協議会で障がい者人権委員会が設立され、人権擁護委員の力量を高めていかれんことを祈念いたします。
(福岡県連・障がい者人権委員会 委員長 安河内 興二)
なんのために発行するのか
~県連機関紙編集の試み~山形県連合会機関紙『人権やまがた』は、平成14年に創刊された。当時の県連会長は発行の目的を、「県連の活動紹介と委員相互の情報交換」と述べている。
この目的に沿って、年間2回発行し、総会の報告や相談事業の状況、写真による活動紹介、協議会長のエッセイや提言などを掲載してきた。
その方向性が大きく変わったのは16号以降である。アンケートの結果、委員の多くが資質向上を図る内容の充実を求めていることが分かり、これまでの方向性は大切にしながら、それに留まらず『読んでもらえる魅力的な紙面、委員の資質向上に資する紙面』づくりを目指すことになったのである。
まず表紙のタイトルや写真の様相を一新。更には、協議会輪番制による「人権教室の実践」紹介、特別企画として人権擁護課長等のタイムリーな情報や問題提起、よりよい相談のための事例シリーズなど、啓発や相談に役立つ記事を掲載した。具体的には、「虐待をなくそう」「いま人権啓発活動に求められていること」「人権擁護法案の現状と課題」などである。
また、各協議会の代表による紙上トークシリーズでは、「SOSミニレター」や「人権教室」などを取り上げた。高齢者問題シリーズでは委員寄稿の「問題提起」を受け、「日本の長寿は幸せを意味するのか」「高齢者施設での啓発の工夫」などを連載。厳しい現実は他人事ではないことが分かり、私たちに何ができるかと大きな反響があった。更に、地域医療に捧げた医師で人権擁護委員の志田周子の志を紹介するなど、編集委員自ら情報収集に努めた。委員に待たれるような機関紙づくり、役に立つ情報の提供をめざしてきたが、課題はまだまだ多い。しかし、その方向性と内容は一定の評価を得ていると受けとめている。
多様で複雑な現代社会にあって、難しい相談も多く、委員として力を高める必要に迫られている。その一助になれば、機関紙発行の意義もより大きくなるのではないかと考えている。
(山形県連・山形協議会 板垣 郁子)
- 「人権のひろば 2016年1月号」掲載の人権啓発活動plus
-
協議会活動活性化について
下妻人権擁護委員協議会は、7市3町の79名の委員で構成されています。できるだけ多くの委員が活動に携われるよう、子ども委員会、男女共同参画委員会を立ち上げ、独自に活動しています。
当協議会では毎年7、8名の委員が交代するため、子ども委員会が、新任委員を対象に、人権相談の対応方法やSOSミニレター返信の書き方の勉強会を実施しています。
SOSミニレターの用紙は10月に小学校、11月に中学校に配布されるので、11月から翌年2月ごろまで、集中してSOSミニレターが届きます。子ども委員会のメンバー10名は3名1組のローテーションで毎週水曜日にレターの返信にあたっていますが、書ききれなかった分については、毎週月曜日の常駐相談に割り振られた委員が、空き時間を利用してレターの返信を書きます。そのために委員全員が返信レターの書き方を勉強しておく必要があるのです。
また、男女共同参画委員会では、小中学校を対象とした人権教室を、市町村単位で実施しています。とくに古河市や筑西市では、市内全域の小中学校に対しての年間の実施予定表を作成し委員を割り当て、1人ないし2人で人権教室を行っています。
高校生のデートDVに関しては、古河市の男女共同参画対応室と人権擁護推進課が毎年、市内にある県立高校4校を持ち回りで実施する、NPO法人「かながわエンパワー」の方々による高校生のためのデートDV対策の講座に、私たち人権擁護委員は勉強のために参加させていただいております。まだ計画の段階ではありますが、今後、人権擁護委員が高校生を対象に人権教室を開催するにあたっては、クラス単位でと考えております。
その他、養護施設への出前相談や学童保育に出向き、紙芝居などを利用しての啓発活動も徐々に広まっているところです。
(茨城県連・下妻協議会長 増田 和夫)
人権相談のチャレンジ ~地下歩行空間における人権相談~
札幌には、JR札幌駅から地下鉄大通駅の地下街に通じる地下歩行空間―通称「チカホ」があります。この「チカホ」は、単に市民・観光客が通行に利用するだけではなく、通行を妨げない範囲の通路端で、ミニイベントの開催、地域の特産品の販売、サークル等での制作物の展示など、事前申込制で様々な用途に利用されています。
この人通りの多い「チカホ」で人権相談を実施してみたい!と考え、年度初めの4月に開催されている合同委員会で提案したところ、多数の委員の賛同を得て、実施することが決定しました。とは言っても、人が行き交うオープンな空間で果たして人権相談をしたいという人が現れるのかという不安もありました。しかし、様々な困りごとを抱えてはいるが、敢えて相談会に足を運ぶことまではしないという人も多く、また、アウトリーチ(待ちの姿勢ではなく、自らが出向いて積極的に仕掛けること)の必要性も叫ばれる時代に、このような相談を試験的に実施してみる価値は高いというのが委員の総意でした。
市民には大人気の「チカホ」利用は予約が取りにくいとの噂だったのですが、何とか実施日の予約ができ、平成27年9月12日(土)午前十時から午後四時まで、「お困りごとなんでも相談」と併せて人権擁護委員の活動を紹介するパネルの展示を実施しました。当日は、3ブースで相談を担当する人、歩行者にチラシや啓発物品を配布する人など、総勢24名の委員が時間を区切って役割を分担しました。
「人権擁護委員による無料相談、実施していまぁす」と大声で叫んでチラシを差し出しても無視されることも多かったのですが、くじけずに呼び込みを続けた結果、25件の相談に対応することができました。積極的な広報を行わなかったので、相談所を知ったきっかけは「通りすがりに見つけた」という人が23名でした。通りすがりであっても、その場で相談してみようとブースを訪れる人がいるというのは新しい発見であり、潜在的な相談者の発掘という意味でも、今回の「チカホ」での相談会は大成功で、今後の新しい人権相談の方法を考える一つの契機になったと思っています。
(札幌連・札幌協議会 八代 眞由美)
車いすバスケットボール体験教室
スポーツ交流を通して、子どもたちが障がい者への理解を深めるとともに、コミュニケーション能力や相手の立場にたった行動を身に付け、様々な人権意識を持ってもらうことを目的として、「車いすバスケットボール体験教室」が、平成27年10月27日、市立杉村小学校の6年生19名が参加して実施されました。
初めて取り組むこの人権教室は、東海北陸車椅子バスケットボール連盟に講師派遣をお願いし、名古屋法務局・名古屋市・同市教育委員会・当協議会の連携事業として行われました。
第1部は、人権擁護委員によるミニ人権教室。障がいのある人に配慮した施設、外見からは分かりにくい障がいがあること等を表すマーク等を紹介し、誰もが住みやすい社会を作ることを呼びかけました。
第2部は、車いすバスケットボール体験教室。「名古屋WBC」に所属する二名の選手が講師となってルールの説明・迫力あるデモンストレーション、DVDでの試合鑑賞後、19名全員で車いすバスケを体験しました。ランニング、シュート、ランニングシュートを念入りに練習し、4チームに分かれて試合の実践。子どもたちは慣れない車椅子でのゲームでしたが、とても楽しそうでした。最後は選手からのお話と質疑応答。たくさんの質問にていねいに答えてくださいました。
終了後のアンケートで「選手の話で心に残ったこと」には、「障がい者も生きる権利や他の人と同じように生活する権利がある」「どのような人でも努力すればいつかはむくわれる」「車椅子バスケを始めて世界が広くなった」等の記入が、「体験教室についての感想」には、「選手2人の1対1の試合がかっこよかった」「とても楽しかった。障がい者は接しにくいイメージがあったが話を聞いたりしてイメージが変わった」「障がいのある人の役に少しでもたちたい」等の記入がありました。
翌日の地元新聞ではカラー写真入りでこの体験教室が紹介され、さっそく中学校から人権教室の依頼がありました。今年度中の実施を予定しています。
(愛知県連・名古屋協議会 山口 洋子)
- 「人権のひろば 2015年11月号」掲載の人権啓発活動plus
-
プロ選手とともに人権教室
本年は、V・プレミアリーグ所属のバレーボールチーム東レ・アローズの選手によるバレーボール教室・人権教室を開催しました。これは、昨年の本県プロバスケットボールチームレイクスターズの選手とともに行った人権教室に続いての開催です。
午前中は、入念な準備運動に始まり、遊び形式を取り入れた実技指導をとおして、基礎をみっちり指導してくださいました。基礎練習の締めくくりとして、選手たちからバレーボールに取り組むようになったきっかけや挫折から立ち直った経験、チームワークで心がけていること、夢を実現するための努力などについてインタビュー形式で答えていただきました。
その後、人権イメージキャラクターの人KENまもるくん・あゆみちゃんと、人権のおじさん、おばさんによる寸劇で午前の部を終えました。
寸劇は、人KENまもるくんがくまおにいじめられていても、なかなか相談できなかったのですが、あゆみちゃんに悩みを打ちあけたことがきっかけとなって、人権のおじさん、おばさんの助力でいじめ解決の方向がみえてきたというものです。
午後は、午前中の基礎をもとにしたゲーム形式の練習と、実戦形式の練習試合となりました。
スポーツの好きな児童・生徒はたくさんいて、技術的な優劣やレギュラーポジションをめぐっての人間関係に悩むことも多々あるかと思います。スポーツ教室をとおしての人権教室を開催することで、チームワークのとれたチームは仲間を大切にしていること、ともにスポーツを愛好する仲間という意識を常に持っているということを、しっかり感じ取ってほしいと強く願っています。
(滋賀県連・彦根協議会 廣野 政三)
拉致問題を風化させないために
拉致問題が発覚してから長い長い月日がたつにもかかわらず、いまだ解決を見ることが出来ない状況が続いています。昨年、北朝鮮当局との話し合いが再開され、明るい兆しが見えたと思ったのに、1年たってもまだ何ら変化していないことは周知のとおりです。
拉致とかかわり深い新潟県の人権擁護委員として、私たちはどんな取組をしているのかを昨年度の関ブロ新潟大会において研究発表いたしました。
新潟協議会では横断幕を作り、それを掲げながら11月に「忘れるな拉致11、15県民集会」に併せて街頭活動を継続しています。また、別の協議会では劇や写真展を開催したりと多様な取組を紹介しました。
私たちの十日町協議会でも、次のような取組を行っています。
毎年、拉致に関するポスターが配布されます。各地に掲示されることも大切な広報ですが、それを集会時に人権擁護委員が掲げて話をすることで一層意識付けができます。人権教室や人権研修会の講師として招かれた折などがその機会です。講演などと違い時間的には短くても人権の話の導入として話をすることが出来ます。
この取組を通じて分かったことは、誰でもいつでも取り組める、そしてそれを継続することによって記憶の中に意識付けできる活動だということです。
また、十日町協議会には腹話術を得意とする委員がいて腹話術を使って高齢者の人権集会で話をしたところ「今まで何の気なしにいたけれど、話を聞いて大変なことだと改めて思い、涙が流れた」と感想を寄せてくれた人がいました。
人々の心の中に拉致問題が強く焼き付けられ、世論として国を後押しすることが国の交渉に力となると考えます。そのために、人権擁護委員の活動の中にいつも拉致問題を取り上げていくことが私たちの課題であると思っています。
(新潟県連・十日町協議会 南雲 カツミ)
ふくしまからはじめよう。 ~人権スペシャルマッチ
平成26年度啓発活動重点目標で、特定の国籍の外国人を排斥する趣旨の言動はヘイトスピーチであるとして取り上げられました。福島県では差別意識の解消に向けた取組の一環として、平成26年8月、プロサッカーチームと連携しての初めての人権啓発事業を行うことになりました。協力してくれたのは、福島市に本拠地を持つプロサッカーチーム・福島ユナイテッドFCです。
試合での人権啓発イベントに先立ち、人権擁護委員が法務局と共に、チームスタッフに向けての研修会、続いてサッカー選手に向けての研修会を実施しました。
8月24日の人権啓発イベント・試合は、福島県・福島地方法務局の協力の下、渡邊県連会長をはじめ約40名の県内各協議会委員が参加して、猛暑の中、始まりましたが、一転、激しい雷となり、残念ながら中断。イベントの延期が告げられ、開催は10月26日となりました。
しかし、委員たちで、入場してくるサポーターに啓発物品・チラシを配布したり、リーフレットを配布したりと啓発活動をすることができました。また、チームスタッフが横断幕・サポーターの大きな旗・のぼり等にヘイトスピーチを表現するようなものがないかをチェックしている姿が見受けられました。
10月26日は、風もなく秋晴れのさわやかな日となりました。試合は、セレモニーから始まり、両チームに対しての花束贈呈、記念写真撮影と進み、待望のキックオフとなりました。
試合は、福島ユナイテッドFCが僅差で負けたものの、ハーフタイムにはウォークバルーンの「人KENまもる君」「あゆみちゃん」がグラウンドで飛んだり跳ねたりと大活躍でした。
スタジアムの電光掲示板では両チームの紹介と共に、ヘイトスピーチに関する人権啓発テロップが流れ、まさにスポーツ組織と人権のかかわりを訴えるものでした。
(福島県連・福島協議会 遠藤 一夫)
- 「人権のひろば 2015年9月号」掲載の人権啓発活動plus
-
こども人権教室 ~「命ってすごいな!」
禅寺の心のトレーニング・センター(座禅堂)を訪れる青少年の数は相当数になります。地域の親子、学校での総合教育、スポーツクラブ、プロスポーツの選手など、各々に求められる集中力を身に付けようと座禅を試みます。呼吸法やコンセントレーションについての体験学習とあわせ、「生きるということ」「命について考えてみよう」等のテーマを通して、すべての人間が持つ人権についての学習を展開している日常です。
「1024、104万8576、10億7374万1824、これらは何の数字でしょうか?」
こう質問して、「皆さんが今、生きている前にあった命の数です」と説明すると、たいていの方は目を丸くして、数字を見ます。
あなたの生命はお父さんとお母さんの命があったからこそ生まれました。そのお父さんとお母さんにも、それぞれお父さんとお母さん(おじいちゃんとおばあちゃん)がいたからこそ、誕生できたのです。
そうです、2、4、8、16、……倍、倍と増えていきます。2代前に遡るだけで、8人になるのですから、ものすごく多くの人たちの命を、私たち一人ひとりは受け継いでいるのですね。「すごくない? これって!」という声が聞こえそうです。
一人ひとりの人間は尊い一個の命、一度だけの人生。各々が異なった人生、みんな違っていていいのです。みんな違っているから、いろいろな考え方やアイディアが生まれてくるのです。お互いを判りあえば、みんな違っているから楽しいと気づきます。
おやじがいて おふくろがいて
じいちゃんがいて ばあちゃんがいて
ご先祖さまがいて
かぞえきれない今の流れの上に
オレがいる
てつじょう(大谷徹奘・薬師寺僧侶)(函館連・江差協議会 会長 松村 俊昭)
一年間の活動を振り返って
越前・池田地区委員会に所属する委員は13人です。毎月上旬に例会を開いて、活動内容の企画・検討・確認等をし、その後、人権相談で出会った具体的な事例を紹介し合い、互いに研鑽しています。26年度は、人権相談以外に次のような活動をしました。
人権教室を2つの小学校で行いました。
1つの学校では「命」というテーマで考える場を持ちました。「自分の命は、両親、それぞれの親、その親というふうにつながっていて、家族は誕生をたいへん喜び大事に育てている。隣の友だちも同じようにつながった命を持っていて、家族から大事に育てられている」と話を敷衍していって、命を大切にすること、学校で共に生活している友だちを大切にすることを確かめ合いました。
もう1つの学校では「ともだち」というテーマで、絵本『あのときすきになったよ』(薫くみこ・作 教育劇画・刊)の読み聞かせをし、その後で1人の委員の小学校時代の回想談(内容は、病気がちの友だちとの交流)を話し、友だちへの思いやりについて考える場を持ちました。
啓発活動は、人が多く集まる催しのときに行っています。
越前市では秋に1月半ほどの間、中央公園を会場にして武生菊人形という大きなイベントがあります。その期間中に半日、人権に関するチラシやグッズを配り啓発を図っています。
また11月下旬には、男女共同参画センターとの共催で講演会を実施しました。講師は、にしゃんたさんです。
にしゃんたさんは、スリランカ出身で、立命館大学で経済学を学び、現在、大阪・堺市の羽衣国際大学の准教授として教鞭をとっています。軽妙な語り口で聴衆を大いに笑わせながら、しかし、肝心なところを言い漏らすことなく、共生について考えさせる内容の講演をされました。
お互いの違いを認め、よく生きようと努めることが、共に生きることのベースになっていることを再認識させてくれました。
(福井県連 越前・池田地区委員会 会長 伊藤 達道)
SOSミニレターの通年利用に向けて
岩手県矢巾町の中学2年男子生徒のいじめを苦にした自殺など痛ましい事件が後を絶たないが、もし、学校だけでなく他に相談できる選択肢があったなら、彼の自殺を思い留めることができただろうか?
子どもたちが発信するSOSをどう受け止めて、子どもたちをどう守り抜くかとても大きな課題だと思う。配布直後の数ヶ月だけではなく、「いつでも子どもたちにSOSミニレターを活用してもらうには」との発案に長野協議会から始まった試行的な取り組みが今年度から県下全域に広まっている。
啓発物品のファイルを活用した壁掛け箱を通年学校においていただき、委員が学校へ出向いた折にレター用紙を補充する仕組みである。「ミニレターは必ず返事がもらえることで子どもの支えになる。通年利用できることは学校としてもありがたい」などの好反響に全協議会へと取り組みを拡大したものだ。
飯田協議会での取り組み1例として、五月の連休明けに、校長・養護・擁護委員の3者でこどもたちが一番わかるところがいいと設置場所(写真)を玄関口にし、朝礼で校長から全校生徒に周知をしたところ、3日後には常時入れておく10部がすでになくなったので補充してほしい旨の連絡が入った。そして、その後四通のSOSミニレターが届いたのだ。
担当委員は子どもたちの早い反応に驚くと同時に内容の深刻さに驚き、改めて通年利用できることの利点に気付かされたという。「いじめや親からの虐待など学校だけで把握するには限界がある。地域の支えあっての学校である」との校長方針が人権擁護委員の活動に結びつき、確かな連携づくりの一歩が踏み出されているように思われる。
人権擁護委員になった初年度は学校への敷居の高さに、どのようにして学校との連携づくりをしようかと悩むこともたびたびある。ミニレターの活用状況を確認しながら一過性の取り組みではなく、いつでも、何処でも子どもたちを守る地域や大人たちの取り組みが確実に形づくられていくことを願うところである。
(長野県連・飯田協議会 宮田 美惠子)
- 「人権のひろば 2015年7月号」掲載の人権啓発活動plus
-
小豆地区部会の活動を通して
瀬戸内海に浮かぶオリーブの島・小豆島は人口3万人、2町で13人の人権擁護委員が活動しています。昨年度の活動から2つ紹介させていただきます。
1 スポーツ人権教室
プロ野球やメジャーリーグを目指す選手育成の場である日本独立リーグ、四国アイランドリーグplusの公式球団「香川オリーブガイナーズ」の選手を迎え、小学校で人権スポーツ教室を開催しました。小豆島出身の田村選手を含め四人の選手、54名の子どもたち、職員、私たち人権擁護委員が参加しました。
人権教室では、人権啓発冊子『種をまこう』の中から「いっちゃんごめんね」を選手が朗読し、子どもたちといじめについて考えました。最後に選手から、いじめは「しない」「させない」「みのがさない」のメッセージがありました。
その後のスポーツ教室では、学年別に分かれて、選手から「相手のことを考えて取りやすいボールを投げることが大切」とのアドバイスをもらって、選手と子どもたちが一緒にキャッチボールを楽しみました。質問コーナーなどでは選手の苦労話・家族への思いを通して、子どもたちは「思いやる心」「家族やチームワーク」の大切さを学んだようです。
あっという間の2時間でしたが、子どもたちの笑顔が印象的でした。私たちもいろいろな活動方法があることを学びました。
2 高齢者施設での啓発活動
人権擁護委員のお嬢さんが描いた挿絵を使い、日本昔話の1つ「桃太郎」の絵芝居ををしました。桃太郎の歌に添って物語が進行する中で、入所者の107歳になる女性が懐かしさのあまり続きを歌いだし、5番まで合唱するという楽しいハプニングがありました。
この活動は9年続いており、使用した挿絵を、幼稚園・保育所での出前教室向きにアレンジして使っていきたいと考えています。
これらの啓発活動によって、委員自身にも新たな出会いがあります。私にとっては、生活の彩と張り合いになっています。
これからも皆様にご協力をいただきながら、微力ではありますが頑張っていきたいと思います。
(香川県連・高松協議会 田渕 晃代)
ネット社会と人権
現在、我々の周りを見ると、今までにはない光景が展開されている。電車の中、交差点など、スマートフォンを注視している人が多くなった。ファミレスに入ると、何も話さずに黙々とスマホをいじる若者、家族で来ているのにスマホと向き合っている家族……。そんな光景を見て、あなたはどう感じるのだろうか?これが異様だと思うのは、私だけではないと思う。
最初は電話機能だけだった携帯電話も、ゲーム機能しかなかったゲーム機も、そして今ではテレビなどの家電製品までもがネットに繋がっているのである。果たして、そういう機器を利用している人たちは、その便利さ故の落とし穴を意識しているのだろうか。そこに潜む人権問題を意識しているのだろうか?
スマホなどで気軽に撮った写真や何気ない言葉をネットに上げてしまう。このような事が、誰でも簡単にできてしまうようになった。果たしてそこに「人権意識」はあるのだろうか?
良い内容でも悪い内容でも、ネットに公開すると瞬く間にその写真やデータが拡散してしまい、消そうにも消しきれない。対象となる相手のことや公開することのリスクをもっと考えるべきである。
携帯電話が普及し始めた当初、携帯電話に掛ければどこにいてもつながってしまうと懸念された。今では会話ではなく、「文字」でつながっている。そこに心の通った会話があるのか、温かみのある関係が生まれるのか、もっと考える必要があると思う。
私たち人権擁護委員は、ネット社会の裏側に潜む落とし穴を知り、ネット社会の人権意識をお互いに理解し、技術の進歩に向き合えるように啓発をしていく必要があると思う。千葉県内のいくつかの協議会で、そういった内容の講演をさせてもらう機会をいただき、改めてその重要性に気付かされました。子どもに対する前に、その親たちにどう知ってもらい、子どもとどう向き合ったらいいのか、我々の活動を広げる必要があるのではないだろうか。
(千葉県連・柏協議会 中嶋 康貴)
東北大学大学祭での啓発活動
東北大学は例年11月3日の文化の日を前後とする3日間にわたり大学祭を開催しています。宮城県人権擁護委員連合会男女共同参画委員会は、平成21年から、会場の一室をお借りして、男女共同参画社会基本法の周知と、人権擁護委員活動の紹介を目的とする啓発活動をおこなっています。
日本における男女共同参画の現状をパネル展示し、来場者個々に委員が説明をして、男女共同参画社会の目的を伝えています。そして、DV、デートDV等の身体的暴力・言葉の暴力は相手の人権を侵害するものであることや、女性に対するあらゆる暴力の根絶を訴えています。
これは、県連男女委員会が目指している活動の目標の一つでもあります。
今回は特に各種ハラスメント(いやがらせ)についてとりあげ、「パワハラ、セクハラにあったらどうすればいいの」と題したパネルを使って説明し、また、相談窓口を紹介しました。
東北大学には、韓国、中国、インド等東南アジアからの留学生も多く、「自分の国にはこのような制度はない」と言って、「エンパワーメントとは、どんな意味」「日本のM字カーブの意味するところは何」などと質問を投げかけてきます。男女委員はしっかりと説明します。
「人権擁護委員制度と主な委員活動」を紹介するパネルも作成し、例年400人ほどの来場者へ委員制度の周知と活動の紹介をしております。「中学生人権作文やSOSミニレターを知っているよ」と声を掛けてくれる子どもたちもいます。
毎日の暮らしや仕事の中で人権の重要性に気付いてもらい、お互いの人権と個性を認める社会の重要性について認識を深める機会となることを願って、活動を実施しています。
(宮城県連 清水 かほる)
- 「人権のひろば 2015年5月号」掲載の人権啓発活動plus
-
見る人をくぎ付けにする「エプロンシアター」「パネルシアター」
それは、エプロンのポケットから登場します。
いばりんぼ蛙・ドキドキ蛙・かん蛙(かんがえる)たちです。この3匹は、子どもたちに歌を自慢しようと頑張ります。ところが、3匹ともうまく歌うことができません。そこで、どうしたら蛙さんたちが元気に歌うことができるか、委員講師は子どもたちみんなに相談します。見ている子どもたちみんなで応援したり、一緒に歌を歌う手伝いをしてもらうと、3匹の蛙たちは元気になって、うまく歌うことができるようになりました。
エプロンシアター『かえるの のどじまん』の一幕です。蛙さんもニコニコ顔、講師の前に集まる子どもたちもニコニコ顔で、助け合うことの大事さを学びます。
ポケットからは蛙以外にも猫や犬、エプロンの上のほうからは雨も降ってきて、「次は何が?」とみんな期待と集中でエプロンにくぎ付けです。
場面を広くすると、「パネルシアター」になります。ホワイトボードに特殊な布を貼り、ここではポケットからホタルが出てきて、『飛べないホタル』の始まりです。
物語は共に委員講師の創作やアレンジです。どうしたら楽しく集中して参加してくれるか。身近な小動物を題材にしながら一緒に考えたり歌ったり、魔法の言葉をとなえたりする参加型の内容に工夫したとのこと。それにこの人権教室は、実施する場所もとらず、荷物も少なく、少人数のスタッフでもできるメリットがあります。
担当委員は、「子どもたちは、飽きもせずじっと最後まで話に聞き入ってくれる。そして『みんな なかよく おともだち』『ありがとう・ごめんね・だいじょうぶ?』の、友だちと仲良くなれる魔法の言葉をしっかりと覚えてくれる。子どもたちの笑顔が私たちのビタミン剤です」と、毎回元気に出かけて行きます。
(山口県連・総務企画委員長 井坂 尚子)
「人権教室」五年連続千回超
小学生時代に地域活動の郷中教育(薩摩藩伝統の年長者が年少者を教育するシステム)で中学生の先輩からいつも言われていたこと「負けるな・ウソをつくな・弱い者をいじめるな」を人権教室で子どもたちに伝えています。
平成20年の9連鹿児島大会開催を期に、今後の県連における重点活動を協議し「低年齢の頃から人権感覚を育んでいくべきであり、人権教室開催に力を入れる」と決め、県連全体で取り組んでいます。
①平成22年度が1027回、23年度1054回、24年度1215回、25年度1094回、26年度は1349回(2月末時点)と5年連続で1000回を超えるまでになりました。
毎年1月から2月にかけて、県内すべての小学校長・中学校長あての法務局長・県連会長名の「人権教室実施依頼状(実施要領添付)」を各委員が持参し開催方をお願いしています。作文コンクール、SOSミニレター等の案内状も郵送ではなく担当委員が持参し、かねてから学校側と関係を深めていることも人権教室開催のキッカケになっています。特に「人権の花運動」の取組校には人権教室の開催を強くお願いしております。
人権教室は委員2人での対応なので、新人委員も安心して経験を積むことができます。
②本県のプロバスケットボールチーム「レノヴァ鹿児島」の選手に講師を務めていただき「じんけんスポーツ教室」を年に2回、中学校と小学校で開催しています。スポーツ少年団員・部員及び保護者の皆さんに、選手が自分の体験を基に「人を大切にする・外国人を差別しない」等を話しますと、児童・生徒たちは真剣なまなざしで聴き入り、中味の濃い人権教室になっています。また、人権教室後のバスケットボールの実技指導も大好評で、ありがたく感じています。
これからも県連をあげて「いじめはしない・させない・見逃さない」ための人権教室の充実に取り組んでいきたいと考えております。
(鹿児島県連・事務局長 朝廣 三雄)
なかよし花壇
当協議会が行う花を使っての人権啓発は、小学生対象の「人権の花」、中学生対象の「人権の樹」がありますが、表題の「なかよし花壇」は保育所、幼稚園児を対象としています。
平成13年から始まったこの運動は協議会4部会の1保育所を指定して毎年行われ、「なかよく」「かばいあう」「よい子の」「しあわせ」の頭文字をとって命名された「なかよし花壇」で園児が花を育てることにより「思いやりのある心」「感謝する心」を養うことを目的としています。
今年度は、中能登町立「あおば保育園」で実施しました。平成26年5月30日(金)、指定式が、保育園児・保護者・保育所関係者を始め、七尾支局長補佐、七尾協議会中能登部会の人権擁護委員、中能登町役場担当課長等多数参加して行われました。最初に当協議会副会長と園長先生が挨拶し、支局長補佐から「指定書」が交付された後、協議会副会長と町担当課長から園児代表にベゴニア、サルビア、マリーゴールドの花苗が贈られました。
園児たちが先生から植え方の指導を受けた後、園長先生、保護者、人権擁護委員等と一緒に花壇やプランターに花苗を植えて水やりをし、「なかよし花壇」が完成しました。
「なかよし花壇」の看板の除幕式で、人KENまもる君が登場したところ、園児たちから大歓声がわき上がり、まもる君と一緒に白布を引いて、喜びが最高潮に達しました。まもる君と記念写真撮影をしてご満悦の様子です。園児たちからの「きれいなお花をありがとう。毎日水やりして大切に育てていきます」との元気なお礼の言葉に、参加者は、この日の園児たちと同様、満足した1日でした。
人権教室とはとかく堅苦しく考えがちですが、この園児たちのように年少時から日常生活を通じて自然に「思いやり」「感謝の心」を育む必要性を痛感している今日この頃です。
(石川県連・七尾協議会 土田 敏勝)
- 「人権のひろば 2015年3月号」掲載の人権啓発活動plus
-
「中学生人権作文表彰式と人権を考えるつどい」の開催
人権週間中の啓発活動として、奈良地方法務局、奈良県人権擁護委員連合会及び奈良県で構成されている「奈良県人権啓発活動ネットワーク協議会」は、12月7日(日)、宇陀市文化会館において「中学生人権作文表彰式と人権を考えるつどい」を開催しました。
「つどい」では、地元出身の女優・モデルで、曽爾村観光大使でもある吉田桃華さんが司会を務め、中学生人権作文コンテスト奈良県大会入賞者の表彰式及び受賞者による朗読発表(最優秀賞2編、優秀賞四編)がありました。命の尊さ、鋭い人権感覚を訴え、自尊感情の豊かさに、会場は感動に包まれました。
続いて、歌手・花嫁モデルとして活躍している麻倉ケイトさんを「1日人権擁護委員」に委嘱しました。
麻倉さんは、体は男性、心は女性と感じているため、さまざまな経験をされています。「自分らしく生きよう」と題した講演では、前向きに本当の幸せとは何かを探るために、「男らしく、女らしくではなく『自分らしく』生きていけばよい」と語りました。
フィナーレは、宇陀市内の榛原中学校及び大宇陀中学校、菟田野中学校、室生中学校吹奏楽部の力強く、さわやかな演奏が飾りました。
実施に当たっては、開催地の協議会が中心になり、法務局、県連四協議会、地域自治体による実行委員会を設置し、企画運営に当たりました。各協議会へ約50名の協力委員の派遣を依頼し、舞台設営、受付、駐車場の管理等を分担しました。
人権週間行事のつどいは、奈良県連四協議会の輪番の行事として6年目を迎えました。今後とも、開催地自治体をも含めた事業として、ますます発展させていきたいと思います。
(奈良県連・桜井宇陀協議会 福本 哲恵)
「かっ飛ばせ!!の・り・こ」 ~支援学級における人権教室の試み~
数年前より釧路協議会では中学生対象の人権教室を行ってきたが、釧路市内中学校では未実施であった。今回市内中学校(支援学級)から人権教室の依頼を受け、子ども人権委員で案を作成・実施した。2つのゲームと人権マジックを通して、人権について伝えた。
ゲームその1 ダイヤモンドランキング
憲法の自由の規定から9項目を選択し、それらをイメージしたカードを準備。重要だと考える順に、ランキングボードに貼付けるダイヤモンドランキングのルールを説明。次に黒板に全員のボードを並べ、各々の違いを認める。最後に一位をクラス全員で決定する。
ゲームその2 「かっ飛ばせ!!のりこ」
スポンジ入りタオルボール、おもちゃのスコップを用意。ゲームを始める前に「かっ飛ばせ!のりこ、かっ飛ばせ!のりこ」と応援コールを振付きで練習。着物姿の女性バッターに生徒は打ちやすい球を投げ、委員も生徒が受けやすいように打ち返す。
投手が変わる度にコールをかける中学生、体当たりで向き合う委員に乗ってやろうという気持ちが芽生えたようだ。思いやりとやさしさを動作化したことで、より理解が深まったと感じた。
子ども委員による人権マジック
言われて嫌な言葉や行動を書いたカードをシルクチーフにくるんで、思いやりとやさしさのロープ2本に結ぶ。「どんな時も少しだけの勇気を持って」と魔法をかけるとハンカチは結ばれたまま空中に飛んでいく。
後日担任から、「ふりかえりシートに、人権を守るために大切なことは『思いやり』と『やさしさ』という事が分かった」と記入している生徒が多く、その子なりに何かを感じ理解したことを確信したと報告があった。
子ども委員としては、このプログラムで支援学級の人権教室を広めていきたいと思っている。
(東北海道子ども人権委員会 釧路連・釧路協議会 舘岡 穣・畠山 典子)
中学生へ「はじめの一歩」
「次世代を担う子どもたちの人権感覚をどのようにして養っていくのか」「人権擁護委員に何ができるのか」
この課題は常に私たちの心にあり、少しでも前へ進めるように研修を受けたりしながら活動をしています。
保育園・幼稚園での人権教室はだいぶ浸透し、委員も楽しんで活動できるようになっています。最近では小学校との連携も進み「人権の花・人権教室」が活発になっています。しかし中学校とはまだそこまで進んでいないのが現状です。多感な思春期にあって、社会科を通して人権について視野が広がる絶好の年齢なのに残念なことです。
そこで今年度、「10分人権教室」を私が所属する滝沢市で企画しました。授業時間ではなく、全校朝会、学年集会などの時間に私たちがお話しさせていただくというものです。気軽さが良かったのか複数校で実践の運びとなりました。時間が短いのでいかに無駄を削ぎ落とし「人権エキス」だけを話せるかに集中しました。あえてイジメには触れず、国際連合と人権と日本の歴史、同年代の人権活動家のマララ・ユスフザイさんのこと、映画「世界の果ての通学路」などに絞りました。中学生が広い眼で人権を捉え、外から自分たちの身近な人権問題を考えるきっかけを作りたかったからです。ありがたいことに現場の先生方から好評でした。
昨年、「ノーベル平和賞」をマララさんが受賞した時には「中学生のみんな、あの時の話を思い出してくれたかな!」と嬉しくなりました。
人権活動は多岐に渡りますが、欲張らず、私たちができることを熱意と愛情を持って取り組み、最後には少しの満足を得て退任の日を迎えられたらと思っています。
(岩手県連・事務局次長 千田 小百合)
- 「人権のひろば 2015年1月号」掲載の人権啓発活動plus
-
守りたい 子どもの人権
先ごろ、動画配信サイトに投稿された、駅のホームで幼いわが子に罵声を浴びせ、回し蹴りをする若い母親の動画が話題になりました。見ていて本当に悲しくなる光景ですが、これは氷山の一角に過ぎないのかもしれません。母親を激しく非難する世論の向こうに、日々の生活や子育ての中で疲弊し、鬱積していく母親の苦悩を垣間見た気がしました。
子どもたちの人権を守るのは大人の役目です。もちろん、子どもたち自身の中に「大切な自分、大切なあなた」という思いを育て、人権意識の高揚を図るのは、人権擁護委員の目指すところですが、それと同時に、子どもに関わる大人たちへの啓発活動も、子どもの人権を守るためには、欠くことのできない要素だと思うのです。
そういう意味で、学校から依頼される「親子人権教室」や保護者対象の「人権講演会」は、保護者の皆様に人権について考えていただく大変貴重な機会であると捉えています。
「親子人権教室」では、前半、人権擁護委員と子どもたちとのやり取りを通して、子どもたちが学校生活の中でどんな思いを抱いているか、なぜ、なかなか親に相談できないか、どんな思いで親に打ち明けるのか等、子どもの心を実感していただくことができます。後半の保護者への講話では、短い時間ですが、子どもたちの自己肯定感を育てる上で保護者の皆さんの対応がいかに重要か、そして、そのためにも、実は保護者自身の自己肯定感が大切であること等を伝えています。
実施後、「もしいじめにあったら、いじめを見たら、いじめてしまったら」について、改めて親子で話し合うきっかけになったという感想を多く聞きます。保護者としてこれらの問題にどう向き合ったらいいのか、自分自身を見つめる時間を持っていただけたら幸いです。
(茨城県連・子ども人権委員長 平島 則子)
命のつながりを意識する
「人権スポーツ教室」島根県人権啓発活動ネットワーク協議会では、男子プロバスケットボールチーム「島根スサノオマジック」(bjリーグ所属)と、県内の試合会場において中学生人権作文コンテストの表彰式を行うなどの連携を図ってきたご縁で、平成25年度の事業として、初めて出雲市と江津市の2会場で「人権スポーツ教室」を開催しました。そのうちの出雲会場での取組を紹介します。
始めに、小学生39名を対象に、人権擁護委員4名で大型紙芝居を使った人権教室を行いました。
この紙芝居は、絵本『いのちのまつり』(サンマーク出版)を、出版社の許可を得て、大型紙芝居にしたものです。「自分の先祖は何人いるの?」と疑問を持った男の子が、沖縄で出会ったオバアから「宇宙の始まりからずっと続いてきて、数え切れないご先祖様が誰ひとり欠けても、ぼうやは生まれてこなかった」と教えてもらいます。
子どもたちは、この紙芝居を見て、自分や友だち、周りの人たちすべてが数え切れないご先祖さまから受け継がれてきた命であることに気づき、自分たちがここにいることを奇跡と感じているようでした。
紙芝居の後、子どもたちは憧れの選手に、小学生のときに影響を受けたり刺激を受けたエピソードや、チームプレーをするときに心がけていることなどを尋ねました。
人権教室の後で行われたバスケットボールの練習では、選手の助言を生かし、子ども同士で相談したり話し合ったりして、より仲間を意識したゲームに打ちこんでいる姿が見られ、命のつながりの学習と結びついた動きが随所に感じられました。
平成26年度は、年度末になりますが、Jリーグ入りを目指すサッカーチーム「松江シティフットボールクラブ」との交流による「人権スポーツ教室」を開催する予定です。
(島根県連・出雲協議会 伊藤 博敏)
中学生向け「デートDV」の取組について
熊本協議会男女共同参画委員会(上益城部会委員八名)では、DVの被害者にも加害者にもならないで欲しいとの願いから、これから思春期を迎え異性に興味を抱き始める中学生を対象に、平成21年度から「デートDV」の人権教室を実施しています。
人権教室を実施するにあたり委員全員でいく度となく研修を重ね、寸劇も試行錯誤を繰り返しながら現在に至っています。学校の理解と協力を得て、毎年、実施校が増え、上益城郡内8校すべての中学校で実施することができ、これまで延べ14校、2205名の生徒が受講しています。本年度は、7校から依頼がありました。
内容としては、①導入(寸劇「デートDVって何」・5分間)②DVD視聴(「相手を尊重する関係をつくる」・アウェア作30分)③完結(寸劇・5分)④アンケート記入、となっています。
①は、近所のおばさんたちが孫娘の交友関係(スマホ等)を心配して相談する熊本弁での会話から始まり、そのうちの1人が人権擁護委員役を務め、相談内容から「デートDVではないか」と心配し、②のDVD視聴につなげます。
②を視聴することにより、デートDVには、身体的暴力、精神的暴力、性的暴力があることを知って、生徒たちは次第に真剣な表情になってきます。
③では、熊本県内のDVの被害状況を説明し、自分自身を大切にし、また相手を尊重し思いやりの心を忘れないようにと伝えます。締めくくりに、心配なことが起きたら、決して1人で悩まずに相談するよう話し、相談機関を紹介します。
その後、生徒たちは各教室に戻り、内閣府作成の「人と人とのよりよい関係をつくるために」を教材として、④のアンケート記入をします。アンケート結果によりますと、ほとんどの生徒がとてもよく理解できたと答えています。
私たちが人権教室で心がけていることは、思春期の中学生に「教える」のではなく、地域のおじさん、おばさんが「心配している」「見守っている」と伝えることです。私たちの活動が、中学生にとって大きな支えとなることを願い、積極的に取り組んでいきたいと思っています。
(熊本県連・熊本協議会 上松 美智子)
- 「人権のひろば 2014年11月号」掲載の人権啓発活動plus
-
自作の紙芝居や歌を使って
今治人権擁護委員協議会では、三十一名の委員が全ての委員会に属し、地域と一体となり、互いに連携を図りながら活動しています。
子ども人権委員会では「あなたのおなまえは?」という紙芝居を作成し、保育園児・幼稚園児・小学校低学年を対象に、世界に一つしかない自分の名前や命を大切にすることを伝えています。また小学校中・高学年向けには、朗読劇「葉っぱのフレディいのちの旅」の上演、「いのちのお話」や「人としていきるとは」と題したいろいろな話をすることで人権教室を開催しています。
子どもたちの心に残る工夫もしています。坂村真民作詞・藤掛廣幸作曲の一期一会の出会いを大切にとの願いを込めた「二度とない人生だから」、田中嘉久作詞・棚橋絵里子作曲の、そこで育ててもらったことへの感謝、そして他の人も幸せでありますようにと願う「生まれてよかった」などの歌を一緒に大きな声で歌い、命の大切さを感じてもらっています。
男女共同参画社会推進委員会では、今治市男女共同参画推進条例をもとにして委員が作成した紙芝居「男女共同参画社会ってなあに?」を今治市が行う啓発活動や公民館の講座、高校などで上演しています。親しみのあるイラストのおかげで分かりやすいとの好評を得ております。
高齢者・障がい者問題委員会では、高齢者施設へ出向き、「たいせつなおはなし」と題して自作の紙芝居を使って、昨今、取沙汰されている詐欺や遺言の問題について説明しています。子どもの頃に口ずさんだ童謡や唱歌などを共に歌うことで会話が弾み、いろいろな問題について話してくれます。
また、公民館の講座でも、人権に係わる歌や地域行事で万病除去と子孫繁栄を願う「亥の子唄」などを歌い、日常の問題について考えてもらう足掛かりにし、相談活動へとつなげております。
(愛媛県連・今治協議会長 河上 哲郎)
企業等における人権講話
栃木県人権擁護委員連合会での男女共同参画社会推進委員会の事業の一つに「企業訪問」があり、五年目になります。今年度も「関東電気保安協会」の栃木県内五事業所から社内研修の講師依頼がありました。内容については各委員に一任され、私は宇都宮事業所と下野事業所を担当しました。
宇都宮事業所との事前打合せでは、「主に男性の職場だが今回はセク・ハラを」と依頼されました。七月三十一日に、浅海委員と手塚委員とで訪問しました。
最初に「セクシュアル・ハラスメントって何?」をパワーポイントを使って説明し、次にDVD「あなたの職場は大丈夫?~セクシュアル・ハラスメントについて~」を視聴してもらい、実際に起きた事件の新聞記事のコピーを配布して、なぜセク・ハラと認定されたのか解説しました。
参加者は七十名で女性は一名。質疑応答の後、研修の感想を尋ねると、「職場が家庭的雰囲気のため逆に私の方から指摘した(女性)」「自分の尺度で物を判断していた。自分の物差しを見直さなくてはいけないと感じた」「自分では意識しないで発言していたが相手の言動を考慮していきたい」等、積極的に発言がありました。最後に管理職から「当事業所にはセク・ハラが無いので安心した。コミュニケーション作りを主体に社内の雰囲気をまとめていきたい」とのコメントがありました。
九月二日には下野事業所で、玉田委員と同様な方法で、「パワ・ハラ」について社内研修会を行いました。参加者は男性三十四名でした。
同事業所は社内あげて人権研修に取り組んでいます。従業員もしっかり受講してくださり、協力的な態度には感動しました。
他の企業からの訪問依頼も少しずつですが増えています。企業の方々に私たちの活動を知っていただくとともに、講師としての資質の向上を図ることが大切だと思っています。今後も創意工夫しながら、人権擁護委員としての誇りと誠意をもって活動したいと考えています。
(栃木県連・真岡協議会 北城 なお子)
野球少年と人権教室
富山県人権擁護委員連合会は、富山県、富山地方法務局、プロ野球独立リーグ・BCリーグ富山サンダーバーズと連携して、毎年、人権啓発活動に取り組んでいます。
球場に来た子どもたちに、選手の写真、いじめ撲滅メッセージ、人権相談電話番号等を記載した「人権サポーターカード」を配布し、人権の大切さを呼びかけています。 また、富山協議会は十二月の人権週間に「子どもの人権・野球教室」を開催し、六年目となります。(毎回、八チームほど参加)
開会式では、六人の選手に「一日人権擁護委員委嘱状」を伝達し、二班が交互に「人権教室」と「野球教室」を行います。
「人権教室」では、DVDや紙芝居を視聴し、「種をまこう」を読んでから、人権擁護委員が中心になって話し合います。「いじめを見たことがあるか。その時どうしたか」「友達や家族に大切にされていると思うか」「それは、どんな時か」等々、最初は緊張気味の子どもたちも、うちわを使っての○×表示でリラックスし、本音が出始めます。「友達の良さ」では、熱心に練習する、足が速いといった意見が多い中、「自分がミスをした時、慰めてくれる」という意見が出た時には、何人かうなずく姿も見られます。勝つこと、上達することだけでなく、思いやることの大切さも意識づけるようにしています。
「野球教室」では、選手から具体的に技術や練習方法についてアドバイスを受け、チームを越えて一緒に汗を流します。
閉会式では、選手の代表が「いじめは絶対に許さない。野球でもふだんの生活でも正々堂々とプレーしよう」と力強くアピール。サイン会をして終わります。
甲子園での熱戦を夢見る野球少年たちが、心身ともにフェアプレイを身につけて育っていくよう願っています。
(富山県連・富山協議会 牧野 信子)
- 「人権のひろば 2014年9月号」掲載の人権啓発活動plus
-
活動を通して思うこと
平成の合併により一市十八町が三市二町になり、豊岡協議会の委員も六十五名から五十一名で構成されるようになりました。協議会では「企画・啓発・研修」の三部会が活動計画を立案していますが、地域が広範囲のため市町を三つのブロックに分け、研修・啓発等を独自に行っています。協議会全委員参加の研修会・男女共同参画社会推進に対する研修会も開催しています。会報として発行している「じんけん但馬」は協議会の情報のひろばとなっています。
活動の一部を紹介します。
少子化による児童数減少の中、「人権教室」と「人権の花運動」を併せて、各ブロック学校の持ち回りで依頼しています。開会の挨拶で人権の花の目的と意義、児童の労に対するお礼の言葉を述べてから、代表者に感謝状の伝達を行います。その後啓発ビデオ等の鑑賞、登場者の思いや児童の考えの発表、話合いをしながら児童が友だちや家族へ思いやりの心を持てるようにしていきます。その中で委員自身が気づき、勉強させられることも多くあります。
そのほか、豊岡市ブロックは放課後、児童クラブに紙芝居等を持参し、歌や踊りを含めて実施しています。また、人権相談・人権作文・SOSミニレター等々活動内容は多岐に及び、実施に向けて試行錯誤することも多く、日々が研鑚と思い、信念を持って行動することが必要と思っています。
特に「相談」は相手に対して何の認識も持たず白紙で対応すること、「思わざる・よく見る・よく聞く・よく言う」が大切です。今「人権の世紀・絆」などの言葉や活字を見聞きすることが多いですが、悲惨な報道は後を断ちません。私たち一人ひとりの意識の持ち方、受け取り方で世の中は変わってくると思います。
「絆」という文字は糸が半分と書きます。その糸が半分になったところを結び合わせる仲介役が「人権擁護委員の任」ではないでしょうか。
(兵庫県連・豊岡協議会 郷司 正静)
「人権鳴子」に託した願い
当協議会は、「人権鳴子」と題して、中津市山国町で毎年秋に行われている「かかしワールド」の一角をお借りして「人権コーナー」を設置し、鳴子と案山子を展示しています。
「鳴子」とは、収穫期をむかえ金色に実った稲穂を鳥たちから守るために、板や竹を紐で繋いで触れると音が出るようにして田圃に張ったものです。案山子も鳴子も、稲穂を守るという目的が同じなので組み合わせることにしたのです。
収穫を終えた田圃に四、五十体の案山子を飾って過疎化の町の活性化を願って始めた「かかしワールド」は六年目をむかえ、たくさんの人々が見物に来られます。
「人権鳴子」のきっかけは、平成二十四年のある日、支援学校に人権作文のお願いに行ったところ、作文は無理だけれど短文か絵を描くことならできるとのことで、人権の話をした後に、カマボコ板に絵や言葉を書いてもらうことになりました。支援学校の八十名ほどの方が参加してくださり、稲刈りをする農夫の案山子と人KENまもる君の大型の人形、その上に鳴子を張りました。紐を引くと鳴子のガラガラと乾いた音がして、かかしワールドに来られた観光客や子どもたちに大変喜ばれました。
その反響を受けて昨年は、幼稚園と保育園の二園にも人権鳴子作りをお願いしました。就学前の子どもたちとその親たちに、自分を大切にすること、他の人に優しくする心の大切さをこの活動を通して伝えることで、人権意識の向上ができたらと願ってのことです。
毎年市内の二園にお願いすることになり、参加した園には終了式に感謝状を、絵を描いてくれた園児全員には人KENまもる君とあゆみちゃんのボールチェーンの人形を贈呈を予定しています。
園児が喜んで“まもる君”“あゆみちゃん”と名前を呼び親しんでいくことが、将来に亘っての人権啓発につながるのではないかと思っています。
(大分県連・中津協議会 長野 淳雄)
高齢者の会 ~「菜の花会」啓発訪問から
「菜の花畑に入日薄れ…」
三十数名の女性会員の歌声から会が始まりました。昨年七月二十六日、暑い日の午後。場所は湯の原会館で、人権擁護委員九名は、高齢者の会である「菜の花会」への働きかけにより、会に参加することになりました。
菅感一郎会長が人権擁護委員の日頃の啓発活動等について具体的に説明した後、佐々木慶子委員が「能恵姫」などの昔語りをしました。語りに引き込まれ、「能恵姫の人権は?」などと冗談を言いながら至福の時問を共有しました。お茶の接待を受け、以前に法務局に相談に行ったことがあるという方もいて、和気あいあいのひと時でした。
一週間後「菜の花会」の会員数人とお会いする機会がありました。口々に「楽しい会だった」とか「今まで人権擁護委員というと、固くて何か法に反しているのかと考えて近寄りがたかったが、そうでなかった」「年に数回こういう会があってもいいのでは」「相談があったら気楽に行けそうだ」等感想を述べてくださいました。私たちの活動の後押しを感じ、啓発活動をもっと広げていきたいものだと思いました。
今年六月六日、全国一斉特設人権相談所を開設したところ、「菜の花会」の会員の一人が相談にみえ、啓発活動が相談活動に結びついたことに、人権擁護委員として喜びを覚えました。
湯沢協議会では、高齢者啓発活動・企業啓発活動・福祉施設啓発活動を中央部会、東部部会、西部部会が持ち回りで実施しています。併せて、それぞれの地区部会が、独自の街頭等で人権啓発活動も実施しています。
これらの活動は、県連の「人権擁護委員の存在を多くの県民に知ってもらう」という活動方針と軌を一にするものであることを、今回の高齢者啓発活動をとおして実感することができました。
(秋田県連・湯沢協議会 矢野 香代子)
- 「人権のひろば 2014年7月号」掲載の人権啓発活動plus
-
冬空に咲いた「人権の花」
人権週間初日の十二月四日、私たちは「人権の花」の贈呈式のため、県立ろう学校を訪ねた。日頃訪問する機会の少ない学校だが、準備をしつつ校庭で子どもたちを待った。
ろう学校の生徒数は幼稚部、小学部、中学部、高等部合わせて三十四名。学区が県内全域にわたるため、寄宿舎も併設されている。
午後三時、先生に手を引かれているまだ幼い子から、体格もしっかりした大人びた表情の子まで、さまざまな子どもたちが校舎から出てきて、上級生の指図で朝礼台の前に整列した。
セレモニー自体は他の小学校と同様である。一つ違うのは、校長先生や委員が話す度に手話がつくことである。しかし子どもたちを見る限り、聴覚に障害があるとは思えない。手話を交えながらも楽しそうにふざけあったり話したりしている。その表情が何とも眩しいくらいに明るく、楽しげだった。
式の最後に、生徒会長である高等部の女子生徒がお礼の言葉を述べた。ゆっくりと、だが、一言一言かみしめるように。そのすがすがしい、さわやかな声は晴れた冬空に校庭に響きわたり、私たちの心を打った。
「…私たちが書いたメッセージは本当に小さな文字ですが、それに込められた想いを拾った人が受け取り、少しでも支えになれたら嬉しく思います…」。
私たちに深い感銘を与えたこの女生徒は、今春長野県の短大に進学したという。
その後、彼女から寄せられたメッセージの最後は、「人権擁護の活動を行っている皆様、貴重な体験をろう学校でさせていただき、本当にありがとうございました。メッセージと風船が飛んでいった様子を、私たちは忘れません」と結ばれていた。私の脳裏にあの日の彼女のりんとした眼差しが蘇った。
私たちもまた、あの日の女生徒の一言一言を耳と心に刻み、常に初心に返って活動を進めていきたいと思う。
(山梨県連・甲府協議会 天野 五十鈴)
蒔かぬ種は生えぬ
「人のことを考えようと思った!」「本当に、自分の人生が変わりそう!」。これは小学生の人権教室の感想。乗っている気球が海へ落ちそうになり、積んであった九つの荷物(権利)を落としていかないと助からないという設定の下に行うダイヤモンドランキング(*1)。好きな時に遊べる自由、言いたいことを言える自由、恋をする自由などから、これだけは絶対捨てたくないと思うものを順位づけしてもらいます。
ひとりでランキングし、次に五~六人のグループで話し合って意見をまとめるのですが、リーダーからしっかりとした理由とともに発表される結果は見事に違って「どれもすてがたい」ものばかり。真っ向からぶつかる主張も真摯に話し合い、理由を聞いて納得し、限られた時間のなかで合意を形成し、気が付くとそれぞれ違う考えや価値観があることを互いに認め合っています。
低学年の紙芝居でも、時間の許す限り発言を促します。そうすると、子どもたちはいつの間にか人の意見と照らし合わせながら、自分なりの結論と決意を表明してくれます。似顔絵まで添えて、「人の気持ちを考えられるようになった」という感謝のこころを届けてくれます。
そして男女委員として注力しているのは青少年啓発。北海道では四つの連合会それぞれでデートDV予防のための出前講座(*2)を展開していて、釧連でも六年が経ちます。パワーポイントのほかに、今では私たちが監修した映像教材を加え、学校の希望に応じて工夫を凝らした講座に取り組んでいます。私はまだ二千名ほどの中高生にしか講演していませんが、アンケートには前向きな感想や意見で溢れます。このように講座の有用性を高く評価してくれる皆さんですが、まだまだ周知する余地がありそうです。
人権作文で入賞した地元の中学生の伝達表彰に立ち会うときも、名刺の裏に祝意と謝意とともに、ひと言書き添えて生徒さんに手渡します。何年か後、親御さんから「うちの子まだ大事に持っているの」と聞かされると、胸に温かいものが湧いてきます。
その思いを糧にして今日も「じんけん」の種をポケットにしのばせ走りまわります。そう、東へ西へ…。
(*1)平成二十年に当時の網走協議会の委員として小学生に行ったのが釧連初となりました。参考文献:G・パイク D・セルビー共著「ヒューマン・ライツ―たのしい活動事例集―」明石書店2003
(*2)デートDV講座の詳細は本誌九十二号掲載の札連・八代委員及び九十六号掲載の同・田中委員の記事をご参照ください。
( 釧路連男女共同参画社会推進委員長 大森 洋見)
「子どもの人権SOSミニレター」の対応
私たちの協議会では、子ども人権委員会の委員十名が三班に分かれて、「子どもの人権SOSミニレター」により子どもの悩みの相談に対応しています。内容は、いじめが最も多く、虐待や差別、不登校等で、女子が九割強となっています。小学校低学年より高学年、さらに中学生と、年令が高くなるほど悩みが深刻で、厳しい対応に追われています。
悩みが重い子どもほど、最初の手紙では自分のことは少しだけしか書いてなく、家族や友達を心配して気遣うことが書かれています。多分、初めての手紙では自分の悩みを打ち明けるのに躊躇するんだと思います。それを察知して、相手の気持ちになり寄り添い、親身になって返事を書くと、そこから手紙のやりとりが始まり、やがて信頼関係が築かれ心を開いてくれ、自分の悩みをためらいながらも打ち明けてくれます。切実な悩みを打ち明けられ驚くことがありますが、冷静になって相手の気持ちを尊重し、法務局担当者に相談して関係機関につなげます。
「子どもの人権SOSミニレター」に関わって良かったことは、子どもから感謝の手紙をいただいた時で、苦労が報われ充実感に満たされます。
最近、男子中学生の「いじめ」による自殺の報道が数件されていますが、「子どもの人権SOSミニレター」には男子中学生の相談がほとんど来ないことに、今後の課題が見えてきます。このことについては、学校等との関係を密にして取り組む必要があります。
平成十八年度から始まった「子どもの人権SOSミニレター」が随分浸透してきたと先輩の委員さんから聞いています。子どもたちを助けられる「子どもの人権SOSミニレター」の活動をさらに推進するよう、微力ですが、がんばって参りたいと思います。
(三重県連・伊勢協議会 田中 敏男)
- 「人権のひろば 2014年5月号」掲載の人権啓発活動plus
-
東京協議会における多彩な人権行事
平成六年から始めた子どもたちの人権メッセージ発表会は、二十五年で第二十回となりました。この発表会の目的は、次世代を担う子どもたちが考えたことをメッセージにして発表することにより、豊かな人権感覚を身につけることです。子どもたちのメッセージの発表態度はとても立派で、小学生らしい視点からの鋭い問題の指摘があり、毎回、多くの参加者を感動させます。担当になった区はもちろんですが、この発表会の運営にあたる実行委員の負担には、とても大きいものがあります。しかし、人権の啓発活動としては大きな意義があると考えています。
また、それぞれの区町村では、区町村報での人権特集、人権パネル展、街頭での啓発活動、人権相談、人権教室、講演や映画等の集いなどが行われています。次に紹介するのは、二十五年度に実施された講演などの一部です。
・「生き抜く子どもたち~内戦の犠牲~」/吉川美代子氏
・「共に生きる社会を目指して~報道現場からの報告~」/藪本雅子氏
・「青島広志の音楽の想いから人権を考えよう!」/青島広志氏ほか
・「音楽の集い~手をつなごう~」/菅原やすのり氏ほか
・「強さは優しさ~柔道から学んだこと~」/山口 香氏
・「ネットいじめ~逃げられない子どもたちを救うために~」/渡辺真由子氏
・「いのちの原点回帰~東日本大震災・復元ボランティアからみたいのち~」/笹原留似子氏
・「マスオさんの人権考~言葉はプレゼント~」/増岡 弘氏
・「子どもたちに寄り添う~カリヨン子どもセンターの現場から~」/坪井節子氏
・「自分が変われば世界が変わる」/須藤元気氏
・「いじめ問題と命の大切さ」/サヘル・ローズ氏
・「音楽の集い~手をつなごう~」/菅原やすのり氏ほか
(東京都連・東京協議会 横山 正)
「高齢者・障がい者専門委員会」での活動
福知山人権擁護委員協議会では、二十七名の人権擁護委員が、「子ども入権委員会」「高齢者・障がい者専門委員会」「同和問題委員会」「男女共同参画社会推進専門委員会」の四委員会に所属し、各委員が連携を図りながら活動しています。
その中で、「高齢者・障がい者専門委員会」では、十名の担当者が、二名ずつ福知山市及び綾部市内の養護老人ホーム二か所、ケアハウス、ケアホーム二か所、軽費老人ホーム一か所、精神障がい者授産施設一か所の計六か所で、年三回、一時間から一時間三十分の予定で、施設内での特設人権相談を実施しています。開催に当たっては、相談開設の目的などを実施させていただく施設と十分打合せをして御理解をいただき、相談日を施設内で広報します。そして、施設の相談室を利用して相談業務を行います。
施設での相談件数は、六施設あわせて年間二から三件と多くはありませんが、人権擁護委員と施設利用者の方とは顔なじみになり、一緒に歌を歌ったり、ゲームをしたり、お茶やコーヒーを飲んだりして、交流を深めています。
また、その内の四施設では、五月から六月にかけてパンジーなど花の苗の贈呈式を行い、プランターの植付けを人権擁護委員と一緒に行っています。施設には、花の植付けや花の世話の好きな方がたくさんおられ、施設が花一杯に飾られて、訪れる人の目を楽しませてくれています。
高齢者・障がい者専門委員は、様々な相談に対応できるように、人権擁護委員としての資質を高めるため、施設長やケア・マネージャー、点訳奉仕委員の方などを講師にお迎えし、年三回研修会を実施してお互いに研さんを積んでいます。
今後ますます高齢化が進むことにより、施設整備が急務になっています。入所者や利用者が安心して日常生活を営み、豊かな人生が送れるよう、施設職貴や関係行政機関と連携を保ちながら、高齢者・障がい者の人権擁護のための活動を推進していかなければならないと思っています。
( 京都府連・福知山協議会 矢野 利生)
高齢者を笑顔に
高齢者施設訪問では、施設関係者との信頼関係と人権擁護委員の地道で継続的な働きかけが大事な要点となります。
青森県連では、高齢者・障害者の人権あんしん相談強化週間の一環として、各協議会でそれぞれ特色を生かした啓発活動が行われています。その中で、弘前協議会の一例を紹介します。
当協議会は、平成二十二年に四十七人の委員全員が、男女共同参画社会推進委員会(男女委)と子ども人権委員会(子ども委)のいずれかに所属することとし、二つの会の委員長を中心にして小委員会を組織しました。この小委員会の一番の特徴は、二つの委員会の間に垣根のないことです。活動の内容によって主担当者はどちらかの委員会がリーダーシップをとり、他の委員が全面的に支援していくというものです。
今年度は、男女委が計画した高齢者施設訪問を子ども委も一緒になって二回実施しました。毎月、同施設で訪問活動を続けている委員が中心となり、参加した委員の持ち味を発揮したイベントは、入居しているお年寄りに大変喜ばれました。
アコーディオンの伴奏に合わせて、みんなで童謡を歌ってオープニング。委員のキーボード演奏で「なつかしのメロディー」をみんなで歌い、スコップを三味線にした演奏には歓声が上がりました。読み聞かせの昔話には、相槌を打ちながら聞き入っていました。
お年寄りは歌が好きです。体を動かすことが大好きです。魚つりのゲームには喜んで参加していました。お年寄りの話し相手になり、手をつないで、「むすんでひらいて」を楽しみました。
その後、施設長さんから施設運営の説明があり、「今日のお年寄りの笑顔を大事にしています。また来てください」とお願いされました。
高齢者施設での啓発活動は、形式にとらわれず「お年寄りを大事にする」ことに大きな意義があるように思います。最後に施設長さんの案内で同施設を見学して帰路につきました。
(青森県連・弘前協議会 鶴谷 郁子)
- 「人権のひろば 2014年3月号」掲載の人権啓発活動plus
-
青少年への予防啓発活動
人権擁護委員は社会的に何をしている人たちか?どのような活動をしているのか?など素朴な疑問を持っている人は少なからずいると思います。
札連男女共同参画社会推進委員会では青少年に向けて「デートDV」の予防啓発事業を展開して七年目を迎えました。平成二十五年度は二十六校(中学校三校、高校十三校、大学八校、専門学校二校)、三千八百二十名が受講し、札連八協議会すべての協議会が実施するに至りました。ここに至るまでには、各委員が積極的に学校に出向き、現存している青少年の「デートDV」の深刻な状況を説明し、ご理解いただいてきました。
最近、新聞・テレビで報道され社会問題となっているストーカー行為やデジタル暴力と言われるものが若者にはさほど深刻なこととして理解されていないような状況にあります。私たちはそのことをしっかりと把握しておく必要があるのではないでしょうか。“どのような言動がDVに当たるか、そしてお互いを尊重する関係を築くために”を理解してもらうためには、継続的な活動がとても重要ではないかと考えます。
お陰様で委員と法務局職員が協力し、法務省人権擁護局の評価を受けてでき上がった教材には伝えたい内容が網羅されております。講座を提供するにはより良い教材がどうしても必要です。委員の熱意が教材作成の意欲をかき立て、制作の過程ではお互いに妥協を許さない議論が続きました。視覚的効果を狙ったパワーポイントとDVD、生徒や先生の協力を得る参加型ロールプレイなど、組み合わせ方で明るく盛り上がりのある講座となりました。
ある大学で実施したときのアンケートの回答「改めてDVという行為について学ぶことができた。身近な人々にも発信していきたい」「誰もがDVをする側にもされる側にもなりうる可能性があるということを知った。違う考え方を受け入れる努力が大切」などを見ると、“お互いを尊重する関係”に気づいてくれたことをうれしく思います。青少年に分かりやすく、飽きさせない講座にするため、試行錯誤を繰り返しながら日々研鑽を積んでいくことが委員の力にもなります。
私たちの活動が、地域の青少年へ向けて将来大きな支えとなることを想像し、人権擁護委員としての使命感を改めて感じるところです。
(札幌人権擁護委員連合会事務局次長・男女共同参画社会推進委員 田中 シズエ)
関係機関との連携の大切さ
深刻ないじめや虐待のない平和な世の中を目指して、「子どもの時から人権尊重の気持ちを育てていきたい」、そんな思いで山形協議会天童市部会では、啓発活動として、平成十四年度より小学生を対象に「子ども一日人権擁護委員」の事業を行っている。
私は県連の事務局をお預かりして、四年目になります。その間に多くの人権課題と出会い、今まで自分の問題として捉えていなかった多くの課題が実は自分自身の身近な問題であることに気付かされました。また、かつての現職中には出会うことのなかった様々な多くの人との出会いの中で貴重な経験をいただいています。
県連事務局の運営を通しては、自主運営、自主活動の大切さと難しさを実感しています。それは連携の大切さでもあります。
本年度の中部六県の連合会の総会は岐阜県が開催県でした。企画・運営に当たって、限られた時間帯の中で、遠方から来県していただく関係者や委員に有意義な総会と委員研修、情報交換の場を設けること等はなかなか難しい課題です。そんな取組の中で、法務局人権擁護課との連携は本当に重要でした。関係機関との連絡調整、情報収集、運営の工夫やアイディア等々、良い連携のもとで開催できました。総会等の事業だけではなく、県連の活動を遂行するに当たっては大切な用件ばかりです。自主運営、自主活動を支えているのは関係機関等との連携ではないかと思います。
また各協議会においては、支局はもちろんのこと、委員の選出母体である各市町の担当課との情報交換や連携は極めて大切なことです。市町の担当課や担当者は、委員を委嘱するものの、意外にも人権擁護委員の活動に不案内ではないかと感じています。人権擁護委員の啓発活動、相談活動、研修活動等の具体的な活動の様子を理解していただき、その上で見識と意欲ある次の委員を推薦していただくことは、これからの人権擁護委員の活動の成否に大きく関わっていくのではないでしょうか。事務局は、様々な連携・調整のキーマンではないかと思っています。
( 岐阜県連・事務局長 中村 正信)
中学校で『デートDV』教室
木更津協議会(鈴木良彰会長)では、人権ポスター審査および展示会を始めて、四年目になります。
中学生を対象とした人権教室のテーマは「デートDV」。恋人間のストーカー行為、暴力事件が目を引くこの頃です。若いうちから暴力の背景や影響などを考える必要性を感じる中、学校の理解と協力を得ての実施です。今年度は、福岡協議会に四校から依頼がありました(うち二校で実施済み)。
ある中学校では、図書室と音楽室を使い、委員七人が二手に分かれ、午前中四クラスずつを担当しました。初めに委員の自己紹介をし、進行役が人権擁護委員や子どもの人権SOSミニレターについての説明をします。今日のテーマが「デートDV」だと言うと、生徒たちの間に軽いどよめきが起きます。デートに興味があるのでしょう。
DVについて、身体的暴力、精神的暴力、性的暴力などがあることを話し、親密な関係の中で起こる暴力だと伝えると、生徒は真剣な表情になってきます。教材は内閣府制作のDVD『より良い関係をつくるために』を使用。これはデートで起こる暴力がアニメで表現されていますので、中学生も分かりやすいようです。視聴後は、生徒が考えるワークの時間となります。
前半は、“暴力を振るった男子の気持ちグループ”と“暴力を受けた女子の気持ちグループ”(構成は男女混合)に分かれて、配布したポストイットにまず意見を書いてもらい、それからグループごとに結果発表です。それを委員が黒板に書き込みます。進行役は書かれた「気持ち」を整理しながら、そこから見えるものに焦点を当てていきます。ねらいは、男だから、女だから、思い通りにならないから暴力を振るう、という力と支配の関係に気づいてもらうことです。
後半は、この二人がより良い関係になるにはどうすればいいかを考えてもらいます。前半と同様に発表と板書を行い、進行役が要点を整理します。話し合う、ルールをつくる、暴力はいけない、別れるなどの意見が集約されます。しかし、実際には実行は難しいことを伝え、相談すること(親、先生、相談機関:人権擁護委員等)につなげます。
最後に進行役が、これから体験するかもしれないことなので、一人で悩まないことや、人権を尊重し、自分も相手も大事にして付き合ってほしいことを述べて締めくくります。
(福岡県連・福岡協議会 執行 好子)
- 「人権のひろば 2014年1月号」掲載の人権啓発活動plus
-
子どもたちの心に残る「人権教室」に挑戦!
岡山県連・岡山協議会「子どもの人権部会」は他部会に比して、多数の人権擁護委員が配置されております。その理由は、若い頭脳を持つ幼児には「正しい人権意識を育む」、また思考力の旺盛な小・中学生には「現事象に対して正しく判断する力と勇気を持って行動する力を養う」ために、多くの人々による指導と叡智が必要であると考えたからです。
本部会は、他の県連でもされているように「委員の研修会」「電話相談」「SOSミニレター」「中学生の人権作文」「人権教室」等の活動を行っています。この内、今回、紹介するのは「人権教室」です。
以前は少人数で学校、官公庁、施設等を訪問し、紙芝居や講話をしていましたが、三年前からもっと迫力のある啓発をと「岡山白熱教室」と題し、寸劇後に各自の意見を述べ合う討論会を実施しています。
小学生向けには「差別」や「いじめ」をテーマにした『おじいさんのたんじょうび』を企画し、好評をいただいています。内容は、原発放射線汚染の誤った風評を打破し、真実を理解することによって、転校を余儀なくされた被害者に対する「差別の排除」をしていくというものです。観劇後、小学生と保護者を交えた意見交換会では、十分とは言えませんが、意義深いものがありました。
また、中学生対象としては、本年十一月に他校に統合される生徒たちに贈る『「六十七年目の同窓会」~きみたちはどう生きるか~』の劇と討論会を予定しています。これは人権の大切さを、同校卒業生たちが語る思い出の中から「世界平和に奉仕する大切さ」や「郷土を愛して生きる意義」を知り、「いじめ」や「差別」等の過去の反省を踏まえて討議する内容です。
その他、小学生は「郷土のスポーツ選手との交流会」(女子バレーの岡山シーガルズ、女子サッカーの吉備国際大学シャルム・岡山湯郷ベル等とのふれあい、語り合い)を通して、楽しく人権を学んでおります。
( 岡山県連・岡山協議会 入倉 妙子)
やさしく声がけ 全校生へ ~「子ども一日人権擁護委員」
深刻ないじめや虐待のない平和な世の中を目指して、「子どもの時から人権尊重の気持ちを育てていきたい」、そんな思いで山形協議会天童市部会では、啓発活動として、平成十四年度より小学生を対象に「子ども一日人権擁護委員」の事業を行っている。
今年度は、二校で実施した。両校とも、一日人権擁護委員(主に高学年の児童たち)が委嘱状を受け取った後、たすきを掛け、登校してきた全校生徒に啓発物品を配りながら、「おはよう。今日も仲良くね」「今日も一日優しい気持ちで過ごそう」などと声がけした。当日は、人権キャラクターの人KENまもる君とあゆみちゃんの着ぐるみも登場し、校門や昇降口付近は、子どもたちの明るく元気なあいさつが飛び交い、和やかな雰囲気が広がっていた。
一日人権擁護委員の選出については、学校側に一任しており、「六年生全員が交替で」「児童会の委員会で」等、各校で工夫がされている。また、人権について興味・関心を持ってもらい理解への手助けのために、一日人権擁護委員の日か前後に、全校児童への講話、または学年・学級単位での人権教室を開催している。
たった一日の活動ではあるが、子どもの心に思いやりの種はまかれていると信じている。
( 山形県連・山形協議会 奥山 泰子)
人権ポスター展示会の開催 ~啓発活動として~
木更津協議会(鈴木良彰会長)では、人権ポスター審査および展示会を始めて、四年目になります。
千葉県の行事として人権ポスターの募集や審査を始めてからすでに十年以上経過していますが、応募作品を返却する前に、木更津協議会の活動として、再度、県の入選以外の作品について審査会を行い、作品の展示や授賞式を実施することにしたのです。
小・中学生を対象に募集し、今年九月までに応募があった作品数は、協議会内で合計四十一校分四百三十七点でした。
審査は、小学校の美術の先生に審査委員長として来ていただき、支局長も加わって人権擁護委員が話し合いながら進めます。小学校低学年の部および高学年の部、中学校の部に分けた作品群の中から、金賞十点、銀賞十点、銅賞十五点を選出します。
作品のテーマは、「思いやりの心」「支えあう仲間」「みんな仲よし」「いじめをなくそう」等があります。手と手をつないだ世界の友だちの絵や、障害のある人やお年寄りを支え合っている絵、いじめに遭っている子どもに支援の手を差し伸べている絵等々、その子どもなりに描かれていて、審査を通して私たちは、子どもたちの人権を大切にしようという思いに強く胸を打たれます。
入賞した児童には十二月に授賞式を行い、選んだ作品は県選出作品と一緒に二月に木更津市内の大型ショッピングセンター・イオンに展示します。人権ポスター展が始まると、お年寄りや子ども連れのお母さんが、買い物の足を止めてしげしげと作品に見入っています。描いた子どもの人権に対する思いが、見る人に静かに率直に訴えかけるからでしょう。
私たち木更津協議会では、この人権ポスター展の開催等を通して深めた連携をもとに、小・中学校の子どもたちや先生方とさらに相互の信頼のきずなを深めながら、人権教室や人権講話を実施しています。
(千葉県連・木更津協議会 青柳 敬子)
- 「人権のひろば 2013年11月号」掲載の人権啓発活動plus
-
高齢者へ向けての啓発活動「高齢者暮らしの相談所」
高齢化社会の先駆けである高知県において、高齢者に向けての啓発活動は、喫緊の課題であり、どのように取り組んだらよいのか、協議会でも議論されてきたところであります。
学校などで確立した人権教育を受ける機会や、人権問題に関する研修会・講演会に参加する機会の少ない世代であった高齢者に対して、4年前に協議会の女性委員が、「成年後見制度」についての寸劇を高齢者施設で行いました。その後、この寸劇を活用した啓発活動ができないかと考え、昨年より各地区の集会所に出向き「高齢者暮らしの相談所」を開設しています。
高齢者に対する啓発活動は、いかに高齢者の関心を引き、短時間で、興味のある題材を分かりやすく説明できるかにかかっていますので、試行錯誤を重ねて、今日に至っています
寸劇の後に「成年後見制度」の説明をし、続いて高齢者より相談の多い「相続、遺言」についての説明をクイズ形式で実施しています。最後に、人権問題の現状と課題ということで「いじめ、不登校、同和問題の現状」についての話の後、まとめとして「家族・地域の絆」の必要性について話をします。いじめ、不登校の話となると、孫・ひ孫のことが頭をよぎるようで、真剣な顔つきで、話を聞いてくれます。そして、啓発の後には個別相談を受けています。
今後ますます増える独居老人世帯を、どのように支えていくのかが今後の啓発活動の課題となっています。地区での開設にあたり連携をしている社会福祉協議会を始め、関係行政機関と今後より一層の連携を取らなくてはならないと考えます。
(高知県連・四万十協議会 竹田 元久)
相手の心に寄り添った傾聴を
人権擁護委員を拝命してほぼ22年になる。電話相談、面接相談の内容は多岐にわたる。
法務局での相談は、傍らに法務局のスタッフがいて、いかなることにもすぐ対応していただけるが、出先の出張相談の時には不安がつのる。特に多重な悩みを心に持ち、鬱屈が心に潜んでいる方の相談には、こちらにも重圧が押し掛かる。
「お悩みの気持ちはよく分かります」と言った途端に、「何がどう分かるんだ。簡単に受容や共感をする口先のテクニックはたくさんだ!」と叱られたこともある。
他の委員の対応にクレームをつけられたこともある。「すぐに核心に入りたいのに、“まず手順があります。この機関をどこで、どういう形で知りましたか。これに答えてからにしてください”と、急いでほしいのに相談の入り口でイライラさせられる」。
丁寧に説明しても、なかなか理解していただけない。傾聴の重要さ、大切さを幾度も痛感した。
そんな時、「気持ちの聴き方」を学ぶ機会に恵まれ、感動体験をしたのがきっかけになって、「心を聴く市民ネットワーク」というNPO法人を立ち上げた。
そして、話してくれる言葉の背後にある本心をいかに聴くかを学び続けた。そしてもう13年になる。この学びを人権の世界に生かして、きくこと、とりわけ聴くことの大切さを心掛けてきたつもりだ。
私は、人権擁護委員だけでなく、民生委員24年、保護司42年、同時進行で、誰かが担当しなければならない社会的責務の役割を担当してきた。
ふと気が付くと、傾聴疲労を起こしているのではないかと思えるようになった。
普通の生活の中で、相手に心を向けてずっと相手の心に寄り添って話を聞き続ける―それも何十年も。これはなかなかできない。役割があってできたのかもしれない。それを思うと、そろそろ限界なのかな……と思うようになった。
そして、多くの人々が、自分の気持ちを汲みとってくれる話し相手を常に求めていることも分かった。
本当に必要な時、本当の話し相手が側にいてくれたら……。
社会正義に溢れた優しい人権擁護委員にこそ、それが求められているように思えてならない。
(神奈川県連・横浜協議会 石原 昌信)
とどけよう!ハート&パス
お盆明けの8月18(日)、キンチョースタジアムで「子ども人権サッカー教室」が開催されました。小学校低学年37名、高学年29名の子どもたちが2部に分かれ、会議室と屋内練習場を使用して、「じんけん教室」と「サッカー教室」を行うというプログラムです。
高学年の人権教室では、「自分の胸に手を当てて」のDVDを視聴しました。これは、子どもたちの身近な生活の中での学校裏サイト掲示板への心ない書き込みやネットいじめに焦点を当てた作品で、子どもたちはじっと目をこらして見ていました。人権擁護委員の解説を聞いて、改めていじめに遭った場合、いじめを見た場合の対応を学んでいました。その後のサッカー教室では、セレッソ大阪のコーチの指導で汗を流しました。
低学年は、先にサッカー教室に参加し、次の人権教室では、「勇気のお守り」を視聴しました。当事者同士では解決が難しい子どもたちのいじめについて、考えるきっかけとなるアニメ作品で、当初ざわざわしていた子どもたちも画面に食い入るように引き込まれていました。上映後、子どもたちから率直な感想が出て、人権擁護委員は、いじめ等の場合に、子どもの人権SOSミニレターが活用できることを伝えました。いじめ問題の解決への心構えを子どもたちがきっちりと掴んでくれることを期待しています。
付き添いの保護者は、子どもたちのサッカー練習をピッチサイドから観戦し、さらに「じんけん教室」でも子どもたちの席の後ろで鑑賞してもらいました。人権学習を子どもと共に体験していただくことで、家に戻ってからも、「いじめ」について保護者と子どもが一緒に考えてもらうきっかけになってくれることを願っています。
(大阪第一協 榊原 孝司)
委員活動
啓発の実効性を高め、委員が達成感を味わえる人権教室
~「自作シナリオによるうちわ劇」の取組 ~人権教室は人権擁護委員としての重要な活動の一つですが、実施に当たっては、試行錯誤しながら取り組んでいる協議会が多いのが実情ではないでしょうか。
私たちの協議会も同様で、内容や方法についての工夫しながら、併せて参加した委員が達成感を味わえる人権教室を目指すことになりました。(熊本県連・山鹿協議会 近藤 安隆)
- 「人権のひろば 2013年9月号」掲載の人権啓発活動plus
-
企業と人権 ~パワハラについての研修会
職場のいじめや嫌がらせといったパワハラ(パワーハラスメント)の被害が年々増え続けている。国の調査によれば、働く者の四人に一人が被害を受けており、放置すれば、うつ病などの精神疾患にもなり、被害者の心の健康を損ねる大きな原因となっている。
また、加害者にとっても仕事上の「傷」となることが多く、企業にとっては、被害者と加害者双方とも戦力ダウンとなって、職場のモラル低下を招きかねない。
富士協議会では、平成十七年から「企業と人権」の視点から、企業に向けて啓発活動を続けてきた。
平成二十四年六月には、富士商工会議所の協力を得て、企業経営者・幹部七十人を対象に、「パワハラ対策の必要性」をテーマに研修会を実施した。
特に、高度成長期をモーレツ社員として生き抜いた幹部社員は、部下へ負荷の大きい仕事を与えるのが期待の表われであったり、指導のつもりだったりして、部下に対してのパワハラとは感じていないことが多いことから、幹部への研修は重要であった。
パワハラと定めた六類型の中で、仕事が多過ぎるまたは少な過ぎることなどは、どの程度の仕事量がパワハラに当たるかは企業によって異なるから、どこで線を引くかは、職場や労使間で協議し認識を共有することが不可欠だと考えられる。
パワハラは、上司のマネジメント能力不足やダイバーシティーの認識欠落などの問題も窺える。
パワハラやセクハラなど社員の人権問題の相談に当たる「人権啓発推進リーダー」などを養成し、悩みがありそうな社員に声をかけたり、相談に応じたりする体制が必要で、社員が気兼ねせずに、声を上げられる環境づくりが経営者の課題である。パワハラに対する会社方針を明確化し、それを周知徹底するなど経営トップの意識改革の重要性を訴えた研修会であった。
(静岡県連・富士協議会 大嶋 進)
人権擁護委員制度の周知度を高める方策について
昭和二十四年に人権擁護委員法が制定され、すでに六十四年が経過しました。現在は「自主運営、自主活動」の名のもとに過去とは比較にならないほど活発に委員活動が展開されております。
一方、こうした私たちの日々の活動が国民の皆さまに十分理解されているかと問われれば、決してそうだとは言い切れません。
残念ながら人権擁護委員の存在や人権相談所の開設、各種人権啓発活動などに対する地域住民の周知度はまだまだ低い状況にあります。
そこで私たち刈谷協議会では、一年をかけて「人権擁護委員制度の周知度をどのように高めていくか」について研究を進めてまいりました。その主な内容は次のとおりです。
① 人権擁護委員制度に関するアンケート調査の実施
② 町内回覧板を利用した啓発
③ 若者世代への啓発及び人権講座
④ 刈谷協議会所属五市の人権担当課長との意見交換会
⑤ 民生児童委員との連携
⑥ 刈谷協議会独自の人権啓発ビデオの作成
⑦ 人権紙飛行機を使っての啓発 等
今回の研究の効果は、直ちに現れるものではないと思います。さまざまな試行錯誤を繰り返しながら、周知度を高めるための地道な努力が今後とも一層必要になると考えております。
なお、研究の内容は「人権擁護委員制度の周知度を高める効果的な方策について」としてDVD(二十分)にまとめました。ご要望があれば名古屋法務局刈谷支局(TEL〇五六六―二一―〇〇八六)にお問い合わせいただければ幸いに存じます。
(愛知県連・刈谷協議会 加藤 勝男)
路面電車がよく似合う街
函館市内を走る路面電車はレトロ調のものから新型車両まであり、その中の一台の名は「人権号」。折にふれ、この電車を使って啓発活動が行われています。連合会の人権啓発イメージキャラクター・レッサーパンダのユウちゃん・マイちゃんが、子どもの人権一一〇番・女性の人権ホットラインの電話番号とともに車体にペイントされていて、函館市民に愛され、街並みに定着しています。
このユウちゃん、マイちゃんが誕生したのは平成十年、あなた(you)の人権、私の(my)人権からのネーミングです。今、全国に流行中のゆるキャラの先駆けとでも言えましょうか。
函館人権擁護委員連合会は、函館、江差、八雲の三協議会から成り、「子ども」「男女共同参画推進」「高齢者・障がい者等」「作文・ポスター」「『はこだて五陵星』編集」の五委員会があります。
函館地方法務局は、規模的には全国でも最小の部類に入るとのことですが、所属する九十七名の人権擁護委員は、一人一役の方針のもと、必ずいずれかの委員会に所属し、各種相談業務に始まり、SOSミニレター、人権の花、人権教室、作文・ポスターコンテスト、地域のイベント等を利用しての啓発活動などを行っています。
特に、企業や各種学校、小学校・中学校・高校での出前講座、老人大学、高齢者の集いでは、独自に製作した啓発教材・教具が大活躍しています。これは委員のあふれる情熱の結晶とも言えるものであり、大きな成果を上げるのに一役買っています。また、この啓発活動の内容を、広報誌『はこだて五陵星』に掲載しています。
今日も、坂道をゆっくりと走る電車の警笛を聞きながら、人に優しい社会の実現を目指して励んでいます。
(北海道連・函館協議会 木村 清韶)
- 「人権のひろば 2013年7月号」掲載の人権啓発活動plus
-
「いじめ問題」への提案 ~啓発活動を通して~
1.いじめ問題に関するメッセージの発信 ~児童・生徒、保護者の皆様へ~
いじめ問題への提言は主に今まで小中学校の児童・生徒を対象としていたが、今年度から高等学校にも目を向けることにした。
小中学校訪問では、紙芝居や人形劇、講話等を通して人権問題の啓発活動を行っている。
高校生対象では、メッセージを今年初めて県内各高等学校に、各協議会の委員が手分けして配布し啓発を図った。
その結果、かなりの数の高校生やその保護者からも連絡・相談をいただき、文章によるメッセージのみでなく、実際に各学校へ出向いて行き人権講話等を具体例を挙げながらの依頼も来るようになった。
2.スポーツ選手との交流
プロ野球の試合の合間を利用し、啓発活動を行った。啓発物品の配布やスコアボード・横断幕を活用しての広報活動、子どもたちによる人権宣言、来場者へのアンケートを実施。
また、プロバスケット選手を招いて、スポーツ人権教室を開催した。
その結果、選手、子どもたち・保護者との交流も生まれ、人権の意義が浸透し、啓発活動の一環が担えたと自負している。
3.心がけたいこと
様々な啓発活動を通して心に思うこと、身にしみて感じることは、人への思いやりや心くばり、人間は弱い存在であるというということが分かって初めて、人の痛みが分かる、ということであろう。いじめがなくなる出発点はその辺にあるのではないか。
(群馬県連事務局長 黒岩 厚之)
『富山新聞』のコラム ~「野辺の送り」に書いた人権作文
平成十一年四月から、富山新聞のコラム「野辺の送り」に書かせていただいております。その中から人権に関するものを選んでみました。
(1) 過日、金沢スカイホテルで、第五十九回人権擁護委員中部連盟総会が開かれ、七十八名が参加した。研究大会(講演会)の講師に、横田滋、早紀江さんご夫妻(横田めぐみさんのご両親)が、「自国民を救うのは国家の責任」「恐ろしいことのために使われた拉致被害者」と題して、各四十分ずつ話された。
「大事に育てた子どもたちが、あなた方の勝手なことに使われて、そして死亡したと言われて偽の骨を出されて、『そうでしたか。あの子たちはかわいそうでしたね。そんなことを言う親が一人でもいるか』と、はっきり言ってくださるのが、日本の国会の姿だと思う」と話された。(平成二十三年十月二十日)(2) 過日、黒部市立荻生小学校の多目的教室で、四、五、六年生の児童六十五名に人権教室が開かれ、私が「和顔愛語」について話した。
六年生の感想文の中に次のような文章があった。「私が人権教室で一番心に残ったのは、永井宗聖さんのお話です。『おめでとう!』『すばらしいね』などの愛語は、ふだん生活している中でも、たくさん使える愛語です。そして、こういった愛語は荻生小学校でいうポカポカ言葉だということが分かりました。荻生小学校ではポカポカ言葉を広める運動をしています。つまり、愛語を広める運動をしていることになります。私は荻生小学校のやっていることが、とてもいいことだということにあらためて気づきました。そして、これからは私も進んで愛語をたくさん使い、みんなに愛語を広められるようにがんばりたいです」。(平成二十四年一月二十八日)(3) 平成二十四年六月三十日付で、人権擁護委員を退任した。平成九年四月十五日から、十四年九カ月間務めさせていただいた。七月一日付で滝実法務大臣から感謝状をいただいた。
入善町の谷口整子さんから次のようなお手紙が届いた。「三年前、私は六十九歳で退任、『身を処する時を選びて悔いはなし、思いの丈を尽くせし今は』の心境でした。しかし委員は退任しても、人権とのかかわりは生涯のものと思っています。先生、今後、光寿会の会長としてよろしく」。(平成二十四年九月一日)
これからは、委員を務めた方々の組織「光寿会」の一員として人権とかかわってまいります。続けることが人権尊重につながると信じて。(元富山県連・魚津協議会 永井 宗聖)
“お年寄りに笑顔を”を合言葉に「紙芝居実演会」開催
平成二十四年度、旭川連合会に待望の「高齢者・障害者人権委員会」が設置されました。目的は、高齢者・障害者の人権状況を把握し、関係機関と連携を図りながら地域で啓発を進めること。富良野地区では、一名の幹事を中心に、さっそく準備に取り掛かりました。
用意した教材は、笑顔を失ったお年寄りが近所に住む五歳の女の子との交流を通して笑顔を取り戻す内容の紙芝居『スマイルばあちゃん』、「自分らしく過ごす」「楽しく生きる」など人権をテーマにした「人権カルタ」、それに、お座敷小唄のメロディーに乗せて元気になる秘訣を盛り込んだ「お元気小唄」の三点セットです。
当日、市内の高齢者施設では約五十人の入居者が集まり、拍子木を合図に、紙芝居『スマイルばあちゃん』開始。お年寄りの皆さんは熱心に見てくれて、終了とともに割れんばかりの拍手。続いて模造紙に書き出した「お元気小唄」の歌詞を手拍子とともに合唱“…生き甲斐のある人、元気です”。お年寄りに笑顔が見られて、ほっとした瞬間でした。
休息をはさみ、最後のメニュー「人権カルタ」。A4サイズに拡大したカルタと新聞紙を丸めた指し棒を用意、グループに分かれて開始。“嫌なこと、言ったりしたりは、やめようよ”の読み上げに新聞紙棒をサッと出す。素早いのに驚き、お手つきして苦笑い。和気あいあいとした一時間でした。
お年寄りにとっては長時間の催し物でしたが、つたない初公演に最後まで付き合ってもらえたことへの感謝の気持ちと満足感で一杯になりました。フィナーレでは全員で『青い山脈』を歌い、「また来てね」の言葉にグッときました。
全体を通して「守られるべき権利を分かりやすく紹介すること」を念頭に構成しました。職員の方々の感想もおおむね好評でしたが、内容を改善し期待に添えるよう努力していきたいと思います。
(北海道連・旭川協議会 天日 守)
- 「人権のひろば 2013年5月号」掲載の人権啓発活動plus
-
「やなせたかし世界展」における人権啓発活動
鳥取県には、地元出身の漫画家や当地にゆかりのある漫画作品が数多く存在しています。これにちなんで始まったのが、「まんが王国とっとり」建国という観光キャンペーンです。昨年は県内全域で八月から約三か月半にわたり、誰もが楽しめるイベント「国際まんが博」が企画され、その一環で、みささ美術館(三朝町)では、「みんなだいすきアンパンマン やなせたかしの世界展」が、平成二十四年七月二十八日から八月二十六日まで開催されることになりました。
人権イメージキャラクター・人KENまもる君とあゆみちゃんが、やなせたかしさんのデザインということもあり、同世界展の主催者から参加のお誘いが倉吉協議会にありました。せっかくのお誘いです、この機会を利用して、当協議会は啓発活動を展開しました。
当日、人KENまもる君とあゆみちゃんのウォークバルーンは子どもたちにいつもどおりの大人気。「命を大切に」との願いを込めたまもる君たちのオリジナルキーホルダー作りコーナーは大盛況で、たいへん有意義な啓発活動となりました。
これまで当協議会では、幼稚園等を訪問する人権出前講座においても、人権イメージキャラクターを活用しています。絵本などを使って講座を進めていますが、子どもたちの顔は自然とほころび、集中してくれます。人KENまもる君とあゆみちゃんのウォークバルーンが登城すると、子どもたちは大喜びです。
そして、まもる君たちが、やなせたかしさんのデザインであることを告げると、「アンパンマン!」の声が上がります。やなせたかしさんの人気には驚かされます。
まもる君、あゆみちゃん、そしてアンパンマンが、これからも子どもたちの味方になり、子どもたちの人権が守られ、すくすくと成長するよう見守ってくれることを願っています。
(鳥取県・倉吉協議会 千熊 一郎)
「その時歴史が動いたか?」
平成二十五年二月二十一日(木)都道府県人権擁護委員連合会事務局長会談が法務省一階会議室で開催されました。内田全連会長、人権擁護局瀬戸総務課長の挨拶の後、小部総務委員長が議長を務め、最初の議題として、非常に多忙を極める事務局事務に対してそれに見合うべき手だてをすべく、一日の支給額の見直しの要否等について議論されました。
しかし、実費弁償金は労働の対価でないこと、現行の人権擁護委員法においては人権擁護委員に給与は支給しないものとされていることから、如何にして事務局長および事務局員の負担を軽減し、各委員のポテンシャルを高め、やり甲斐を見いだせるのかということだと思います。お金の問題にとらわれ始めると,私たちの崇高な使命をおびた人権擁護委員活動が陳腐な労働の対価に成り下がってしまいます。そのことは同時に検討を求められた「自主運営・自主活動」につながってくる問題だと考えます。
前任の和歌山県連事務局長は特別上申によって任期を延長し八十才になるまで毎日出勤し、仕事を持ち帰り、気がつけば夜中の二時三時までパソコンを叩いていたと聞いています。とにかくこの膨大な事務量を委員全体でカバーできる体制を創りあげる必要があります。それを実現するためには、個人の頑張りからチームワークとチームプレイに転換していくことで、理想とする事務局と委員活動に繋がっていくと考えます。
和歌山県連は、その具体策一つとして、各委員のスキルアップを図ることはもちろんのこと、委員の誰もが事務局事務を担当できる体制作りが必要と考え、昨年から各委員会及び部会等の会議等結果報告の様式を統一する中で、各委員会及び部会で責任を持って会議等結果報告を作成してもらっています。次のステップとしては、各種の会議及び活動を最初から責任を持って企画、立案、実行できる仕組みを考えたいと思っています。
インターネットを始めとしたIT機器の整備と事務室の環境整備が実現しても、それを使用する人的体制を確立しないと事務局は機能しないと思います。これからも事務局へ何時、誰が来ても気軽で自由に使える環境を塵え、人権擁護委員活動が楽しく創造性のある活動に発展することを願っています。全国の委員の皆様、ともに頑張りましょう。
(和歌山県連・事務局長 楠見 郁夫)
「人権教室」の開催について
徳島県連の各協議会は、子ども人権委員会の掲げる目標「子どもの人権を守り豊かな心を育てよう」のもと、それぞれに工夫した啓発活動を実施しています。誌面を借りて、美馬協議会の人権教室の取組を紹介します。
まず、地域の学校を訪問して、人権教室の意義、内容等を説明し、開催させてほしいことを伝えます。学校から依頼がありますと、子ども委員会に所属する委員が中心となって、教材を何にするか検討し、指導案の作成にかかります。昨年までは、人権啓発冊子「種をまこう」による授業形式、紙芝居「ぐらぐら森のおばけ」による観劇形式により、幼稚園・保育園、小学校で人権教室を開催してきました。
今年も、私たちの評判を伝え聞いた人権教育に重点を置いている学校から、人権教室の依頼が来ました。これには、私たちの活動に賛同してくださる保護者や地域の方々も参加します。
人権教室では、一人一役、「人権擁護委員とその活動」を説明する係、学習の展開の中心を担う係と補助をする係、機器を操作する係、人KENまもる君とあゆみちゃんに扮するキャラクター係とその介添係、記録係を受け持っています。大切にしているのは、参加型を心がけるということです。今年の教材は、DVD「勇気のお守り」を使うことになりました。
ある学校では最後に、人権イメージキャラクターソング「世界をしあわせに」(やなせたかし作詞、ミッシェル・カマ作曲、近藤浩章編曲)を全員が歌い、体育館に大きな歌声を響かせました。いじめをなくす「勇気のお守り」が、子どもたちと保護者、先生の心を一つにした瞬間です。後日、お礼状をいただき、感激を新たにしました。
今後も試行錯誤を重ねながら、子どもたちの幸せを願い、豊かな心を育てていく人権教室を作っていこうと想っています。
(徳島県連・美馬協議会 土井 清子)
- 「人権のひろば 2013年3月号」掲載の人権啓発活動plus
-
思いやりの心をはぐくむ「幸せの種をまこう!」
人権擁護思想の向上を願って、昭和五十六年に中学生を対象として人権作文コンクールを、翌年から小学生を対象に人権の花運動を諏訪協議会はスタートしました。
しかし、実施した該当校を訪問し、お礼を申し上げて終わっていましたので、これらの活動を地域全体に広げたいとの願いから「諏訪・子ども人権の集い」として平成十八年に立ち上げ、今回で七回目を迎えます。
今年度は、十二月十五日に諏訪市文化センターで開催、二百三十名が参加しました。
(長野県連・諏訪協議会 藤森 順三)
震災・原発事故をのり越えての「東北連研究大会」開催
平成二十四年八月二十一日、東北連研究大会が、被災地・福島県で開催されました。
これは、平成二十三年八月開催の予定でしたが、同年三月十一日の東日本大震災により一年延期されたものです。
東北六県から二百四十六名もの人権擁護委員が集い、また準備のために福島県連各競技会の多くの委員が積極的に参加し、万全を期しました。開催場所となった飯坂温泉は、原発の風評被害の例外にもれず、観光客が激減している状態でした。
(福島県連.福島協議会 遠藤 一夫)
糸魚川協議会の『成年後見制度』寸劇の紹介
高齢者をターゲットとした「振り込め詐欺」「悪徳商法」等の犯非が多発している。弱者に対する許し難い行為である。
こうした犯罪撲滅のため、関係各機関が注意を喚起するも、被害者は絶えない。
そんな状況下にあって、新潟県・糸魚川協議会が、平成十九年から高齢者向け啓発活動として手掛けたのが、寸劇「成年後見制度」である。
これはパンフレットや口頭説明ではなかなか理解できない成年後見制度の中身は勿論のこと、詐欺行為や悪徳商法を劇をとおして、リアルに表現することにより、この犯罪の怖さと、回避するための成年後見制度の使い方を知ってもらうことが目的である。
当該劇の主役は「おばあちゃん」であり、シナリオも舞台構成も全て委員が手掛けている。悪徳商人やイカサマ業者役の流暢な標準語と、おばあちゃん役の方言が絡み合い、詐欺行為の現実味を醸し出している。
この糸魚川協議会の活動が評判となり、県下各協議会からの視察研修が相次いだ。
南魚沼協議会でもこの寸劇活動に共鳴し、昨年から早速準備にかかり、同様の寸劇活動を開始した。
(新潟県連・南魚沼協誘会 南雲 勇)
■活動の詳細は、情報誌「人権のひろば 2013年3月号 第90号」をご覧ください。